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知っておきたい接着剤選びのポイントと失敗しない使い方【達人のプラモ術<道具編>】

&GP / 2021年8月21日 7時0分

知っておきたい接着剤選びのポイントと失敗しない使い方【達人のプラモ術<道具編>】

知っておきたい接着剤選びのポイントと失敗しない使い方【達人のプラモ術<道具編>】

【達人のプラモ術】
「達人御用達接着剤カタログ」

戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。今回はプラモデル製作に欠かせないツール第2弾、接着剤について取り上げます。近年は接着剤不要のスナップフィットのキットも増えてきていますが、まだまだ必要な道具のひとつです。とはいえ数多くの種類が発売されているなか、どれを選べばいいのか…。そこで使用頻度の高い接着剤の選び方や使い方をプラモの達人が指南します!

*  *  *

■接着剤の種類を知っておこう

プラモデル用接着剤は、現在多くの種類が販売されています。昨今は模型店だけではなく大手量販店などでも扱っており、入手しやすくなりました。

店頭では、種類の多さにどれを選べば良いのか悩んでしまうほどさまざまな種類の接着剤が並んでいます。プラスチック用の接着剤だけではなく、エッチング素材などの金属パーツや樹脂パーツを接着する瞬間接着剤。さらにはエポキシ接着剤、透明部品やメッキ部品の接着にも便利な多用途接着剤などもあります。

こうした中から今回は、プラモの製作で使用頻度の高い基本的プラ用の接着剤と瞬間接着剤にスポットを当てています。

接着剤選びのポイントは素材や用途に合わせて選ぶことです。例えば一般的なスチロール用接着剤ではレジンパーツやエッチングパーツは接着できません。また一般的な瞬間接着剤は硬くて切削性が良くありません。パーツの接着や加工、改造等、用途に応じて接着剤を使い分けることで、プラモ製作を効率良く進められます。

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中

 

■プラスチック(スチロール樹脂)用接着剤

80年代初頭ぐらいまでは、プラモデルにはチューブ入りのプラ用接着剤が付属していましたが、現在は付属していません。なので別途購入しなくてはいけないわけですが、まずはスチロール樹脂(プラスチック)用接着剤を用意しましょう。通常タイプと、細かいパーツの接着に使い勝手の良い流し込みタイプ。この2本を揃えておけばOKです。

 

▼タミヤ「タミヤセメント(角びん)」(220円)

もっともべーシックなプラモデル用接着剤。やや粘度があり、乾燥後の接着強度もしっかりと確保できる。四角いビンは倒れにくく、万が一倒れても中身がこぼれにくくなっている。

 

▼タミヤ「タミヤセメント(流し込みタイプ)」(330円/速乾374円)、

サラサラタイプで、パーツの接着面を合わせておいて、すきまに流し込むタイプの接着剤。毛細管現象を利用して小さなすきまにも流れ込みしつかりと接着が可能。付属の刷毛は極細面相筆となっている。粘度のある通常タイプと適材適所で使い分けるのがベターな使い方。乾燥がより速い速乾タイプは本当に乾燥が速く、接着剤のはみ出しが少なく、接着面がきれいに仕上がるので小さなパーツの接着にも使い勝手が良い。

 

▼タミヤ「タミヤリモネンセメント」(352円/流し込みタイプ440円)

柑橘類から抽出されるリモネンを使用しているオレンジの香りの接着剤。有機溶剤特有の刺激臭がなく、小さな子どもでも安心して使える接着剤。塗料を溶かすことができないので、塗装したパーツは接着面の塗装を落としておく必要があるので注意。サラサラタイプの流し込みタイプ版もある。

 

▼Mr.ホビー「Mr.セメントS(流し込みタイプ)」(275円)

Mr.ホビー製の低粘度流し込みタイプ接着剤。飛行機模型の胴体や主翼部等、接着面積が大きく強度が必要な部位でもサッと流れ込んでいくので、効率よくパーツを接着できる。より接着力が強く速乾性のある「Mr.セメントSP」(330円)もある。

 

▼Mr.ホビー「Mr.セメントSPB(ブラック)」(352円)

黒い顔料が添加された低粘度流し込みタイプ接着剤。接着部分が黒く着色されるの確認しやすい。またプラ板工作時等の際には合わせ目が黒く残ってアタリとなるので、正確な寸法出しがしやすいといったメリットもある。

 

■瞬間接着剤

近年のプラモデルはエッチングパーツ(ステンレスや真ちゅう製の金属製ディテールアップパーツ)やレジン樹脂製パーツを組み合わせたキットが多くなっています。こうした異種素材はプラ用の接着剤では接着できないため瞬間接着剤を使用します。また瞬間接着剤は、接着のみならず継ぎ目処理や盛り上げ改造などプラモ製作のシチュエーションに応じてさまざまなタイプが発売されています。

 

▼タミヤ「タミヤ瞬間接着剤(ゼリータイプ)」(396円)

もともと接着面積が少ないパーツや繊細なエッチングパーツといった金属パーツなどの接着に使用する瞬間接着剤。粘度の高いゼリー状なので点着けがやりやすく、また硬化まで時間が取れるのでパーツの位置決めがしやすいといったメリットがある。

 

▼タミヤ「タミヤ瞬間接着剤(使い切りタイプ)」(484円)

一度開封した瞬間接着剤は、劣化しやすいので使い切らないうちにダメにしてしまうことが多い。使い切りタイプは、少量(2g)ずつ小分けされているため、むだなく使いきれる。

 

▼タミヤ「タミヤ瞬間接着剤(イージーサンディング)」(369円)

瞬間接着剤はパーツの合わせ消しなどにも使うことが多いのだが、一般的なものは硬化後に硬くなり切削や研磨しにくい。イージーサンディングはゼリー状で扱いやすく、硬化後もプラに近い硬度なので、切削性が良く加工性に優れた瞬間接着剤だ。

 

▼タミヤ「タミヤ瞬間接着剤(ブラシつき)」(770円)

瞬間接着剤といえば点着けのイメージだが、これはブラシで塗るタイプの瞬間接着剤だ。キャップ付属の刷毛で塗り広げられるので、広い面積に塗布したい場合に便利。プラスチックをはじめ合成ゴム、金属、コート紙などに使える。硬化促進剤と組み合わせて使うとより効果的。

 

▼Mr.ホビー「Mr.ジャスト 超速タイプ」(550円)

硬化するまでの時間が早いチューブ入りタイプの瞬間接着剤。貼り線等のパーツを素早く固定できるのがありがたい。サラサラタイプとゼリー状の中間くらいの粘度があるので、広い面積への塗布や小パーツでの使い勝手が良い。

 

▼アルテコ「アルテコ瞬間接着剤731(耐衝撃)」(実勢価格:750円前後)

アルテコはさまざまなタイプの瞬間接着剤を発売しているメーカーで、731は特に耐衝撃性に優れている製品。同社の瞬間接着剤の中でも金属接着強度が特に高く、衝撃が掛かる部分や点付けしかできないパーツの接着に使用すると効果的だ。

 

▼パワーエース「強力瞬間接着剤 高切削性 中粘度」(実勢価格:850円前後)

タミヤのイージーサンディングと同じく、硬化した後に極端に硬くならないので、切削や研磨など加工性に優れる。中粘度タイプなので盛り上げ(プライマー併用推奨)もできる。

 

▼パワーエース「強力瞬間接着剤 低白化・低粘度」(実勢価格:800円前後)

瞬間接着剤は湿度が高い時に使うと、接着面とその周囲の塗装面などに霜が降りたように白濁化しガサガサに荒れることがある。そういった時に低白化タイプの瞬間接着剤を使うと、白濁による塗装面へのダメージを抑えられる。

 

▼ウェーブ「瞬間接着剤×3G(高強度)」(495円)

通常瞬間接着の約2倍の引っ張りせん断強度を持つ。2gあたり約150円とコストパフォーマンスに優れ、劣化を避けるために小分けされた使い切りタイプ(3本入り)になっているのがありがたい。“×3G”シリーズにはハイスピードタイプと低白濁化タイプもある。

 

▼ボークス「盛着」(367円)

ボークスも各種瞬間接着剤をラインナッしており、盛着(モリチャク)はパテのように盛り固められるタイプの中粘度瞬間接着剤。プラモの改造工作などで使用頻度が高く、レジンパーツの気泡埋めやパーツの欠け補強などに使用する。

 

▼フィニッシャーズ扱い「一滴粘ワンパンチセメント2000(サラサラ)」(1320円)

海外製の瞬間接着剤だが、プラ、金属、レジン、ABSや紙など多用途に使用できる。また硬化後の切削性、強度も高い。白濁化しにくいサラサラタイプだが、一般的な瞬間接着剤に比べるとやや粘度があるので使い勝手が良い。高粘度タイプもある。

 

■あると便利!接着剤周辺アイテム

▼面相筆

接着剤のフタに付属している筆はありがたいのですが、軸が短いので、奥まったパーツ部分の接着や、長いパーツに一気接着剤(主に流し込みタイプ)を塗布したい時には、途中で接着剤が乾いてしまったりと少々役不足です。そこで塗装に使用する面相筆を1本接着剤用に使用すると格段に作業がラクになります。

 

▼スプレープライマー(硬化促進剤)

瞬間接着剤は、瞬間とは言いながらつけ過ぎるとなかなか硬化しない、また一度接着が剥がれた際に再接着しようとすると、やはりなかなか固まりません。そうした場合は、硬化促進剤を使うことでアッという間に硬化させられます。硬化促進剤はアルテコやウェーブなど瞬間接着剤メーカーから発売されています。筆で塗るタイプもあり、パーツの片面に瞬着を、片面に促進剤を塗布して合わせることで、がっちりと接着できます。

 

▼瞬間接着剤用プライマー

PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABSといった素材は瞬間接着剤が上手く固着しません(硬化後に剥がれる)。こうした樹脂素材には、接着面にタミヤ「瞬間接着剤用プライマー」(770円)を塗布してやると瞬間接着剤の食いつきを高めてくれます。

 

■ひと工夫!ワンポイントアイデア

▼パーツの合わせ目にはみ出すくらい塗るといい?

通常タイプのプラ用接着剤は、パーツの接合面からちょっとはみ出すくらいに塗布してやると、プラを溶かして盛り上がるので継ぎ目消しのパテ替わりになります。

 

▼付属の筆はカットして使いやすく!

ビン入り接着剤の刷毛は穂先をカッターで斜めにカットすると塗布する際にはみ出しにくく使いやすくなりますよ。

▲本来の刷毛はこのような状態

▲斜めにカットすれば使いやすい!

 

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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