トヨタ「ヤリス」はココがスゴい!燃費と走りの安定感は小型車の常識を変える

&GP / 2020年3月29日 19時0分

写真

トヨタ「ヤリス」はココがスゴい!燃費と走りの安定感は小型車の常識を変える

フルモデルチェンジを機に、車名を「ヴィッツ」から変更した新型車「ヤリス」。公道で試乗したところ、走りの実力は想像をはるかに上回るものだった。

パワートレーンの完成度やフットワーク、乗り心地など、どれをとっても前身のヤリスから大きく進化。トヨタの本気を感じさせる乗り味だったのだ。

>>新型ヤリスのデザイン&機能性について知りたい方はコチラから

■ヤリスはかつての“3リッターカー”を超える省燃費車

新型ヤリスに乗っての一番の驚きは、燃費の良さだ。ハイブリッド仕様の場合、空いた郊外の道であれば、普通に走らせるだけで20km/L台後半の数値を確実にマークする。丁寧に走れば、30km/Lオーバーだって難しくない。とにかく、ガソリンの消費量が少ないのだ。しかも、燃費を意識して走らせた時だけでなく、普通に走らせるだけで目を疑うような燃費をマークするのだから驚きだ。

歴史を少しさかのぼると、20世紀の終わり頃、欧州では“3リッターカー”と呼ばれるクルマが存在した。「3リッターのガソリンで100kmの距離を走れる」という、当時としては夢のようなクルマであり、日本式に表記すれば、33.3km/L以上をマークする超低燃費車を指した。

とはいえ、結論からいえば、3リッターカーは自信を持ってオススメできるクルマではなかった。確かに燃費は素晴らしい。しかし、車体のデザインは居住性よりも空力性能を優先。さらに、重量がかさむ各種装備をはぎとり、徹底的に軽量化するなどした3リッターカーは、快適性は二の次という代物だった。また、軽量化のために高価な素材を多用したため高価となり、おまけに、燃費最優先のパワートレーンは、ドライバビリティに劣るというのが一般的だった。

今回、ヤリスのハイブリッド仕様をドライブしながら、そんな3リッターカーのことを思い出した。ヤリスのハイブリッド仕様は、カタログに記載される“WLTCモード”燃費が35.4〜36.0km/L(2WD)と、3リッターカーを超えるほどのデータをたたき出しながら、価格は199万8000円〜と、ハイブリッドカーとして見ればなかなかお手頃。しかも、パワートレーンには気難しいところなど一切なく、極低速域から高速域まで、スムーズに走れる。かつての3リッターカーのような乗りにくさとは無縁なのだ。驚くほどハイレベルの燃費データを、一切のデメリットなく実現した点は、ヤリス・ハイブリッド仕様のすごさといえるだろう。

■旧来のハイブリッド車で見られた違和感を払拭

ヤリス・ハイブリッド仕様は、前身のヴィッツ・ハイブリッド仕様に対し、ドライブフィールも格段に向上している。

ヴィッツのそれは、ドライバーがアクセルペダルを踏み込むと、まずエンジンの回転が高まり、少し遅れて速度が上昇していくという味つけだった。このような、エンジンの回転上昇と速度の上昇とがリニアでないセッティングは、ドライバーに違和感を与えてしまう。

しかしヤリスは、ハイブリッドシステムの制御を刷新。エンジンの回転上昇に比例して速度が高まるセッティングにしたことで、とても自然なドライブフィールになった。実は、効率を重視するならば、従来型の方が正解だ。それでも、ヤリスの燃費データは悪くなっていないどころか、むしろ向上しているのだから驚かされる。

その上、ヤリスのハイブリッド仕様は、加速力もアップしている。ヤリスに搭載されるシステムは、エンジンを含めて新設計されたもので、91馬力/12.2kgf-mの1.5リッター直列3気筒エンジンに、80馬力/14.4kgf-mのモーターを組み合わせている。中でもモーターの出力は、従来比で30%アップしているほか、発進時におけるバッテリー出力を高めることで、発進加速や中間加速が格段に力強くなっている。

その一方、一度のブレーキで回収できるエネルギー量は従来の2倍に増え、エネルギーロスを抑制。また、エンジンを止め、モーターのみで走行する“EVドライブモード”の速度上限が、従来は70km/hだったのに対し、ヤリスでは130km/hまで対応した結果、ガソリン消費量をより削減できるようになったのはいうまでもない。つまり新しいハイブリッドシステムは、日常領域はもちろんのこと、高速走行領域でも燃費向上を達成しているのである。

開発陣によると、ハイブリッド仕様の多角的な性能向上の背景には、「車体とパワートレーンを同時に刷新し、ボディまで含めてトータルで理想を追い求めることができたのが効いている」という。軽量かつ低重心で、空力性能に優れた車体と、効率とドライバビリティとを両立した新しいパワートレーンが、動力性能と燃費性能の双方に多大なるメリットをもたらしているのだ。

さらに、そうした美点は、ハイブリッド仕様だけにとどまらない。純粋なガソリンエンジン車でも、郊外路を中心としたルートであれば、運転が雑にならないよう心掛けて走るだけで、20km/Lに届く燃費データをマークする。

これはもはや、かつてのハイブリッドカーに匹敵するレベル。これまでハイブリッド仕様を高く評価しておいて何だが、もはやハイブリッド仕様はいらないのではないか、と思ったほど、ガソリン仕様もサイフに優しいのである。

ちなみにガソリン仕様のエンジンは、1リッターと1.5リッターの各3気筒で、今回、試乗できたのは、ヤリスとともにデビューした最新設計の1.5リッター3気筒エンジン搭載車で、120馬力/14.8kgf-mを発生する。

そこに、発進用の固定ギヤを備えた新世代型CVTを組み合わせることで、従来のCVT車とはケタ違いの、心地いい加速感を実現している。

■コーナーも直線も思い通りに動いてくれるヤリス

あまりにインパクトが強かったせいか、パワートレーンの話題が長くなってしまったが、実はヤリスはフットワークの出来栄えも素晴らしい。中でも特筆すべきは、ハンドリングの安定感だ。

もちろん、飛び抜けてシャープな回頭性とか、極めて限界性能が高いといった、スポーツカー的なフィーリングではない。ヤリスのそれは、曲がり始めてから旋回が終了するまで、車体の挙動が常に安定していて、曲がり込んだコーナーの後半でも、外側に膨らむことがないのである。そのため、高速道路のインターチェンジなど、大きく曲がり込む道を旋回するような時でも、ドライバーの思い通りに走ってくれるから、不安を覚えることがないし、ドライバーは安心して運転できる。

それでいて、高速道路を走っても、ビシッと直線安定性が高く、車体がフラつかない。曲がる時もまっすぐ走る時も、クルマがドライバーの思い通りに動いてくれる印象だ。

そうした美点の源として、サスペンションのチューニングなど、いくつか要因を挙げられるが、根底をたどれば、ボディが強固に作られていることに尽きる。ヤリスの資料には、ドアやリアゲートといったボディ開口部の周囲に、環状構造や結合部の強化など、車体をより頑丈にするための工夫が、6つも7つも並んでいるが、いずれも、トヨタのコンパクトカーとして初めて導入されたもの。それらが礎となり、乗り味の大幅なレベルアップを実現しているのである。

新型車ヤリスをドライブして実感したのは、クルマとしての基本性能の向上だ。その伸び代は、想像をはるかに上回るものだった。「世界のライバルと戦い、頂点を狙えるコンパクトカーを作る」というトヨタの野望は、とんでもないコンパクトカーを生み出したようだ。実際、動的な能力はクラストップのレベルにある。控えめに表現しても、ヤリスの走りはコンパクトカーの常識を変えることだろう。

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドG(2WD)
ボディサイズ:L3940×W1695×H1500mm
車重:1060kg
駆動方式:FF
エンジン:1490cc 直列3気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:電気式無段変速機
エンジン最高出力:91馬力/5500回転
エンジン最大トルク:12.2kgf-m/3800〜4800回転
モーター最高出力:80馬力
モーター最大トルク:14.4kgf-m
価格:213万円

<SPECIFICATIONS>
☆Z(2WD/CVT)
ボディサイズ:L3940×W1695×H1500mm
車重:1020kg
駆動方式:FF
エンジン:1490cc 直列3気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
最高出力:120馬力/6600回転
最大トルク:14.8kgf-m/4800〜5200回転
価格:192万6000円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング