KTM「RC390」「250デューク」はデザインもハンドリングも個性鮮やか!
&GP / 2020年6月13日 19時0分
KTM「RC390」「250デューク」はデザインもハンドリングも個性鮮やか!
KTMといえば、“READY TO RACE”というキーワードを掲げるオーストリアのバイクメーカー。そのラインナップは、かつてはオフロード向けがメインでしたが、今ではオンロードモデルも多数展開。世界的に高い評価を得ています。
今回は、そんなKTMの最新ロードバイク「RC390」と「250デューク」の魅力についてご紹介します。
■自然とスポーツ気分が盛り上がるRC390
RC390の写真を撮っていたら、「コレ、KTMですか?」と背後から若い男性の声。ついうれしくなって「そうです!」と応えると、「たしかオーストラリアのメーカーですよね」と言葉を続ける。「惜しい!」と心の中でつぶやいて、「いや、オーストリアの方ですね」というと、まるで気にしていない様子で笑ってから、興味津々な様子で排気量と価格を聞いてきました。
390(正確には373.2cc)で66万5000円(2019年モデル)。おそらくもっと大排気量で高い価格を想像していたのでしょう。意外さとうれしさが混じった表情でしげしげとバイクを観察した後、去って行きました。新たなKTMオーナーの誕生を願ってやみません!?
Race Competitionを表す「RCシリーズ」が登場したのは、2014年のこと。デビューからすでに6年が経過していますが、そのクールなスタイルは全く色あせません。三角形に鋼管を組んだトレリスフレームに、単気筒エンジンを搭載。
アグレッシブなフルカウルとクールなプロジェクター式ヘッドランプが、スポーティな凄みを醸します。黒、白、そしてイメージカラーのオレンジが目にも鮮やか。うーん、カッコいい!
一見、シートカバーに見えるテール部分はクッションになっていて、一応、ふたり乗りも可能。RCシリーズはデビュー2年目にマイナーチェンジを受け、スロットル・バイ・ワイヤやスリッパークラッチが採用され、フロントブレーキが強化されました。外観では、マフラーがアンダーカウル埋め込み式から別体となったのが大きな変更点です。
シート高は820mm。メーカー自ら“スーパースポーツ”と謳うだけあってやや高めですが、シートが細身なこともあって足つきは悪くない。149kg(乾燥重量)と軽いことも、足の短いライダー(←ワタシです)の気持ちをラクにさせます。上体を倒してセパレートハンドルに手を伸ばし、バックステップ気味のポジションに足を置くと、自然とスポーツ気分が盛り上がります!
373.2ccのシングルシリンダーは、44馬力/9500回転の最高出力と3.6kgf-m/7250回転の最大トルクを発生。低中回転域からパンチのあるパワーユニットで、少々カドのある回転フィールがむしろ乗り手のやる気を引き出します。6スピードのギヤボックスは低めにギヤが切られているので、RC390の加速力は抜群。街中でも“スパイシーなスモールSS”を実感させます。
細かい曲がりが続く山岳路では、5000回転以上に回転を入れておけば、右手のわずかな動きにもエンジンが噛みつくかのように反応、軽量ボディを思い通りに加速させます。一方、フロント4ピストンのブレーキは見事にスピードを殺し、RCは右に左にと、鋭くボディを倒しながらカーブをこなしていきます。絵に描いたようなシャープなハンドリング!
ハードな走りのイメージとは裏腹に、足回りはしなやかで乗り心地良く、また、バイクの挙動をはっきりと示してくれるのがウレシイ。
KTMのRC390は、操り甲斐のある、まさに小ぶりなスーパースポーツを体現したモデルといえましょう。そろそろ次期モデルのウワサも聞こえてきますが、姿カタチのみならず、その“走り”もいまだ鮮烈さを失っていません。
■街乗りでも“らしさ”を堪能できる250デューク
RCのネイキッドバージョンが「デュークシリーズ」…というか、2011年に登場した「デューク」にフルカウルを与えたのが、3年後にデビューしたRCですね。600cc超のビッグシングルを乗せる先達のデュークに対し、“スモールデューク”と呼ばれることもあります。
当初は、125cc、200cc、390ccのラインナップでしたが、2015年に200ccに代わって、今回の試乗車である250デュークが日本市場に投入されました。搭載される244.8ccエンジンは、前身の「200デューク」が積む199.5ccユニットのストロークを延ばしたもの。72mmのボアはそのままに、61.1mmになったストロークは、実は兄貴分「390デューク」の373.2ccユニットより長いんです。
シートにまたがると、ネイキッドらしいアップライトな姿勢。スロットルを捻って走り始めると、ツインカムのシングルシリンダーはあきれるほど軽く、スムーズ! 手組みのメカチューンエンジンのように(!?)、レスポンスよくヒュンヒュン回ります。30馬力の最高出力は9000回転で得られますが、回転計のゲージは1万回転を超えてさらに伸びていこうとします!!
一方、単気筒らしい実用性もキッチリ備えていて、2.5kgf-mの最大トルクは7250回転で発生しますが、5000回転も回していれば十分速い。トルキーで力強い走りを見せます。
コーナリング時、フロント荷重でシャープにラインを切り取っていくRCと比較すると、カジュアルで軽めなハンドリングがデュークの魅力。ポジションがラクで、軽量ボディの取り回しも良好ですから、ひらりひらりと、街乗りでもKTMらしいスポーティさを堪能できます。
インドのバジャージオートが生産を請け負っていることもあって、ベース価格が58万6000円〜とリーズナブルなことも見逃せません。個性的なシングルネイキッドにして、トータルバランスの良さが光る250デューク。日常使いの頼もしい相棒にもなりそうです。
<SPECIFICATIONS>
☆RC390
ボディサイズ:L1995×W705×H1099mm
車両重量:149kg(乾燥重量)
エンジン: 373.2cc 水冷単気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:44馬力/9500回転
最大トルク:3.6kgf-m/7250回転
価格:66万5000円
<SPECIFICATIONS>
☆250デューク
ボディサイズ:L2090×W755×H1070mm
車両重量:149kg(乾燥重量)
エンジン: 248.8cc 水冷単気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:30馬力/9000回転
最大トルク:2.5kgf-m/7250回転
価格:57万5000円
文&写真/ダン・アオキ
ダン・アオキ|15年ほど出版社に勤務し、クルマ専門誌、カメラムックなどの編集に携わった後に独立。フリーランスの“カメライター”になる。現在は、2輪・4輪のコンテンツ制作を担当するほか、女性を被写体とした人物撮影も行っている。
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