2020年の完全ワイヤレスはノイキャン対応が主戦場に【CES2020】
&GP / 2020年1月15日 19時0分
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2020年の完全ワイヤレスはノイキャン対応が主戦場に【CES2020】
米国・ラスベガスで行われた世界最大級の家電見本市「CES 2020」。オーディオ関連の製品を見ていくと、パーソナライズと立体音響、そして完全ワイヤレス製品の新潮流が見えてきました。
▲2020年1月7日~10日、アメリカ・ラスベガスで開催された
■立体的な音や個人に合わせた音のカスタマイズで空間を再現
立体音響の代表がソニーの出展していた“360 Reality Audio”。昨年の出展は耳型をカメラで撮影して最適化するヘッドホンリスニングでしたが、今年はワンボディで立体音響を再現するワイヤレススピーカー、およびサウンドバーによる空間再現に進んでいます。ソニーによるCES2020最大の出展となった電気自動車の試作車「VISION-S」も前方の座席で“360 Reality Audio”を再現と、空間を越えた音場の再現はサウンド進化の新たなテーマとなります。
▲日本でもAmazonMusicHDで配信中の“360 Reality Audio”
▲部屋の音響特性を計測し、ワンボディで立体音響を再現
▲電気自動車の試作車「VISION-S」も対応
ヘッドホンで頭外定位を再現する試みもブームの兆しがある。JVCは“EXOFIELD THEATER”「XP-EXT1」を発表。マイク内蔵ヘッドホンで耳の個人特性を測定し、サウンド音声を入力することで音楽が空間のなかで自然と広がる音響を再現します。
▲空間再現でホームシアターを目指すJVCは“EXOFIELD THEATER”「XP-EXT1」
PC向けのヘッドホンや音楽リスニングのヘッドホンを発売するクリエイティブも、昨年から展開する耳の形に応じて音をパーソナライズする“Super X-Fi”の第二世代、“Super X-Fi Gen2”を展示。こちらも現行の最適化はカメラによる計測ですが、昨年のユーザーの測定データをクラウドで解析し、計測の精度を向上。マイクを使った技術デモでは目の前のスピーカーを完璧に再現するレベルに到達しており、対応製品も拡大に踏み出します。
▲部屋の空間をシミュレートするクリエイティブの“Super X-Fi Gen2”
▲イヤホン、ヘッドホンへと展開
個人最適化としておもしろい出展が、フランスのMyFit Solutionによるカスタムフィットイヤーピース販売。カスタムフィットというと非常に高価な製品が多いのですが、MyFit Solutionは専用のスマホアプリでカメラを利用して耳の形状を測定。オンラインで注文すると3Dプリンタで製作したイヤーピースが世界中に届きます。価格は59ユーロ。イヤーピースのパーソナライズとしては現在最もスマートなソリューションです。
▲手持ちのイヤホンに合わせたイヤーピースをアプリで注文できる
■完全ワイヤレスイヤホンはノイズキャンセル対応一色!
CES2020では完全ワイヤレスイヤホンの出展が非常に多かった印象です。そして完全ワイヤレスイヤホンを手掛けてきたほとんどのブランドが、ノイズキャンセル対応へと向かい始めていました。
中でも注目モデルがテクニクスの「EAH-AZ70W」。ホームオーディオのハイエンド有線イヤホンを昨年発売したばかりの同社ですが、フィードフォワード・フィードバック方式、そしてデジタル方式・アナログ方式も組み合わせた独自の“デュアルハイブリッドノイズキャンセリング”技術を搭載。価格は280ドル程度と、ノイズキャンセル対応の新定番になる可能性のあるモデルです。
▲“デュアルハイブリッドノイズキャンセリング”対応のテクニクス「EAH-AZ70W」
プロフェッショナル向けオーディオメーカーで、家庭でも高音質の定番となっているSHUREもついに完全ワイヤレスイヤホン「AONIC 215」を出展。耳にかけるイヤーフック型で有線イヤホンの定番「SE215」を完全ワイヤレス化したモデルで、イヤホン部分はMMCX端子で交換可能。「SE535」「SE846」といった上位モデルと交換する最上位モデルとして利用できそうです。価格は279ドルで2020年春に発売予定と、日本上陸にも期待大!
▲定番の「SE215」を完全ワイヤレス化した「AONIC 215」
▲現在の有線モデルのアップグレードも可能
ポータブルオーディオのトレンドはワイヤレス、特に完全ワイヤレスイヤホンに集約されつつあることを実感している人も多いでしょうが、2020年は完全ワイヤレスの中でも高機能、高音質を競うステージとなっていくのではないでしょうか。
(取材・文/折原一也)
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