【雪上試乗エクストレイル&NV350】日産の4WDは雪道でどう効くか?
&GP / 2016年2月14日 18時0分
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【雪上試乗エクストレイル&NV350】日産の4WDは雪道でどう効くか?
「雪道といえばヨンク」という人は多いですが、実際、雪の上での走りはどんな感じなのか。日産自動車が開催した「日産オールラインアップ雪上試乗会」に&GP取材班も参加し、日産の4WDモデルを乗り比べてみました。
今回は「エクストレイルハイブリッド」「NV350キャラバン」の2台に試乗しました。
【エクストレイル】てんこ盛りの電子制御で普通の道を走っているよう
現在、日産では4種類の4WDシステムを製造しています。まずは「ALL MODE 4×4-i」を搭載するエクストレイルハイブリッドに乗ってみました。「ALL MODE 4×4-i」はセンサーを駆使しコンピュータがアクセルやステアリング角度など、車両の走行状態を常に把握。前輪と後輪のトルク配分を常時細かく制御するシステムです。
本来ならドライバーが路面状況に合わせシビアにコントロールしていたことをクルマが代わりにやってくれるので、滑りやすい道を走るのに不慣れな人でも安心してステアリングを握ることができます。
ほかにもヨーモーメントコントロール、アクティブエンジンブレーキ、コーナリングスタビリティアシストなど最新の電子制御がテンコ盛り。
今や「電子制御があれば2WDでもたいていの道は平気」と言われるほど、車両の制御技術は進化しています。そこに最適なトルク配分をしてくれる4WDシステムが加わるのですから、まさに鬼に金棒と言えるでしょう。
「ALL MODE 4×4-i」の走行モードは「2WDモード(常時FF)」「AUTOモード」「LOCKモード(トルク配分を50:50で固定)」を選べます。今回はトルク自動配分を体感するために「AUTOモード」をチョイスしました。
あいにくの暖冬で試乗会場となった白樺湖~霧ヶ峰エリアは路面の雪がかなり溶けています。ドライ、シャーベット状の雪、日蔭のアイスバーン、雪が残った場所など、路面状況がめまぐるしく変わるコンディションは「ALL MODE 4×4-i」の性能を見るのに最適!
結論から言うと、エクストレイルハイブリッドは今回のコースのあらゆる路面で不安を感じることなく走行できました。例えばブラインドコーナーで突然積雪路が現れたとき。
普通なら急にμ(ミュー)が変わることでステアリング感覚に大きな変化が出るだけでなく、アンダーステアやオーバーステアになるものです。
しかしドライバーの「あっ!」という焦りとは裏腹にエクストレイルは挙動が変わることなくコーナーを立ち上がっていきます。溶けた雪が轍になり右タイヤと左タイヤでμが全く違う路面も思った通りのラインをごくごく自然に走ります。
試しに半分凍った下りの路面で大きくハンドルを切ってみましたが、スーッと曲がっていく。この制御は凄いですよ!
コーナリングで意識を足回りに集中させると、路面が変わったときに後輪の感覚に変化があるのがわかります。しかし普通に走っていればトルクの変動に気付くことはないでしょう。シビアな操作を必要としない分、ドライバーの疲労度はかなり軽くなるはずです。
エクストレイルハイブリッドでもうひとつ「これはいい!」と思ったのが、世界初搭載されたシャーシ制御技術「アクティブライドコントロール」でした。これはエンジンとブレーキを制御することで、でこぼこ道での車体の揺れを軽減するもの。雪道は凍り方がバラバラなので、急に硬い氷が現れドン!と車体が突き上げられることも珍しくないんですよね。
またタイヤチェーンをしたクルマが通った後はでこぼこのまま凍って振動が伝わってくることもあります。アクティブライドコントロールはそれらを可能な限り抑え込んでくれます。雪道が不慣れな人にとって振動の大きさは不安につながるもの。精神的にラクな状態で運転させてくれるエクストレイルの4WDと電子制御は、誰もがタフギアを安心して使う上で欠かせないものと言えますね。
【NV350キャラバン】ベーシックなパートタイム式でも4WDだと心強い
4ナンバークラスとして初めてエマージェンシーブレーキが搭載されたNV350キャラバン。今回試乗したのは2.5Lディーゼルターボエンジンを搭載するプレミアムGX 4WD(361万1520円)。バンコンタイプのキャンピングカーのベース車両としても人気です
続いて試乗したのは1BOXカーのNV350キャラバン。ビジネスカーとして支持されるのはもちろん、キャンピングカーのベース車両、バイクやカートレースなどを楽しむ人のトランスポーター、そしてウインタースポーツやサーフィンなど休日をアクティブに過ごす人の移動車としても人気が高いモデルです。
搭載される4WDシステムは、オーソドックスなパートタイム式。2WDと4WDの切り替えはステアリング左下にあるボタンで行います。切り替えは80km/h以下で行えるので、一般道なら急に雪道になったときでも大丈夫。5ATでシフトレバーがDにあるときにボタンを押すとじんわりと発進させるSNOWモードもついています。
そんなNV350キャラバンですが、まずは雪が積もった圧雪路を2WD(FR)で走ってみます。停止状態からアクセルを踏み込んだとき、上り坂で少し多めにアクセルを踏み込んだとき、コーナー出口でアクセルを踏み込んだときなどに、リアがズリッと流れ出す感覚がありますね。
次に4WDに切り替えて同じことをします。すると、とくにスタート時の安定感が大きく変わるのを実感できました。走行中も4WDならではの安心感が高まったことがわかります。
ただし冒頭にも書いたようにNV350キャラバンの4WDはエクストレイルのように最新電子制御がたくさんついているわけではありません。4WDを過信すると思わぬ事故に繋がる可能性があるので、雪道やアイスバーン路面を走るときは十分注意してください。もちろん電子制御が数多く盛り込まれているエクストレイルも過信は禁物です!
【番外編】雪道で匠がドライブするGT-Rに乗った!
ビッグパワーをものともせず雪道でぐいぐい加速していくGT-R。4WDとはいえコントロールは難しいだろうと思っていただけに、安定した走りに驚かされました
我々が参加した日産オールラインアップ雪上試乗会には、上の2モデル以外にも様々なクルマが用意されていました。NISMOシリーズからはマーチ、ノート、ジュークが。そしてフェアレディZとGT-Rというハイパワースポーツもやってきています。
今回、ラッキーなことに日産のテストドライバーで「現代の名工」にも選ばれた加藤博義氏がドライブするGT-Rに同乗させていただくことができました。
加藤博義氏
まず驚かされたのは、加藤氏の雪上での運転が驚くほど慎重であり、丁寧であること。当たり前のことかもしれないですが、加藤氏のような卓越したドライビングスキルを持つ人が細心の注意を払いながら丁寧な運転をする姿を見せつけられると、雪道での無理な運転がいかに危険なことかをあらためて思い知らされます。その上で加藤氏はGT-Rの雪上性能を次のように語りました。
「GT-Rの凄さは500馬力を軽く超えるパワーがあるのに雪道のような滑りやすい路面でも安定していること。とてもじゃないがFRでは踏み込めないし加速できない。今回のように雪道とウェットが目まぐるしく変わる路面でも違和感なく走れるのもGT-Rならではです。GT-Rの独立型トランスアクスル4WDはドライはもちろん、ウェット、スノーでも安心して走れますよ」
「初期のGT-Rはニュルでのラップライムに代表されるよう“絶対的な速さ”に軸足を置いていましたが、現在のGT-Rはそれだけでなく日常領域での乗りやすさも両立させています。雪道での運転もしやすくなっていますよ。そしてもうひとつ忘れてならないのがスタッドレスタイヤ。GT-Rは専用開発したランフラットのスタッドレスになります。雪道には細いタイヤのほうがいいというイメージを持っている人もいると思いますが、今はスタッドレスタイヤの性能が上がったため太いタイヤでも雪面を捉えて食いつくような感覚がありますよ」
(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN>)
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