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自社開発チップ搭載「Google Pixel 6」はどれだけ高性能になったのか

&GP / 2021年10月27日 6時0分

自社開発チップ搭載「Google Pixel 6」はどれだけ高性能になったのか

自社開発チップ搭載「Google Pixel 6」はどれだけ高性能になったのか

グーグル純正のスマホ「Pixel」の最新モデル「Google Pixel 6」と「Google Pixel 6 Pro」が10月28日に発売されます。Googleストアでの価格は、Pixel 6の128GBモデルが7万4800円で、256GBモデルが8万5800円。Pixel 6 Proの128GBモデルは11万6600円で、256GBモデルは12万7800円。auがPixel 6を、ソフトバンクがPixel 6とPixel 6 Proの両方を取り扱うことも決まっています。

▲左がGoogle Pixel 6 Pro、右がGoogle Pixel 6

Pixelといえば、シンプルで使い勝手が良く、カメラが高性能。新しいOSへのアップデートを早く行えることでも人気です。そんなPixelが初めて自社開発のプロセッサーを搭載し、デザインも一新してリリースしたのがPixel 6とPixel 6 Proです。従来モデルからどこが進化したのか? 使い勝手はどう変わったのか? 両モデルをいち早く使う機会を得たので、リアルな感想をお届けします。

 

■Pixel 6とPixel 6 Proの差分は?

まず、Pixel 6とPixel 6 Proの差分を確認しておきましょう。

▼Google Pixel 6
ディスプレイ:6.4インチ(2400×1080ピクセル)
リフレッシュレート:最大90Hz
アウトカメラ:広角(50メガピクセル)+超広角(12メガピクセル)
フロントカメラ:8メガピクセル
メモリ(RAM):8GB
バッテリー容量:4614mAh
5Gネットワーク対応:Sub6
サイズ:158.6×74.8×8.9mm
重さ:207g

▼Google Pixel 6 Pro
ディスプレイ:6.7インチ(3120×1440ピクセル)
リフレッシュレート:最大120Hz
アウトカメラ:広角(50メガピクセル)+超広角(12メガピクセル)+望遠(48メガピクセル)
フロントカメラ:11.1メガピクセル
メモリ(RAM):12GB
バッテリー容量:5003mAh
5Gネットワーク対応:Sub6、ミリ波
サイズ:163.9×75.9×8.9mm
重さ:210g

▲左がGoogle Pixel 6 Pro、右がGoogle Pixel 6。デザインは共通

言うまでもなく「Pro」が上位モデルで、ディスプレイが大きく、カメラの性能が高く、5Gの対応ネットワークも強化されています。ただし、ミリ波のエリアはまだ限定的なので、5GはSub6だけでもさほど不便を感じないはず。バッテリー容量もProのほうが多いですが、駆動時間は共通。なので、カメラの違いが気にならないのであれば、Pixel 6を選ぶのが経済的です。

なお、画面サイズが小さいPixel 6のほうがコンパクトで扱いやすい、とイメージする人がいるかもしれませんね。ですが、Pixel 6 Proのほうがわずかに大きいだけで、重さは3gしか変わりません。そもそも8.9mmの厚さのボディは、ケースに収めると、さらに厚くなります。どちらも、わりと大きめでヘビーな端末と思っておいたほうがいいでしょう。

▲左がGoogle Pixel 6 Pro、右がGoogle Pixel 6。Pixel 6 Proのほうがひと回り大きいが、Pixel 6がコンパクトというわけではない

 

■自社製チップ「Google Tensor」の実力は?

Pixel 6/6 Proの最大の特徴は、グーグルが自ら開発した「Google Tensor」というプロセッサーを搭載していること。Tensorの詳細なスペックは公表されていませんが、Snapdragon 765Gを搭載した前モデル「Google Pixel 5」と比べて、パフォーマンスが最大80%向上しているとのこと。筆者が実際に使った印象も軽快かつ滑らかで、ストレスなく操作できました。

▲初めて自社で開発したチップセットを搭載

Google Tensorには「Titan M2」という最新のセキュリティチップが内蔵され、安全性も強化されています。5年間のセキュリティアップデートを保証していることも、グーグル純正スマホならではの強みと言えるでしょう。

 

■斬新なカメラバーを採用して、デザインを一新

従来のPixelは、“スマホの王道” とでも呼ぶべきベーシックなデザインを採用していました。しかし、Pixel 6/6 Proは、昨今の主流とは一線を画する新しい意匠が施されています。象徴的なのが、背面を横断する黒いカメラバー。そこにレンズやライト、センサーなどを搭載し、上下はツートンカラーになっています。

▲背面のカメラ搭載部は「カメラバー」と呼ぶ

カメラの性能を向上させたこともあって、カメラバーは結構出っ張っています。その出っ張りを嫌う人もいるでしょうが、純正のケースを装着すると、出っ張りが相殺されて気にならなくなる趣向です。

▲純正のケースに収めることで出っ張りは目立たなくなる

Pixel 6/6 Proは、最新の「Android 12」を搭載し、画面デザインも大きく変わっています。デフォルトでも文字やアイコンが大きめに表示されて、よりユニバーサルなデザインになった印象。特に気に入ったのが、ホーム画面のカスタマイズ。壁紙やアイコンのデザインを変えられるだけではなく、ユニークな時計のウィジェットも用意されていて、端末の印象をガラリと変えることが可能。飽きずに長く使い続けられそうです。

▲ホーム画面は多彩なグラフィック素材で編集できる

▲デフォルトの画面とは大きく異なる印象に変えることも可能

 

■新しい撮影モードや編集機能が追加されたカメラ

アウトカメラはPixel 6が広角(50メガピクセル/F値1.85)+超広角(12メガピクセル/F値2.2)、Pixel 6 Proが広角(50メガピクセル/F値1.85)+超広角(12メガピクセル/F値2.2)+望遠(48メガピクセル/F値3.5/光学ズーム4倍)という構成。メインの広角カメラのセンサーは、前モデルから取り込む光量が150%もアップしているとのこと。

▲Pixel 6 Proの超広角(0.7×)で撮影

▲Pixel 6 Proの広角(1×)で撮影

▲Pixel 6 Proの2倍ズームで撮影。日常的に使いやすい2倍ズームにはワンタッチで設定可能。PIxel 6でも同じ仕様になっている

▲Pixel 6 Proの望遠(4×)で撮影。最大20倍ズームで撮影できる

Pixelのカメラは、従来から鮮明な画質で撮れることに定評があります。Pixel 6/6 Proのカメラも実際に見えるよりも鮮やかな色で写り、明るくスッキリとした色で撮れる「夜景モード」も健在です。

▲Pixel 6 Proで植物を撮影。後方はナチュラルにぼける

▲Pixel 6 Proで料理を撮影

▲Pixel 6 Proの「夜景モード」で撮影

さらに、Pixel 6/6 Proのカメラには、新しい撮影モードや編集機能が追加されています。多くの人に役立ちそうなのが「消しゴムマジック」。意図せずして写り込んだ通行人や余計な物などを、画像から消してしまえる機能です。自動で検出されたものをワンタップで消せるほか、指定したものを消すことも可能。実際に使ってみましたが、精度は抜群。消したものが最初からなかったような写真に仕上がります。SNSにアップする写真をレタッチする手間を大幅に省けそうです。

▲「消しゴムマジック」は、「フォト」の編集機能の「ツール」から選択できる。消去すべき候補を提案され、ワンタッチで消去できる

もうひとつ注目すべき新機能が「モーションモード」。動く被写体にピントを合わせて背景をぼかす、いわゆる “流し撮り” や、シャッタースピードを遅くして被写体の動きを写す「長時間露光」など、スマホのカメラでは難しいと思われていた写真が簡単に撮れるモードです。なお「モーションモード」はフロントカメラで自撮りする際にも使えます。

▲「モーションモード」の「アクション パン」で撮影した作例

▲「モーションモード」の「長時間露光」で撮影した作例

そもそも満足度が高いカメラに、今のところはPixel 6/6 Proでしか使えない機能が加わり、さらにPixel 6 Proは光学4倍ズームも実現。今秋はiPhone 13 ProやAQUOS R6など、カメラ性能を強化したハイエンドスマホが続々とリリースされましたが、Pixel 6 Proのカメラは、それらに引けを取らない印象です。

 

■外国語を使う機会が多い人にも大助かり

コロナが収束したら、大いに役に立ちそうなのが「リアルタイム翻訳」機能。いくつかの機能がある中で特に気に入ったのが「通訳モード」です。Googleアシスタントから素早く起動でき、異なる言語で会話をすると、すぐにそれぞれに翻訳されて、音声と画面表示で確認できる仕組み。あいにく、このレビューを書くための試用期間中に外国人と話す機会はありませんでしたが、英語の録音データを流して試してみたところ、精度は非常に高そう。海外旅行や海外出張などで活躍してくれること請け合いです。

▲「通訳モード」の画面の例

外国人とメッセージをやり取りする時に、受信したメッセージをワンタッチで日本語に翻訳することも可能。日本語で入力したメッセージを翻訳して返信することもできるので、もはや翻訳アプリは不要。筆者は「Instagram」のダイレクトメッセージと「Facebook Messenger Lite」で試してみましたが、Androidの「メッセンジャー」「LINE」「Twitter」なども対応しているようです。

▲メッセージのリアルタイム翻訳のイメージ。筆者自身が試したメッセージでも、同じように正確に翻訳された

さらに、カメラを用いる「Googleレンズ」で翻訳することも可能。輸入品などを購入して、パッケージに書かれていることがわからない、といったときに役立つこと必至。海外のレストランでメニューを見るときも重宝するでしょう。

▲グーグルからデモ用に提供されたメニューを翻訳した結果。英語、ロシア語、スペイン語を同時に翻訳できた

 

■高性能と使い勝手を両立させた最適解モデル

ほかにも、プリインストールされている「レコーダー」アプリで、日本語の自動文字起こしができたり、安全性に問題がある場合にすぐにわかったり、「自動車事故検出」などの緊急情報サービスをまとめたアプリが用意されているなど、実用性の高い機能が充実。おサイフケータイに対応し、防塵防水(IP68)にもしっかり対応しています。

▲Pixel 6、Pixel 6 Proどちらもカラバリは3色

多機能で使いこなしが難しいハイエンド機が多い中、Pixel 6/6 Proは、デジタルデバイスについての知識が乏しい人でも、無理なく使い慣れていきそうな操作性です。スマホに性能と使いやすさの両方を求める人にとっては、最適解のモデルとなりそうです。

>> Google Store「Google Pixel 6」

 

<取材・文/村元正剛(ゴーズ)

村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

 

 

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