日産ワークス“NISMO”のR35「GT-R」は街乗りからサーキットまで1台でカバー
&GP / 2019年10月26日 19時0分
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日産ワークス“NISMO”のR35「GT-R」は街乗りからサーキットまで1台でカバー
NISMO(日産自動車)、TRD(トヨタ)、無限(ホンダ)、STI(スバル)といった、いわゆる自動車メーカー直系のチューニング&カスタマイズ会社が、自慢の作品を持ち寄ってお披露目する「ワークスチューニンググループ合同試乗会」。
このイベントが開かれるたびに「ちょっとズルいなぁ」と感じてしまうのが、NISMOです。なぜなら、同社が手を加える素材には、クルマ好きにとっての“永遠のマドンナ”というか“スター選手”たる「スカイラインGT-R」と「GT-R」があるからです。
■過酷なサーキット走行を楽しんだ後に自走で帰れる
そんなNISMOが持ち込んだ1台が、2008年モデルの“R35”型GT-Rをベースとした「CRS(クラブマン レース スペック)」です。
CRSのコンセプトは、過酷なサーキット走行を1日楽しんだ後、そのクルマで自走して帰宅できるようにする、というもの。ボディの前後左右に空力パーツを与え、エンジン、トランスミッション、そしてサスペンションを相応に強化するのです。
展示されていた2008年モデルのCRSコンセプトの場合、例えば、ターボチャージャーは2011年タイプにアップデートされ、カムシャフトはモータースポーツのノウハウをフィードバックしたGT3仕様に変更。それらに伴い、コンピュータ関連にも専用品がおごられます。足回りには、2017年仕様のショックアブソーバーとスプリングが装着され、アライメントにも手が入れられていました。
さらに展示モデルは、BBS製の「RI-A Engineered by NISMO ダイヤカットモデル」と名づけられたアルミホイールを装着。これは「軽さと強靭さのベストバランス」を目指した鍛造ワンピースタイプのスペシャルホイールで、サーキット走行にも十分な剛性を確保しているのみならず、タイヤとホイールの空転を抑制する“アンチスリップペイント”を採用。「GT-R NISMO」用の純正ホイールと同じサイズになっています。
ただしこのホイールは、125台分の限定生産品で「もはや流通在庫だけ…」とのウワサも。「ゲットできたならラッキー!」かもしれません。
■プロレーサーも太鼓判を押す強力で安定した走り
当日、試乗用に用意されたのは、2013年モデルのGT-Rをベースに仕立てられたCRSコンセプト。FRP製フロントフェンダーキットやドライカーボン製のエンジンフードなど、全身にNISMOパーツを装着。
3.8リッターのV6ターボは、オーバーホールを経て、いわゆるNISMOの“S1仕様”チューンも施されています。
足回りには、オーリンズ製のNISMOオリジナルスポーツサスペンションキットが装着され、キャンバー角も見直されていました。そのほか、強力なLSDが組み込まれています。
このクルマでショートコースを走ってみると、かなりハード寄りのセッティング。タイトコーナーであえて挙動を乱して「ヤッてる気分になる」のは楽しいですが、本格的なサーキットでタイムアタックするとなると、相当の鍛錬と覚悟が必要なことは、いうまでもありません。
また、自走して帰宅できるというCRSコンセプトのクルマとはいえ、軸足はあくまでサーキット。乗り心地の面では「けっこうギリギリを攻めている」印象です。
そんなCRSコンセプトのGT-Rに対し、NISMOアンバサダーを務めるレーシングドライバーの柳田真考さんは「このクルマはGT-R NISMOと同等のトルクが出ていて、コーナーを脱出する際の“蹴り出し”がいいですね」と、その加速に太鼓判。
「フラットトルクの特性が走行安定性に寄与していますし、レスポンスもいいですね」との言葉通り、柳田さんはモンスター級のGT-Rを自在に操り「機械式LSDの恩恵で、コーナリングに入りやすいのも特徴なんです」と、涼しい顔で解説してくれました。
絶対的な速さはいうまでもありませんが、チューニングの幅の広さ、選択肢の多様性も、GT-Rの大きな魅力です。来年もまた「NISMOはズルいなぁ」とうならせるモデルが登場するのか? 興味は尽きません。
(文&写真/ダン・アオキ)
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