トランスフォームしそう!?大胆フェイスのヤマハ「MT-25」は力強い走りも自慢です
&GP / 2020年5月16日 19時0分
トランスフォームしそう!?大胆フェイスのヤマハ「MT-25」は力強い走りも自慢です
先のモデルチェンジで、フロントマスクが大胆に一新されたヤマハの250ccバイク「MT-25」。その派手な見た目に負けず劣らず、走りの方も実にスポーティです。
今回はそんな、大胆なルックスと力強い走りを兼備した、個性派バイクの実力を検証します。
■MTシリーズの一員らしい斬新なロボット顔
「コレ、絶対トランスフォームするでしょ!?」。モデルチェンジで顔が大幅に変わったヤマハの“クォーターネイキッド”であるMT-25を見て、大抵の人はそう思うのではないでしょうか? 新型は、MTシリーズの一員らしい斬新なロボット顔(!?)になりました。
目に相当する2灯はポジションランプ。口の部分がヘッドランプで、LEDのビームライトが採用されました。テールランプや前後のフラッシャー(ウインカー)もLEDタイプ。250ccなのに贅沢ですね!
もちろん変わったのはフロントフェイスだけではなく、タンク回りのデザインにも手が入れられ、グッと迫力を増しました。樹脂製のタンクカバーが下方に延び、また、一体感を増したサイドのシュラウドが、あたかもエンジンへの空気の流れを視覚化しているのも見どころです。丸目ヘッドランプのオーセンティックな、それこそヤマハ「SR400」のようなバイクこそ“ネイキッド”と捉えている自分などは、新しいMT-25を見て「ずいぶん未来に来ちまったなぁ」と時代の流れを感じます。
機能面では、フロントフォークが倒立式になったのが新しいところ。ズドンと太いアウターチューブが、トップブリッジのセパレートハンドル取り付け部から下方に伸びてたくましい。ステアフィールの剛性アップが期待されます。
■エンジンは6000回転を超える辺りから本領発揮!
さっそくMT-25にまたがってみると、安心の足つきの良さ。同バイクのシート高は780mmで、身長165cmにして足の長さにいささか不足のあるライダー(←ワタシです)でも、両足の裏3分の1がしっかり接地します。車重が160㎏と軽いのもうれしいポイントです。
腕を伸ばすと、バーハンドルのグリップ位置が高くて近い。自然と上体を起こした姿勢になります。走り出すと、ステップ位置の関係で足の折り曲げが強めなので、長身をもてあましているようなライダーは少し窮屈に感じるかもしれません。一方、アップライトなポジションゆえ、街中での取り回しはラクラク。クルクルと曲がれて狭い道も気になりません。
コンベンショナルな鋼管ダイヤモンドフレームに吊るされる249ccの並列2気筒エンジンは、1万2000回転で35馬力の最高出力と、1万回転で2.3kgf-mの最大トルクを発生。アウトプットの数値はこれまでと変わりません。180度のクランク角を持つ、素直に吹け上がるパラレルツインです。6000回転を超える辺りから「本領発揮!」といった感じが、いかにもスポーティ。高回転域に向かってパワーが盛り上がっていくさまは2気筒ならでは。爽快です。低回転からの伸びがスムーズなので、走り始めのトルクにも不満を感じません。
足回りもパワーソースに準じたスポーティなもの。やや締まった乗り心地が好ましい。倒立化したフロントフォークの恩恵もあるのでしょう。接地感の高さが、旋回時の安心感につながっています。MT-25は、慣れるに従ってドンドン“回して”走るようになるので、リラックスできるライディングポジションがいささか物足りなくなってくるのが、個人的には悩ましい。MT-25は「意のままを、遊ぼう。」のキャッチフレーズ通り、高いポテンシャルを秘めたスポーツネイキッドですね。価格は62万1500円です。
■パラレルツインを堪能したいならMT-25
それにしても、昨今の国内でのクォーターモデルの充実ぶりはうれしい限り。MT-25の直接のライバルは、ツリ目二眼が凛々しいカワサキ「Z250」(61万0500円)ということになりましょうが、ホンダからはシングルスポーツの「CB250R」(56万4300円)が出ていますし、スズキは驚異のコストパフォーマンスを誇る油冷単気筒の「ジクサー250」(44万8800円)を投入予定。
これほどまでの充実ぶりは、いうまでもなく、2輪メーカーの主要マーケットたるインド、中国、そして東南アジア向けの開発が盛んなおかげです。日本のバイク好きは、彼の方角に足を向けて寝られませんね!?
いうまでもありませんが、ヤマハはMT-25に加え、主にヨーロッパ向けモデルとして、2気筒エンジンをボアアップして320ccとした「MT-03 ABS」(65万4500円)もラインナップします。車名の由来である“マスター・オブ・トルク”に忠実で、余裕を持って走りたいヒトはMT-03、パラレルツインをビンビン回して駆け抜けたい方はMT-25を選ぶことになりましょうか。
ニッポンのヤマハファンは、新興国のトップモデルと欧州のエントリーモデルから愛車を選べる幸運に浴しているわけですね。いずれにせよライダーは、バイクの個性的なルックスに負けないセンスが問われることになりそうです。
<SPECIFICATIONS>
☆MT-25 ABS
ボディサイズ:L2090×W755×H1070mm
車両重量:169kg
エンジン: 249cc 水冷直列2気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:35馬力/1万2000回転
最大トルク:2.3kgf-m/1万回転
価格:62万1500円
文&写真/ダン・アオキ
ダン・アオキ|15年ほど出版社に勤務し、クルマ専門誌、カメラムックなどの編集に携わった後に独立。フリーランスの“カメライター”になる。現在は、2輪・4輪のコンテンツ制作を担当するほか、女性を被写体とした人物撮影も行っている。
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