第二次大戦時のアメリカ海軍空母“ビッグE”を洋上ジオラマで製作!【達人のプラモ術<米海軍空母エンタープライズ>】
&GP / 2021年8月28日 7時0分
第二次大戦時のアメリカ海軍空母“ビッグE”を洋上ジオラマで製作!【達人のプラモ術<米海軍空母エンタープライズ>】
【達人のプラモ術】
MENG MODEL(モンモデル)
「1/700 アメリカ海軍航空母艦エンタープライズCV-6」01/06
“戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。今回からは、1/700艦船モデルの最新キットとしてモンモデルから発売されたアメリカ海軍空母エンタープライズCV-6を製作していきます。さらに海面ベースも自作して、最終的には洋上ジオラマを完成させますよ!
* * *
USS Enterprise CV-6(エンタープライズ)は、第二次大戦で活躍したアメリカ海軍の航空母艦です。ヨークタウン級航空母艦の2番艦として建造され、アメリカ海軍でエンタープライズの名を受け継いだ艦の7隻目になりました。ちなみに“Enterprise”は「冒険心」「困難への挑戦」といった意味を持ちます。
全長251メートル、排水量2万t(建造時)、最大90機の艦載機を搭載。当時の空母としては中型ですが、太平洋戦争中の主要な海戦のほぼ全てに参加し、日本海軍との戦いで大小15回の損傷を受けながらも生き残り、その戦いぶりから“ビッグ E(偉大なE)”の愛称で親しまれた航空母艦です。1947年に退役になりましたが、その後、エンタープライズの名は、世界初の原子力空母CVN-65に受け継がれています。
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中
■ビギナーにもオススメの多色成型スナップフィット仕様
今回製作するのは、2020年10月に中国のプラモデルメーカーMENG MODEL(モンモデル)から発売された、太平洋戦争初期(改装前)のエンタープライズをキット化したものです。接着剤不要のスナップフィットで、パーツを塗装せず組み上げても、実艦に近いイメージに仕上がる多色成型モデルとなっています。
パーツ分割もいたずらに細分化されておらず、組みやすさが重視されているので、艦船モデルは初めてというビギナーにもオススメのモデルです。
▲艦底、船体、甲板、スクリュー等それぞれが実艦に近い色で成形されているので、塗装しなくても実艦に使いイメージで完成させられる
船体は艦底部も再現されたフルハル仕様ですが、ウォーターライン(洋上モデル)としても製作できます(今回は洋上ジオラマにするのでこちら)。飛行甲板にある3基のエレベーターは可動状態も選択再現、内部の開放式格納庫も再現されています。艦載機はF4Fワイルドキャット、 SBDドーントレス、TBDデバステイターの3機種18機が付属します。
▲甲板の白ラインや艦載機の国籍マークは水転写デカールではなく、シールで再現される
▲インスト(組み立て説明書)とは別にカラーの分かりやすい塗装指示所(こちらもに日本語解説あり)も付属。ただし塗料はAKカラーで指定されている
■船体の製作と塗装
まずはインストに沿って船体の製作から進めていきます。モンモデルは海外メーカーですが、インストには日本語も表記もされているので安心です。以前製作した「タイガーⅠ」と同様に、パーツに付着した離型剤を落とすために、まずはキットを洗浄しましょう。またキットは接着剤不要のスナップ仕様ですが、小パーツ類は接合部で隙間が生じやすいので、流し込み接着剤でしっかりと接着していきます。
船体関係のパーツ構成は艦底、喫水線、船体、飛行甲板の4パーツとなっており、それぞれ異なる色で成型されています。これらを組み合わせることで、色分けされた船体が組上がります。
▲船体は船底部、船体の黒帯部分、船体上部の3パーツで構成されている
▲無塗装で仮組みした状態。今回は情景モデルとして製作するので船底部分は使用しない
しかし今回は、よりリアルな仕上がりとするために塗装を施します。キットの塗装指示は海外製のAKカラーになっていますが、入手しやすいタミヤカラー、Mrカラーを使用しました。また船体の塗装は、エアブラシではなく手軽な缶スプレーを使用しています。
▲フルハルモデルで製作する場合は、船底パーツの矢印の部分にパーティングラインが目立つので研磨しておくこと
▲船底色となるダルレッドはタミヤ缶スプレー「TS-33」を使用。タミヤラッカー塗料では「LP19」
ではさっそく作っていきましょう!
船体は、同じ色(ヘイズグレー)となる内部の格納庫やシャッターパーツなどから組んでいきます。
前部甲板と後部甲板は船体との間に隙間が生じるので、パテ(ビン入りサーフェイサー)を使って隙間を埋めておきます。
▲タミヤ「サーフェイサー(40mlビン入り)」。隙間やパーツ表面についたキズの修正に使用する液状のパテ
ビン入りサーフェイサーは筆を使い隙間に盛るように塗ります。この際、サーフェイサーのはみ出しは気にしなくて大丈夫。
1時間程度乾燥させたら、ラッカー塗料用薄め液を綿棒にしみ込ませてパテを溶かしながら拭き取る。こうすることで隙間の凹部分にはパテがしっかりと残り、はみ出していたパテだけをキレイに拭き取れます。ヤスリがけのようにパーツを削ってしまうこともない、お手軽修正テクニックです。
今回のPoint!「船体の塗装は缶スプレーを使用」
パーツを組付けた船体を缶スプレー(ヘイズグレー)で塗装。厚塗りで船体の繊細なディテールがつぶれないように、塗装は2回程度塗り重ねればOK。
▲船体色に使用するタミヤ缶スプレー「TS-32ヘイズグレー」
■船体へのスミ入れ
船体の塗装が乾燥したらスミ入れを行います。スミ入れとはパーツのモールド(彫刻)に濃い色を乗せることで、よりディテールを際立たせるテクニックです。今回はタミヤのスミ入れ塗料のブラックを使用しています
▲今回使用したタミヤ「スミ入れ塗料(ブラック)」
スミ入れ塗料はエナメル塗料なので、塗り重ねても船体に塗装したラッカー塗料を溶かしてしまうことがありません。船体の溶接跡や格納甲板のシャッターのモールドなどに使用すると、メリハリが出て効果的です。
▲スミ入れ前
▲スミ入れ後
▲影となる甲板の裏側にもスミ入れしておく
▲喫水線部分とパーツはつや消し黒で塗装して船体に接着
スミ入れ塗料は攪拌してしまうと濃くなりすぎてしまうので、上澄みを使うことでキレイに仕上げられます。スミ入れが完了したら前後の甲板を取り付け、喫水線部分となる黒いパーツを取りつければ船体の完成です。
▲塗装が完了した甲板を船体に取りつける
次回は艦橋や対空火器など細部を仕上げていきます。お楽しみに!
【達人流!製作のポイント】
最初にも書きましたが、本キットはビギナーでも組みやすいスナップキットなので、艦船モデルを作ったことがないという人にもオススメです。ストレートに組んでもいいし、塗装やウエザリング、さらにはエッチングパーツなどでディテールアップを施して、よりリアルを追求するのもいいでしょう。
>> 達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人>
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