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純度99.9%のカーボン削り出し!鍋のF1は素人でも使いこなせるか検証した

&GP / 2020年5月22日 15時0分

写真

純度99.9%のカーボン削り出し!鍋のF1は素人でも使いこなせるか検証した

「カーボン」と聞いて、あの独特の編み込み模様を想像する人は多いのではないでしょうか?

軽く、高強度、高剛性、高耐熱性の特性を持ち、レーシングカーやアタッシェケース、ゴルフのシャフトなどに使われているアレです。

でも、それはカーボンファイバーのこと。今回は、同じく“カーボン”と呼ばれますが、カーボングラファイトの話です。

カーボンファイバーとカーボングラファイトの違いは、ざくっというとカーボンファイバーは、アクリル繊維などを高温で熱して炭化したもの。単独で使われることがなく、他の合成樹脂と組み合わせて編み込んで使うため、あのような繊維の柄になっているのが特徴です。

対するカーボングラファイトは、炭を高温で熱して熱して不純物を焼き切った純粋な炭。つまり炭素素材を黒鉛化したものなのです。カーボンファイバーは前出のようなコンシューマー向けの製品にも使われますが、こちらは機械部品など工業的な用途で使われます。なので、あまり素材そのものを目にする機会はないかもしれません。

前置きが長くなりましたが、そんな工業用として使われる純度99.9%の炭(カーボングラファイト)を削り出した調理器具があるのです。

それがアナオリ カーボンの「アナオリカーボン ポット」です。

すでに「アナオリカーボン ポット オーバル」(9万2400円)、「アナオリカーボン ポット ボリューム」(5万2800円)、「アナオリカーボン ポット ココット リンゴ」(3万4100円)、「アナオリカーボン ポット ディスク」(9万7900円)と形と大きさ、用途の違う4種類をラインナップ。他にグリルも2種類発売されていますが、ここでは割愛させていただきます。

単純に額面だけを見れば、高価な鍋だなと思います。そもそもカーボン自体が高価ですし、ほかのカーボンファイバーの製品もプロ用製品か高級品にしか使われていませんから仕方ないかなと思います。

でもカーボンポットの大事なところはそこではありません!

「カーボンで鍋を作って意味があるの?」ということ。

レースの世界では軽くて強靭なパーツが求められるのは分かりますし、ゴルフのシャフトも同様です。でもカーボンポットは、鍋です。鍋をカーボンで作って、ただ高価なだけでは意味がありません。

そこで今回、カーボン鍋は素人が使っても分かるか検証しました。

ちなみにこの鍋の特性は、カーボン素材による熱伝導率が高く、炭の遠赤外線効果が高く、肉厚構造による蓄熱性が高いということです。

■美しく強く、そして機能的な鍋のできるまで

アルミ製の雪平鍋や銅製の卵焼き器、鉄製のフライパン…鍋は工業製品であり、日常的に使うものながら機能美の塊。このカーボン製の鍋もまたその1つ。

洋風の雰囲気ながら、れっきとした日本製。作っているのは大阪に拠点を構える1962年に創業のアナオリカーボン。工業用カーボングラファイトの精密加工、カーボンファイバーを用いた素材の加工などを50年以上手がけるモノづくりの会社です。

カーボン素材を活かした調理器具の研究は、20年以上も前から。某大手電機メーカーの内釜に採用されているので、知らず知らずのうちにアナオリカーボンの実力を舌で感じている人も多いかもしれません。

「アナオリカーボン ポット」の製造工程は、原料作り→成形→寸法確認→磨き上げ→セラミックコート→カラーコート→検品・出荷。

上写真の筒状のものが、鍋の元となる純度99.9%のカーボングラファイト。膨大な圧力と3000℃での焼成を繰り返し、作り上げるまでに掛かる日数はなんと100日! というから驚きです。

0.01mm単位まで対応できるる切削加工技術を用い、オール加工成形ならではの高い精度を実現。本体にフタがピタッと閉まる密着精度には匠の技が光ります。

溶かして固めるわけではなく、素材となる炭素体を1つずつ削り出して成形。成形後は寸法を確認し、滑らかな曲線の鍋に仕上げられていきます。

寸法を確認した後の磨き上げの工程では、削り出したポットを職人が手作業で1つずつ丁寧に研磨。

この後、内側がセラミックコーティングされ、外側にはマットなコーティングが施されて完成です。手作業で仕上げられるため、個体差が個性となって愛着が湧きます。

国宝永保寺からヒントを得たという、三角形が連なったシンプルかつ美しいフォルムで、「GOOD DESIGN AWARD2016」をはじめ数々のデザイン賞を受賞しているのも納得。

機能的面で特に秀逸なのが、このフタと鍋。フタには2箇所の凹みがあって、本体の目印に合わせると蒸気の通り道ができる構造です。

このフタを上から見た状態がオーディオのボリュームつまみに見えるのが、その名「アナオリカーボン ポット VOL.(ボリューム)」の由来。ピタッとハマって気持ちよく、まさに高級なボリュームダイヤルのようにスムーズに回せます。

ちなみにスペックは以下の通りです。

外径:22.0cm
高さ:12cm
容量:2.1 L(満水時)
重さ:2.0Kg
素材:カーボングラファイト
内面:セラミックコート
外面:耐熱塗装
熱源 : ガス直火・IHクッキングヒーター・他対応

■カーボン鍋の実力を検証した

実はカーボンの鍋で作られたプロの料理は食べたことがあります。ありますが、プロが作っているので美味しいのは当然です。しかも、それでは鍋の実力がわかりません。そこで今回、使ってみました。料理は素人ながら、モノ好きなので素材違い、形違いでさまざまな鍋を持っており、料理に合わせて使い分けています。

「アナオリカーボン ポット ボリューム」は、お米を2~3合炊くのにちょうどいいサイズ。底面がフラットで「炊く」「煮る」に加え「焼く」「炒める」「オーブン」に適しています。

■まずは基本となる炊飯

アナオリカーボン ポットは、もともと「世界でもっとも美味しい炊飯ができ、素材の味を引き出せる調理器具」を目指して開発してきたというだけに、そんなに違うのか、まずはご飯を炊いて検証。

炊き方は、レシピブックにあった通り、米3合に水630mlを加え、最初に強火で沸騰させた後、中火で5分、中火弱で8分炊きます。火を消した後、10分蒸らして完成です。

その結果、陳腐な表現しか出ませんが、ツヤツヤで粒が立ったふっくらごはん! 10年以上、鋳物鍋、土鍋、ステンレス鍋、圧力鍋といろいろな鍋でごはんを炊いてきましたが、今まで炊いてきた鍋と全然違いました。

使ってから知りましたが、高級電気炊飯器の内釜に使われているということですが、それも納得です。考えようによっては、高級炊飯器の半額以下でこの鍋が手に入るのなら、安いものではとも思いました。

■焼いて保温!ローストビーフ

次に作ったのが、キャンプでもよく作るローストビーフ。

カーボンの熱伝導率と蓄熱性の高さがどうなのか、試してみました。

サラダ油を熱し、牛肉を入れて中火にし、転がしながら4〜5分。全面に焼き色がついたら、フタをして弱火にして3分焼いたら裏返し、同様に3分焼きます。もう1度裏返して火を止め、フタをして15分ほどおき、取り出して粗熱を取れば完成です。

作り方はレシピブックに添いましたが、肉の大きさが若干違うのと、タコ糸は巻いていません。

材料は、牛モモブロック(450g)、塩小さじ2/3、黒コショウ小さじ1/2。ソースが赤ワイン1/4カップ、トマトケチャップ大さじ2、ウスターソース大さじ1。

使って分かったのは、内側のセラミックコーティングのすごさと、密閉性、蓄熱性の高さ。全然お肉が鍋にくっつかず、鍋離れがいいのにびっくり。

実はこれが2回目で、フタをして15分のところを10分に変更。それでも密閉性、蓄熱性が高いため、火が入りすぎたので、もっと短くていいかもしれません。

とはいえ見た目以上に美味しくできました。

■最後は野菜の水分を利用する無水カレー

最後に作ったのは無水チキンカレー。

カレーはよく作りますが、無水カレーは初めて。よく旨味を逃さないといいますが、本当に野菜の水分だけで料理ができるのか半信半疑。

0.01mm単位の加工精度で削り出したフタと本体との密閉性を検証してみました。

フタの裏ある凹凸のある円状の溝に、食材から出た水分が蒸気となり集められ、水滴となって食材に落ちます。水滴となって食材に落ちることで、旨味がより凝縮された味わいになります。

無水チキンカレーの材料は、鶏手羽元8本、塩小さじ1、玉ねぎ2個、トマト3個、ニンニク2片、生姜1片、 小麦粉大さじ1、サラダ油小さじ2、 バター10g コンソメの素大さじ1/2、カレー粉大さじ1、ガラムマサラ小さじ1、ローリエ2枚、塩少々。レシピには生クリームも載っていますが手元になかったので割愛。

鶏肉に小麦粉をまぶして焼き、一度取り出します。 バターを熱して玉ねぎを炒め、しんなりとしたらニンニクと生姜を加え、薄いきつね色になるまで炒めます。 トマト、コンソメの素、カレー粉、ガラムマサラを入れ、取り出してあった鶏肉とローリエをのせ、フタをして中火で加熱する。鍋のフチから蒸気が出てきたら弱火にして約40分加熱すれば完了です。

まず驚いたのが、小麦粉をつけた鶏肉が鍋底にくっつかず、食べた時にホロホロとほぐれ落ちたこと。そして、本当に玉ねぎとトマトの水分だけでカレーができたこと。

密閉度の高さと、鍋ブタ構造の実力を実感しました。

* * *

料理した結果どうだったのか?

使ってみての感想は、素人でも確実にその違いが分かるくらい明確。逆にいうと素人が使った方が分かりやすく、料理がおいしくできるのではないでしょうか。

特に感動したポイントは3つです。

1.密閉性の高さ。無水カレーを作って最後にフタを開けた瞬間、水が滴り落ちる量がすごかった。

2.鍋離れの良さ。お肉を焼いてもまったく焦げ付かず、ヘラでサッとすくえるスムーズさ。

3.米の立ち具合。フタを開けた瞬間に、粒が立っているのはもちろんツヤツヤ感には驚きました。

 

>>ANAORI CARBONE「アナオリカーボンポット ボリューム」

取材・文/澤村尚徳<&GP>

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