日本が誇るガラパゴス車「軽トラ」の歴史を振り返る
&GP / 2020年4月7日 21時0分
日本が誇るガラパゴス車「軽トラ」の歴史を振り返る
日本は国土が狭いため、住宅が密集するエリアでは細い路地が複雑に入り組んでいます。また、広大な農地でも農道は狭く、大きなトラックは通ることができません。
そんな日本で発達したクルマの1つが、軽トラック=軽トラ。中小企業や個人事業主の足として高度経済成長期を支え、現在でも多くの職種で仕事グルマとして活躍している、日本の経済・産業になくてはならない存在です。
また、近年では軽トラの荷台にシェルを載せてキャンピングカーにしたり、軽トラをカスタムして楽しむユーザーも増えています。
広大なアメリカではピックアップトラックが多くの人から選ばれているように、日本では小さな軽自動車が大活躍!
そんな軽自動車の歴史を見ていきましょう。
■オート3輪から発展
戦後、日本ではオート3輪と呼ばれる前1輪、後ろ2輪の貨物車が街を行き交っていました。オート3輪で有名なのは、ダイハツが製造したミゼットでしょう。オート3輪は他に、マツダ、新三菱重工業などが製造していました。
▲ミゼット
そして1955年、スズキは同社初の4輪車であるスズライトを発売。スズライトのボディバリエーションは、セダン、ライトバン、ピックアップの3種類。スズライトのピックアップはボンネット型のトラックタイプでした。
そして1960年には東急くろがね工業がくろがねベビーという軽4輪トラックを開発します。くろがねベビーはフルキャブ型の軽自動車で、ライトバンとトラックを設定。これが現代の軽トラックの元祖と言われていますが、東急くろがね工業は1962年に自動車製造から撤退しました。
1960年には現在も製造されているダイハツハイゼットが登場。ハイゼットもスズライト同様に、初代は現在のようなキャブオーバータイプではなくボンネットが存在する形でした。
翌1961年には富士重工業から初代サンバーが登場。サンバーは初代からRRレイアウト、4輪独立懸架という独自のシステムを採用。これはスバル360の技術を用いて開発されたためと言われています。
▲スズキ「スズライト キャリイ」
また、1961年にはスズキからスズライトキャリイが登場します。この頃からオート3輪に代わり、4輪の軽トラックが主流になっていきます。
マツダは1961年に軽商用車のB360を発売。B360にはライトバンとトラックが設定されました。そして1968年には後継モデルとしてポーターを発売。ポーターはトラックとバンが用意され、さらに1969年にはキャブオーバー型トラックのポーターキャブが発売されます。ポーターキャブは1989年まで発売され、その後はスズキからOEMを受け、スクラムトラックを販売しています。
▲ホンダ「T360」
そして1963年にはホンダからT360が登場。これはホンダ初の4輪車であり、日本初のDOHCエンジン搭載車でもあります。ホンダが4輪に進出する際、並行してスポーツカーの開発も進めていました。1962年には、建設途中の鈴鹿サーキットに本田宗一郎氏が試作車であるS360に乗って登場した記録も残っています。
しかし、発売時はまずT360を発表、次いで同年10月にスポーツモデルのS500が発表されました。
▲三菱「ミニキャブ」
1966年には三菱重工業(のちに自動車部門が独立して三菱自動車工業に)がミニキャブを発売。ミニキャブにはトラックとバンが設定されていましたが、デビュー時はまずトラックからスタートしています。
現在、軽トラックは国産8メーカーから販売されていますが、製造しているのは実はたったの3社だけです。
▼ダイハツハイゼットトラックのOEM
トヨタ「ピクシストラック」
スバル「サンバートラック」
▼スズキキャリイのOEM
日産「NT100クリッパー」
マツダ「スクラムトラック」
三菱「ミニキャブトラック」
▼独自製造
ホンダ「アクティトラック」
この中で、ホンダのアクティトラックは2021年6月で生産終了というアナウンスが出ています。ホンダは他メーカーからのOEMを受けないメーカーとして知られています。ホンダが軽トラから撤退した後に、新たなモデルが出てくるのか、それとも完全撤退か、あるいは初めて他社からのOEMを受けるのか。気になるところです。
(文/高橋 満<ブリッジマン>)
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