マツダ「MX-30」はココが面白い!②クーペらしく贅沢な新発想インテリアは必見

&GP / 2020年10月12日 19時0分

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マツダ「MX-30」はココが面白い!②クーペらしく贅沢な新発想インテリアは必見

コンパクトSUVの世界的な人気に対応すべく、自動車メーカーから続々とニューモデルが登場。マーケットは一段と活況を呈している。

そんな激戦区にマツダが投入した個性派「MX-30」の魅力はどこにあるのか? 後編となる今回は、クーペSUVらしい贅沢な仕立てと素材使いへのこだわりが光る、インテリアの出来栄えに迫る。

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■マツダのヘリテージ素材をインテリアに採用

マツダの最新コンパクトSUV「MX-30」は、“フリースタイルドア”と呼ばれる観音開きドアを組み合わせた超個性派だ。ボディ側面に4枚のドアを備えるものの、リアドアは後方にヒンジが備わった通常とは逆方向に開くもので、サイズも小さく、フロントドアを開けている時しか開閉できないなど、使い勝手はまるで2ドアのよう。つまりMX-30のパッケージングは、“補助的なリアドア追加した2ドア”と解釈するのが正解だろう。

昨今は世界的に、クーペスタイルをまとったSUVが個性的だともてはやされているが、実用性の低下を顧みず、ここまで開き直ってチャレンジしてきたモデルは珍しい。その理由は、MX-30がマツダにとって初の量産EV(電気自動車)になるからだろう。まずは、ガソリンエンジンに小さなモーターを組みわせたマイルドハイブリッド仕様“e-スカイアクティブG”でスタートしたMX-30だが、2021年1月には、日本仕様にもEV版がラインナップされることがアナウンスされている。「EVはまだまだ特別な乗り物。だからマツダのEVを選んでもらうには個性が大切」と、マツダの首脳陣は考えたに違いない。

そんなマツダには、MX-30と車体の基本構造を共用し、ほぼ同等のボディサイズとなるコンパクトSUV「CX-30」が存在する。しかし、CX-30がデザインと実用性をバランスよくまとめた優秀なパッケージングであるのに対し、MX-30はフリースタイルドアを採用するとともに、リアピラーを寝かせたクーペスタイルとすることで、全く別の世界観を表現している。このキャラクター分けこそ、MX-30がマツダ車のラインナップに加わった最大の理由だが、その新しい感覚はインテリアにも貫かれている。

中でも注目は、コルク材をインテリアの素材として使っていること。MX-30はセンターコンソールトレイなどに、ワインの栓などでお馴染みのコルク材が張られている。インテリアカラー担当のデザイナーによると「量産車のインテリアにコルクを張った例は世界的にない」という。

実はマツダとコルクには、深いつながりがある。1920年に設立された同社の前身である東洋コルク工業は、その名の通り、コルク栓などを製造するメーカーだった。つまりマツダにとってコルクはヘリテージ素材であり、創立100周年という記念すべき年に誕生したMX-30向けとしては、まさにふさわしい素材といえる。

ちなみにコルクというと、使っているうちに表面が崩れてボロボロになりそうだが、そうした心配は無用だ。マツダは、コルクをMX-30のインテリアに採用するに当たって、コルク本来の特徴を生かしつつ、耐久性を持たせるコーティングと成形手法を開発した。コルクの上にトップコート処理を施すことで、耐久性が求められるクルマ用素材として使えるようにしたのである。

マツダ車はこれまで、“ピアノブラック”と呼ばれる光沢ある黒いパネルを使い、インテリアの質感を高めるケースが多かったが、コルクを採用したMX-30のインテリアは、まさにその対極。明るくカジュアル、そしてボタニカルな雰囲気で“自然体”をイメージさせる、クルマらしくない斬新なコーディネートといえるだろう。

また、コルク材の採用には“サステナブル”というメッセージも込められている。コルクは木の表皮から採取される自然素材であり、樹木を伐採せずとも何度でも採取できるから、環境への負荷が小さい素材なのである。

■数々の新たな発想がMX-30の特別感の源

こうした環境への配慮は、MX-30のインテリアを語る上で外せないキーワードのひとつだ。例えば、セットプションの「インダストリアルクラシック」装着車では、ドアトリムのアッパー部に、原料の約20%にペットボトルから再利用した不織布を用いたリサイクルファブリックが採用されている。

さらに、インダストリアルクラシック装着車のシートやアームレストに用いられる“プレミアムヴィンテージレザレット”という素材は、本革ではなく、あえて人工皮革としている。古い価値観から見ると、人工皮革というと「コストダウンのためでは?」と思いがちだが、さにあらず。「本革よりもさまざまな表情を作り込むことができ、さらに、表面のコーティングも少なくて済むため、レザーの触感をよりダイレクトに楽しめる」との理由から、MX-30ではあえて人工皮革が採用されている。

実際、このシートに触れてみると、使い込まれた本革のような質感や風合いが印象的で、自然な肌触りはこれまでの人工皮革のイメージを覆す。しかも人工皮革は、生き物を犠牲にすることなく、また、生産工程において使われる有機溶剤も少なくて済むため、環境に与える負荷が小さいのである。

このように、素材使いにおいてもチャレンジの跡が随所に見えるMX-30のインテリアは、「“自動車の内装材は本革が最も高級”という従来の概念を覆す」というマツダの主張が素直に納得できる出来栄えだ。既存の考えに縛られることなく、新しい上質感を目指したこの挑戦は、MX-30のインテリアに特別感をプラスする源になっていると同時に、次世代のクルマに向けた新たな提案だと感じた。

■意外と使えそうなリアシートと荷室

次世代への提案といえば、MX-30のインテリアでは、構造や機能においても新たな挑戦が見られる。

例えばシフトレバーは、逆L字型の新たなパターンを採用しているだけでなく、レバーの位置自体が高くレイアウトされているのが特徴。スポーツカーの一部でトレンドとなっている、このハイマウントタイプのシフトレバーは、左右のフロントシートを隔てるため室内が狭く感じられるといったネガもあるが、レバーを動かす際の手の動きが自然で、操作しやすいというメリットもある。

またシフトレバーの前方には、ナビゲーション系とは別に、7インチのタッチパネルディスプレイをインストール。ここに空調システムの作動状況を映し出したり、詳細な設定を行えたりしたのは新しい発想だ。この辺りの機能は、今後のマツダ車におけるスタンダードとなる可能性を感じさせる。

ちなみに、MX-30はクーペスタイルを採用していることもあり、リアシートやラゲッジスペースは実用性に劣ると思いがちだが、実は思いのほか使える空間が確保されている。

リアシートは、太く、傾斜したピラーの影響で窓が小さく、閉塞感が強めで、しかも、フロントドアを開けた状態でなければリアドアと開けられないといったネガもある。しかしスペース自体は足下、頭上とも十分で、オトナが長時間座っても不満を感じることはないだろう。

またラゲッジスペースは、小物の収納などに便利なフロア下のサブトランクボックスを含め、400Lの容量を確保。機内持ち込みサイズのスーツケースを4個積み込めるほか、リアシートの背もたれを倒せば、荷室フロアとの段差が小さいフラットな空間を得られるから、ちょっとしたレジャードライブ程度なら不足はないだろう。

エクステリアだけでなくインテリアにおいても、新しい素材やアイデアが豊富に盛り込まれているMX-30。マツダのクルマ作りはいつもチャレンジングだが、MX-30は特に挑戦的な1台だといえる。

<SPECIFICATIONS>
☆MX-30(2WD)
ボディサイズ:L4395×W1795×H1550mm
車重:1460kg
駆動方式:FF
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC+モーター
エンジン最高出力:156馬力/6000回転
エンジン最大トルク:20.3kgf-m/4000回転
モーター最高出力:6.9馬力/1800回転
モーター最大トルク:5.0kgf-m/100回転
価格:242万円〜

<SPECIFICATIONS>
☆MX-30(4WD)
ボディサイズ:L4395×W1795×H1550mm
車重:1520kg
駆動方式:4WD
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC+モーター
エンジン最高出力:156馬力/6000回転
エンジン最大トルク:20.3kgf-m/4000回転
モーター最高出力:6.9馬力/1800回転
モーター最大トルク:5.0kgf-m/100回転
価格:265万6500円〜

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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