なぜ私はKindleを使い続けられなかったのか?【本の虫がKindleデビュー①】
&GP / 2020年1月30日 22時0分
なぜ私はKindleを使い続けられなかったのか?【本の虫がKindleデビュー①】
京都から上京してきてもうすぐ1年。都会の雑多な雰囲気や長時間の労働にはまだまだ慣れません。そんな私のリフレッシュ方法は読書です。休日はもちろんですが、通勤途中や休憩中など、暇さえあれば本を読んでしまいます。お気に入りは古典文学と探偵小説。夏目漱石や横溝正史を読んでいる間は、人の目や都会の喧騒から隔離されて、とてもリラックスできます。
これまではずっと紙の本で読書をしてきましたが、ここ1ヶ月ほどは、電子書籍サービスの「Kindle」を使っての読書に挑戦していました。残念ながら継続して使うことはできなかったのですが、それでも感じた利便性と、使い続けられなかった原因を考えてみました。
■なぜKindleに挑戦したのか?
私にとって電子書籍や電子の世界というのは、デバイスがなくなってしまえば使えなくなる「信用のならないもの」でした。それなのになぜKindleに挑戦したかというと…、借りているアパートの近くに本屋が1軒もない! それどころか、急勾配の坂を上り下りし、15分かけてやっと着く最寄り駅の周辺にもないのです。職場の近くにも小さな書店しかなく、出版業界の凋落ぶりを身に沁みて実感しました。
ですが本の道楽家としては、欲しいと思った本がすぐ手に入らないのは困ります。SNSの読書仲間のあいだで話題になっている本が読めないのも悲しいことです。そこで、電子書籍に挑戦することになったのです。
数ある電子書籍サービスのなかからKindleを選んだのは、Amazonのアカウントを持っていればすぐに使えるというスタートの手軽さから。Kindleに馴染めなかった場合の予防として、電子書籍リーダーは購入せず、「Kindle」アプリを使用してスマホで読むことにしました。
■「辞書機能」で文学作品の理解が深まる
Kindleを使ってみて感動したのが、「辞書機能」。横溝正史や松本清張などの本は、書かれた時代独特の言葉が多く出てくるし、『海底二万哩』などの本には馴染みのない動植物の名前が大量に紹介されます。紙の本の場合、文中で使われている言葉の解説が巻末にまとめられていることが多く、確認したい解説がどこにあるかを探すのに苦労していました。
Kindleの場合は、わからない語句をタップするだけでgoogleの辞書やWikipediaでの意味が表示されるため、意味調べがとてもラク。夏目漱石など独特の当て字を使うことが多い著者の作品は正しく検索できないこともありますが、労力がほとんどないので気になりません。古い作品を読む機会が多い身にとっては、嬉しい機能でした。
▲語句をタップすると、googleの辞書やWikipediaでの意味が表示される。たまに誤タップでマーカーなどを引いてしまい、ページが無駄にカラフルになる
■でも結局“挫折”してしまった…
はじめこそ物珍しさからKindleで読書を続けていましたが、1週間を過ぎたあたりから
徐々にKindleを使わなくなり、読書量が減っていってしまいました。理由は簡単。Kindleを使っても、紙の本の時に感じていたような没入感を得られなかったのです。
電車内でスマホを取り出しても「よし、読もう!」という気にはならず、ついついSNSに時間を費やしてしまいます。ようやく「Kindle」アプリを開いて読書を開始しても、音や人の気配が気になり、集中力が散漫に。ただ文字を目で追い、画面をタップするだけという読書家にあるまじき状態に陥ってしまいました。そこで挫折し、紙の本にシフトチェンジ。Kindleはしばらくお休みすることにしました。
▲同じ本でも、なぜか紙の方が熱中して楽しめた。軽さの面では圧倒的にKindleが勝っていたので、残念
■本探しは「楽しさ」が大事かも
こちらも紙の本が勝ったことですが、「この本が欲しい!」と決まっている時はKindleが圧倒的に便利でしたが、「いい本ないかな」という時は、書店で探した方が圧倒的に楽しいということにも気付きました。Kindleも「おすすめ機能」で流行の本を提案してくれますが、「ほら、これをお読み」と他人に言われた本を読むよりは、運命の本との出合いを求めて書店をウロつく方が、私にとっては楽しく感じられます。
▲検索すれば求めた本がすぐ出てくるのは、「この本どこにありますか」と聞けない人見知りにとっては嬉しい。しかし、ワクワク感は半減する
結局、現在はKindleではなく紙の本を使って読書をしています。やはり没入感を得られないのは手痛いポイントでした。とはいえ、本の入手場所には困っているので、Kindleに再挑戦する日が来るかも。そのときはまたレビューをお伝えしたいと思うので、よろしくお願いします!
(文/山﨑理香子<ゴーズ>)
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