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“いい写真が撮れる”気分になるカメラ「フジフイルム X-Pro2」

&GP / 2016年5月25日 20時30分

“いい写真が撮れる”気分になるカメラ「フジフイルム X-Pro2」

“いい写真が撮れる”気分になるカメラ「フジフイルム X-Pro2」

多くの小型カメラが、どちらかといえば何かを犠牲にすることなく、普段使いのバッグに入れ、片手でも扱えることをウリにしているのに対して、フジフイルム「X-Pro2」は、撮るために何かを犠牲にする覚悟があり、だからこそ性能をフルに発揮できるカメラだと言っていい。性能は現在のトップレベルにある。

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カメラは厳密に言えば、プロ専用のモデルは存在しない。たとえばフジフイルム「X70」とプロユースである「X-T1」とは同じセンサーとプロセッサーを搭載しており、つまり画質は全く同じである。最高級品とエントリー機で画質が変わらないのだ。

 

x-pro2 フジフイルム「X-Pro2」

 

時計に似ているかもしれない。同じムーブメントを搭載していれば100万円の時計も10万円の時計も精度は同じだ。では何が違うかといえば、たとえば防塵防滴といった性能であったり、高いレベルで仕上げたデザインであったり、質感や手触りにもこだわったダイヤルなどに現れている。

X-Pro2は名前に「Pro」と入っているように、プロユースを強く意識したつくりになっている。このカメラは、フジフイルムのXシリーズのフラッグシップである。フラッグシップとはそのメーカーの最高レベルの技術によって作られ、ラインナップを象徴する製品を指す。フジフイルムのXシリーズの特徴であるクラシックデザインとダイヤルを基軸としたオペレーションを極めたと言っていい。

 

DSCF5768 レンズ:XF18-55mm F2.8-4 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/120秒 絞り優先AE

 

世界でこのカメラだけという「アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー」を内蔵しており、ライカのようなブライトフレームをデジタルにした「ERF(エレクトリックレンジファインダー)」と、デジタルカメラの基本形である「エレクトリックビューファインダー」を切り替えて使うことができる。

 

DSCF5804 レンズ:XF18-55mm F2.8-4 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/3000秒 絞り優先AE

 

わかりやすく簡単に違いを説明すると、ERFはピントの影響を受けずにダイナミックなスナップを取るのに向いていて、EVFは写るままに見えるデジタルのメリットをそのまま甘受できる。それを自由に切り替えて使えるのだ。画素数もこれまでの16Mから24Mに引き上げられ、画質の点でもトップレベルとなった。

 

DSCF5785 レンズ:XF18-55mm F2.8-4 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/1700秒 絞り優先AE

 

一般の使用でここまでの高性能は必要ないのではないかと思うほどの機能だが、ミルスペック(正規の軍仕様)のミリタリーウエアのほうが無駄な飾り気がなくカッコいいのと同じで、プロ仕様のカメラならではのストイックさが美しささえ感じさせる。手にしていると良い写真が撮れそうな気がしてくる。
”アフォーダンス”とデザインの世界で呼ばれるが、ボディの曲線が手に馴染むとカメラの扱い方を導くように教えてくれる。ラミーの万年筆がそれを使うことで正しい持ち方を覚えられるようにデザインされているそうだが、このX-Pro2も同じだ。

 

DSCF5761 レンズ:XF18-55mm F2.8-4 絞り:F5.0 シャッタースピード:1/1400秒 絞り優先AE

 

センサーの性能が上がったことで、よりレンズの良さもわかるようになった。だが何本ものレンズをもってプロを気取るより、一本のレンズを完璧に使いこなせるようになってこそ、このカメラのProと冠された理由を理解できるのではないだろうか。

 

xpro2 レンズ:XF18-55mm F2.8-4 絞り:F4.5 シャッタースピード:1/1800秒 絞り優先AE

 

とくにモノクロの新しいモードとして搭載された「アクロス」は美しく、これまでのデジタルで見たことがない階調で、フィルムと区別できる人は少ないだろう。佇まいと名前だけではなく、性能もプロの名に恥じない最高レベルのカメラだ。

 

(文・写真/内田ユキオ

uchida yukio うちだゆきお/写真家

1966年、新潟県両津市(現在の佐渡市)出身。公務員を経てフリーに。タレントなどの撮影のかたわら、スナップに定評がある。執筆も手がけ、カメラ雑誌や新聞に寄稿。現在は写真教室の講師も務める。自称「最後の文系写真家」。データや性能だけではないカメラの魅力にこだわりを持つ。

 

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