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ルンバの技術を活かしたプログラミングロボット「Root」は何ができる?

&GP / 2021年1月23日 23時0分

ルンバの技術を活かしたプログラミングロボット「Root」は何ができる?

ルンバの技術を活かしたプログラミングロボット「Root」は何ができる?

アイロボットジャパンがプログラミングロボット「Root(ルート)」を発表。2月19日発売で、アイロボット公式オンラインストア価格は2万9800円だ。全国の小学校に先着順で1000台(1校につき6台まで)を無償提供する「みんなでRoot!プロジェクト」もRoot専用ホームページ「iRobot Education」でスタートした。

▲アイロボットジャパンが2021年2月19日に発売するプログラミングロボット「Root」(直販価格2万9800円)

Rootは米アイロボットが2019年6月に買収したRoot Roboticsが開発した教育用ロボットで、専用アプリ「iRobot Coding」(Android/iOS/Webブラウザー対応)を利用することでロボットプログラミングを学習できる。

アイロボットはコリン・アングルCEOが旗振り役となって、2009年からSTEMプログラム(Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を学習できる教育モデル)を社内に導入しており、日本でも2017年からルンバの実機を使ったプログラミング教室を開催してきた。

「Root」は、壁に当たるとはね返るバンパーや段差センサーなど、アイロボットのロボット掃除機「ルンバ」シリーズが搭載している機能を踏襲しており、プログラミングによって前後左右に動かしたり、音を鳴らす、光らせる、装着したペンを使って描画したりといった機能を搭載している。裏面にマグネットを搭載していることで、ホワイトボード上での垂直走行も可能だ。

「Root」のディテールをチェック!

■「Root」のディテールをチェック!

▲上部には光センサーやタッチセンサー、LEDセンサーなどを搭載しており、マーカーを装着できるようになっている

▲下部には段差センサーやカラーセンサー、イレイサーなどを搭載する

iRobot Codingアプリを使って直接Rootを動かすだけでなく、アプリ上でのコードのシミュレーションもできるので、グループに1台、もしくは教室に1台といった状況でもスムーズにプログラム作成や確認ができる。

作成したプログラムはクラウド上にアップロードやダウンロードが可能なので、自宅に持ち帰ってプログラミングを続行したり、友達同士や世界中でプログラムを共有したりすることも可能だ。

▲iRobot Codingアプリの画面

米アイロボットのコリン・アングルCEOはRootのオンライン発表会で「プログラミングを学ぶのは英語を学ぶことと同じくらい重要です」と語った。

▲オンライン発表会に登場した米アイロボットのコリン・アングルCEO

「現在はプログラミング言語を流暢に話せる人材が求められています。プログラミングができる人材の需要に応える供給が不足しているのが現状で、プログラミングは子供の明るい将来を約束するスキルだと思っています。

こういった増加するニーズを満たすために我々はRootを開発し、活動を拡大してきました。今後は子供たちのプログラミングに対する興味をかき立てていきたいし、プログラミングを学ぶ楽しさを知ってもらいたい」(コリン・アングルCEO)

アイロボットジャパン 新規事業開発室 執行役員の山田毅氏はプログラミングロボット市場に参入する背景について「世界中でプログラミング教育が注目されている」と語る。

▲アイロボットジャパン 新規事業開発室 執行役員の山田毅氏

「プログラミング教育は課題に対してものごとを要素分解してパターン的に認識し課題を解決していく『思考力』を養うことができます。現在は労働力のうち0.5%しかプログラミングができないため将来性が高く、プログラミング教育を受けた学生は非常に貴重な人材になる。また、かつては英語が国際競争力を高めるためのスキルだったが、今後はプログラミングもそのスキルになります」(山田氏)

日本では2020年から小学校教育にプログラミング教育が採用されているが、「教師も親も学んだことがないから教え方が分からないこと、実際の生活とつながりがなくて習ってからすぐに使えるものではないため、興味がなかなか向かないという課題がある」と山田氏は続ける。

こうしたことから、プログラミングとロボット、さらにルンバの要素を掛け合わせてできたのが「Root」と「iRobot Coding」だという。

ルンバのような動きを自らプログラミング可能

■ルンバのような動きを自らプログラミング可能

「iRobot Coding」は簡単なブロックを組み合わせるだけでプログラミングを学べる「グラフィック・ブロック」、さらにテキスト(Swift言語)で書いたコーディングスクリプトを組み合わせた「ハイブリッド・ブロック」、フルテキストコードで本格的にコーディングができる「フル・テキスト」の3レベルに分かれており、小学生から大人まで幅広い教育に利用できるようになっている。

▲iRobot Codingアプリは習熟度に合わせて3つのレベルで学習ができるようになっている

発表会には、発売前のRootを使って全国の小学校でパイロット授業を実施してきたRootエデュケーショナルインストラクターの為田裕行氏も登壇した。為田氏は「Root」と「iRobot Coding」の魅力について大きく4つあると語った。

▲Rootエデュケーショナルインストラクターの為田裕行氏

ひとつめは「人の役に立つ実用的なロボットとしての未来を感じさせる」ということだ。

「実際に教室で『アイロボットを知っている? ルンバを知っている?』と聞くと、多くの子が知っています。ルンバがどういう仕事をするか、どう役立つか分かっているんです。知っているからこそ、それをRootでやるならどうすればいいか。ルンバみたいな動きを自分で作ってみたいと思えるのが大きい」(為田氏)

ふたつめが「プログラミング教育の第一歩としての敷居の低さ」だ。

「画面の中でプログラミングを学ぶ教材もあるが、Rootの場合は手に触れられるロボットが手元にある。子供たちの第一声が『かわいい!』なんですよね。目に光が灯って、生きているように思える。

さらにルンバを知っているからこそ、こんな動きをするんだなというのが分かる。光らせることもできるし音も出せる。磁石が付いているのでホワイトボードを垂直に上ることができる。

Rootを光らせたい子、動きを楽しみたい子、音を出したい子、曲を作ってみたい子もいる。1つずつ積み上げていかなければならない、練習しなければならないのではなく、最初から自分が好きなこと、やりたいことをすぐに実現できるのが大きい」(為田氏)

3つめは「プログラミング教育の拡張性」だ。

「1時間目はブロックを積み上げていくだけですが、Rootの動かし方も、角度を少し変えたい、1mm単位で動かしたいなど、やりたいレベルが上がっていきます。それに対応できる拡張性があるだけでなく、その上にレベル2、3にも進める。光らせたり、ペンを使って絵を描いたり、音楽で作曲の授業をしたりもできるので、いろいろな授業に組み込める拡張性が魅力です」(為田氏)

4つめが「テクノロジーで問題を解決するロールモデルの存在」だと為田氏は語る。

「ロボットのプログラミングができるだけでなく、その先にルンバがあってアイロボットがあってコリン・アングル(CEO)の存在があります。世の中はこうやって社会を変えていける、行けたんだというのが子供たちにとって分かりやすい。

ロールモデルがあることで、触ったロボットがどんなところまで行けるのか分かるんです。ゆくゆくはアイロボットのエンジニアがRootでプログラミングするとこんなすごいことができるというのを見せてもらったりとか、そこまでつなげられるのがRootの魅力です」(為田氏)

アプリだけでプログラミング体験も

■アプリだけでプログラミング体験も

筆者も実際にiRobot Codingアプリを使ったRootのプログラミングを体験してみたが、ブロックを並べるだけで上下左右に動かす、回転させる、好きな色に光らせたり、好きな音階で音を鳴らしたりといったことがとても簡単にできる。

▲レベル1でブロックを並べてみたところ。ブロックをタップすると細かい調整ができる

アプリとRootをペアリングして動作させたり、ペアリングを解除してシミュレーションで動かしたりといった操作もスムーズで、全くストレスを感じることはなかった。

▲同じプログラムをレベル2で開くと、ブロックとパラメーターが表示される

BluetoothやWi-Fi経由でアプリと機器を接続する場面は、ITリテラシーの高さに関係なく失敗することも多いため、たくさんの子供たちがいる学校の教育現場では、こういった操作性のスムーズさは助かるのではないかと感じた。

▲レベル3で開くと、テキストコードを編集できる

▲5桁の英数字によるパスワードを使うことで、プログラムのクラウドへのアップロードやダウンロードが簡単に行える

ブロックを選ぶと動く距離を1mm単位で調整したり、音の高さや長さ(音符の種類)、光の色などを変えたりできるので、習熟度に合わせてやりたいことにすぐにチャレンジできる。

クラウドに保存されたプログラムを読み込むのも、パスワード(5つの英数字)を入れるだけなので、個人情報が流出する心配もなく、高度なプログラミングを読み込んで体験するということも簡単だ。

▲アイロボットのロゴを描くデモプログラムをダウンロードして動作させてみたところ

「全国でパイロット授業をやっていると、子供たちの発想がRootによって引き出せるのを感じました。昨年末のクリスマスシーズンでは、LEDを赤と緑に光らせてジングルベルを鳴らすという発想が出てきました。

2~3人のグループで1つを使っていたのですが、2つのRootを組み合わせて一緒に演技させようとか、そういう発想が自然に生まれるのが面白いです。Rootを一回使ってみてクラウドに保存し、自宅で続きをやって、また友達に見せるということもできます。

(持ち帰る場合は)タブレットやパソコンなどが必要になりますが、子供たちの発想がさらに広がっていくと思うので、没頭して深めていく体験になればいいなと思っています」(為田氏)

iRobot Codingアプリは既に無料ダウンロードが可能なので、STEM教育に興味のある方は一度ダウンロードしてみてはいかがだろうか。

>> アイロボット「Root」

<取材・文/安蔵靖志>

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安蔵靖志|IT・家電ジャーナリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー、スマートマスター。AllAbout家電ガイド。ITや家電に関する記事執筆のほか、家電の専門家としてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。Facebookはこちら

 

 

 

 

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