ジュラルミン&蛇行迷彩「飛燕I型丁」のメッキ仕様キットを製作!【達人のプラモ術<飛燕>】
&GP / 2021年10月16日 7時0分
ジュラルミン&蛇行迷彩「飛燕I型丁」のメッキ仕様キットを製作!【達人のプラモ術<飛燕>】
【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/48 川崎三式戦闘機 飛燕1型丁」
戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。今回からは、日本陸軍航空隊の戦闘機「飛燕」の製作に取り掛かります。リアルな金属感をシルバーメッキで再現していきますよ!
* * *
キ61飛燕は、太平洋戦争において、日本軍唯一の液冷エンジンを搭載した戦闘機です。当時ドイツの戦闘機メッサーシュミットBf109に搭載されていたダイムラー・ベンツDB601エンジンをライセンス生産したハ40(液冷倒立V型12気筒、1175馬力)エンジンを搭載していました。
▲各務原航空宇宙博物館に無塗装状態で展示されているキ-61飛燕。機体外板の暗い部分は当時のオリジナル外板(長谷川撮影)
零戦をはじめ空冷エンジンが主流だった日本の戦闘機の中では、液冷機ならではの流線形の機首や細長い形状の主翼などが特徴のスマートな戦闘機でした。スタイルが似ていることから和製メッサーシュミットと呼ばれたこともあるそうです。
飛燕1型丁は胴体内に20mm機関砲を2門、主翼内に12.7mm機関砲2門を搭載、優れた高高度性能と重武装を活かして本土防空戦でのB-29迎撃に力を発揮したのです。現在国内では岐阜かがみはら航空宇宙百博物館にオリジナルの機体が現存、展示されています。
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。
■今年新たにメッキ仕様が発売に!
▲タミヤ「1/48 川崎三式戦闘機 飛燕I型丁 シルバーメッキ仕様(迷彩デカール付き)」(4730円)
今回製作する1/48飛燕は、2016年にタミヤが発売したキットですが、2021年9月メッキ仕様が発売されました。本土防空戦にてB-29の迎撃で活躍した有名な高島俊三少佐機は、ジュラルミンの地肌に特徴的な蛇行迷彩に必勝と書かれた赤い尾翼で、飛燕の中でもモデラーにも人気が高い機体です。しかながら、この迷彩を塗装で再現しようとすると、これがなかなか大変なんです。エアブラシを駆使しても大変手間がかかります。
そこでタミヤは考えてくれました、キットをメッキ仕様にして、複雑な迷彩はデカールにしてしまえば、誰でも労苦せずカッコ良い飛燕が作れるじゃないかと。というわけで、今回はこの1/48飛燕を製作します!
▲メッキといってもギラギラしたクロームメッキではなく落ち着いた半光沢仕上げになっている
▲パイロットもメッキされてギラギラ輝いています
▲日本機独特の蛇行迷彩をデカールで再現。胴体左右と主翼左右に分割されている。丸く抜けているのは日の丸が入るため
■メッキキットの悩みどころ
キットは見ての通り、リアルなジュラルミンの金属感をメッキで再現してくれています。とはいうもののコクピットやエンジン、プロペラといったパーツはやはり塗装しないとサマになりません。
なので塗装が必要なパーツはメッキを落とさなくてはいけないのです。そのままでも塗装はできますが、メッキの表面は塗料が定着しません。
メッキは塗料用シンナーでは落とせません、研磨して落とすのも無理があります。そこで今回は、タミヤが発売しているペイントリムーバーを使います。
▲今回使用したタミヤ「ペイントリムーバー」(1210円)。樹脂表面を傷めることなく塗料とメッキを落とすことができる溶剤だ。水溶性で刺激臭も少ない
本来はアクリル塗料、ラッカー塗料などをお落とすための溶剤ですが、素材のプラスチックを痛めることなくメッキも落とすことができます。
▲タッパのような容器にペイントリムーバーを注いでパーツをつけておけば1時間程度で、表面のクリアーコートもろともメッキを落としてくれる
▲塗装が必要なパーツはまとめてペイントリムーバーに1時間ほど漬け置き
▲これは模型メーカーのハセガワが発売している「模型用目メッキはがし剤」(2200円)。パーツを浸けておくだけで、メッキを浮かせて剥がせる。表面のクリアー塗料とプライマー(下地剤)も同時に剥がし一回の行程でメッキを離作業を完了できる
■パーツ表面に切り取り跡が残らないアンダーゲート
もうひとつのメッキキットの悩みが、パーツの切り口です。ランナーからパーツを切り離した際に切り口部分のメッキは削れてしまいます。これではせっかくのメッキが台無しになってしまう。いやいや安心してください胴体や主翼などの主要パーツはすべてアンダーゲートになっていました。
アンダーゲートとは、パーツのゲート(ランナーと繋がる部分)をパーツの断面部ではなく、接着面に設けているもので、これでランナーから切り離しても表面に傷がつかないようになっています。
▲ランナー主翼、胴体の接着面につながって凸になっている。これがアンダーゲート
そしてパーツの接着ですが、メッキにはプラ用の接着剤が効きません。だから接着面はデザインで削ってメッキを落としておきます。これで通常の接着剤が使えます。小さなパーツには瞬間接着剤を使います。
▲そのままでは接着剤が効かないので主翼パーツの合わせ目部分のメッキを削り落としている
次回から本格的に製作に入ります。お楽しみに!
>> 達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人>
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