iPadをより使えるツールに!Photoshop、IllustratorのiPad版など関連アプリと新機能
&GP / 2019年11月7日 21時0分
iPadをより使えるツールに!Photoshop、IllustratorのiPad版など関連アプリと新機能
Adobeは、米国時間11月4日から開催された「Adobe MAX 2019」に合わせて、「Adobe Photoshop iPad版」をはじめとするAdobe Creative Cloudの新製品やアップデートについて発表。「Creativity For All」というメッセージが掲げられ、iPadを中心にモバイル・タブレットデバイスの活用について新たな提案がされました。
▲Adobe MAX 2019に登壇したシャンタヌ・ナラヤン 社長兼CEO
そこで、膨大な発表内容から、iPadが関連する新アプリを中心にチェックしておきたいトピックを振り返ります。
■「Photoshop」にiPad版が登場
一番のトピックはやはり、「Adobe Photoshop iPad版」の提供が開始されたことです。機能は「画像合成」「レタッチ機能」「画像のマスク」という3種類のタスクにフォーカスした内容に。なお、現時点では基礎を優先したミニマムな構成ではありますが、今後のアップデートで順次機能が足されていくとのこと。
▲Adobe Photoshop iPad版の提供開始
画面上に表示される「タッチショートカット」ボタンを活用することで、キーボードを接続していない状態でもショートカット操作が可能になるなど、タッチスクリーンに最適化されていることも特徴です。
▲左下の白い丸に触れながら操作することで、操作に応じた2段階のショートカットが使える
また、「クラウドドキュメント」システムに対応し、こちらに保存したファイルはPSDCというフォーマットになります。これによりデスクトップ版のPhotoshopとシームレスに連携可能に。iPadを活用することで、オフィス環境だけでなく、電車での移動時間などにもPhotoshopを用いた基本的な作業を行いやすくなります。
Adobe Creative Cloudのプランに含まれるほか、月額1080円(AppStore、税込)での単体利用も可能。新規ユーザーは30日間無料で体験できます。
■「Illustrator」のiPad版もまもなく
「Adobe Illustrator iPad版」のプレビューも公開されました。パスを用いたベクターでの描画が可能で、従来アプリでのフリーハンド描画よりも、機械的で緻密な描画が可能となります。描画だけでなく、フォントを活用した編集が行えるようになっていることも、本家のIllustratorならでは。
▲Adobe Illustrator iPad版のプレビューが公開された
オブジェクトを複製して整列させるリピート機能も秀逸で、アイコンを円形に配置したり、平面に並べたりする操作も一瞬で可能に。同様に、左右対称な図形を描ける機能も備えます。
そのほか、手書きの線をカメラでキャプチャーして、自動でパスを作成できる機能も紹介されました。
▲リピート機能で直感的かつ効率的にデザインを整えられる
製品版の公開時期は2020年を予定。プレビューゆえに価格等の情報は明かされていません。
■AIファーストな「Photoshop Camera」
Photoshopの名前を冠したカメラアプリ「Adobe Photoshop Camera」のプレビューが発表されました。製品版の公開はこちらも2020年を予定。こちら“iPad向け”という位置付けではありませんが、iOS・Android両対応です。
▲Adobe Photoshop Cameraのプレビューも公開
AIのAdobe Senseiによって、被写体を自動で認識し、背景などをリアルタイムに合成するというカメラアプリです。従来の「カメラで撮影した画像を、Photoshopに取り込んで合成する」という流れとは異なり、「Photoshop Cameraで合成しながら撮る」というイメージを持った方が理解しやすいでしょう。
▲プリセットの「レンズ」を活用することで写真の背景を合成し、色味も変えた。元は景色が描かれたポスターを撮影した写真
Photoshopで「ブラシ」を使うように、Photoshop Cameraでは「レンズ」と称するエフェクトのパッケージを選択することで、多彩な表現が可能になります。この「レンズ」には、著名なインフルエンサーとコラボしたライブラリがあったり、Photoshopを活用してオリジナルレンズを作成したりもできます。
■無料のARアプリ「Aero」新登場
AR用のiOSアプリ「Adobe Aero」も発表されました。こちらはすでにAppStoreからインストール可能。無料で利用できます。
▲新アプリ「Adobe Aero」はARのオーサリングツール
同アプリは、AR空間にオブジェクトを配置して、アニメーションなどを付与できるオーサリングツールです。実際にARオブジェクトを作成するには、「Adobe Dimension」や「Substance」などの別のアプリケーションを活用する必要があります。
▲PSDファイル(背景部分)も、3D/ARオブジェクトとして配置できる
また、Photoshopで作成したPSDファイルのレイヤーを認識し、立体絵画のように空間的に配置することも可能です。
* * *
従来も「Photoshop」や「Illustrator」の名前を含むiOSアプリは存在しましたが、スピンオフ的な存在で、本家のサービスとは異なるものでした。しかし、ここにきてようやくPhotoshopやIllustratorそのものが登場しだしたわけです。
定番の強力なクリエイティブツールが使えるようになることで、プロ・アマ問わずiPadがさらに魅力的に見えてきますね。
ちなみに、この記事では触れませんでしたが、iPadが関わらないアプリのアップデートも膨大に発表されました。興味がある方はAdobeのサイトから確認してみてください。
>> Adobe
(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。
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