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iPhone 13 Proの「Pro」の価値はiPhone 13との差額分だけあるのか

&GP / 2021年11月5日 8時0分

iPhone 13 Proの「Pro」の価値はiPhone 13との差額分だけあるのか

iPhone 13 Proの「Pro」の価値はiPhone 13との差額分だけあるのか

iPhone 13シリーズが発売されてから6週間ほど経ちました。コンパクトサイズを好む方はiPhone 13 miniを選び、高くても画面が大きいモデルがいいという人はiPhone 13 Pro Maxの一択でしょうが、サイズも機能も “ちょうどいい” モデルが欲しいという方は、iPhone 13と iPhone 13 Proのどちらにすべきかを、結構悩むのではないかと思います。

iPhone 13とiPhone 13 Proは、どちらも画面サイズは6.1インチで、持った感覚に大差はありません。動作性の決め手となるチップセットは最新の「A15 Bionicチップ」で、どちらの機種もキビキビと操作できます。ただし、価格はiPhone 13が9万8800円〜、iPhone 13 Proが12万2800円〜と、2万4000円も差があります(アップルストアでの価格)。「Pro」には2万4000円の付加価値があるのか? 両モデルを使い比べて、細かい差分をチェックしてみました。

 

■サイズは同じだが、Proのほうが質感がリッチ

▲iPhone 13と13 Proを重ねてみた。筐体のサイズは同じ

両モデルは、どちらも6.1インチの有機ELディスプレイを搭載し、正面から見るとほぼ同じに見えます。サイズはiPhone 13、13 Proともに146.7×71.5×7.65mm。ただし、重さはiPhone 13が173gで、iPhone 13 Proが203g。その差は、主にカメラにあると思われます。

▲iPhone 13はデュアルカメラ、13 Proはトリプルカメラを搭載

両モデルのデザインの違いは、まずiPhone 13がデュアルレンズカメラを搭載しているのに対して、iPhone 13 Proはトリプルレンズカメラを搭載していること。後述しますが、この違いが最大の差分になっています。

▲iPhone 13のフレームはアルミで、13 Proはステンレス

次に、iPhone 13のサイドフレームはアルミですが、iPhone 13 Proはステンレスを採用しています。好みにもよりますが、ステンレスのほうが高級感があります。

▲iPhone 13 Proは背面パネルの仕上げにひと手間かかっているという印象

3つ目は背面パネルの仕上がり。どちらもガラスですが、iPhone 13はツルツルとした光沢仕上げで、iPhone 13 Proはマット仕上げで、光沢を残しつつ、サラサラとした手触り。指紋が付着しにくいことも利点でしょう。ただし、iPhoneを使う人の多くはスマホケースを装着して使うでしょうから、外観の細かい違いは気にならないかもしれません。

なお、iPhone 13のカラバリは5色で、iPhone 13 Proは4色。それぞれ選べる色が異なることも大きな違いです。

▲iPhone 13のカラバリは、レッド、スターライト、ミッドナイト、ブルー、ピンクの5色

▲iPhone 13 Proのカラバリは、グラファイト、ゴールド、シルバー、シエラブルーの4色

 

■ディスプレイの性能にも違いが…

ディスプレイは同じ大きさで、解像度も2532×1170ピクセルで共通しています。しかし、性能には差があります。

iPhone 13 Proはリフレッシュレート(画面の更新速度)が最大120Hzで、表示するコンテンツやタッチ操作などに応じて10Hz〜120Hzの範囲でリフレッシュレートが変動する「ProMotion」という技術が初搭載されています。一方、iPhone 13は、スペックシートにリフレッシュレートの記載はなく、従来通り60Hzと推測されます。

両モデルで、同じウェブサイトを表示させてスクロールしてみると、iPhone 13 Proのほうが滑らかで、残像感が少ない印象でした。とはいえ、素早くスクロールしたり、連続したタッチ操作が求められるようなゲームをしないと気づかないかもしれません。

▲左がiPhone 13で、右が13 Pro。日常使いにおいては性能の違いに気づかないかも

iPhone 13とiPhone 13 Proのディスプレイの輝度(明るさ)は、HDRコンテンツ表示時は最大1200ニトですが、標準コンテンツではiPhone 13が800ニト、iPhone 13 Proが1000ニトと若干差があります。これも購入を決める際に意識する必要はないでしょう。

 

■望遠、夜景、マクロ撮影など、カメラ性能は大きくリード

最大の違いはカメラ。そもそもiPhoneはデュアルカメラ(広角+超広角)で、iPhone 13 Proはトリプル(広角+超広角+望遠)という違いがあります。

▲iPhone 13 Proのカメラは大きく、レンズが出っ張っている

▲iPhone 13はデュアルカメラで、13 Proに比べると存在感は控えめ

iPhone 13でも最大5倍のデジタルズームで撮影できるので、望遠カメラは必要ないと感じる人もいるかもしれません。しかし、デジタルズームは倍率を上げるほどに画質が劣化します。離れたところにある被写体を光学3倍ズームで鮮明に撮れるiPhone 13 Proには大きなアドバンテージがあります。また、望遠カメラは、すぐ近くにあるものを撮影する場合に、iPhoneが影になるのを避け、歪みを補正できる効果も得られます。

▲iPhone 13 Proの超広角(0.5×)で撮影

▲iPhone 13 Proの広角(1×)で撮影

▲iPhone 13 Proの望遠(3×)で撮影

▲iPhone 13 Proはデジタルズームとの併用で最大15倍で撮影可能。15倍で撮っても、ここまで鮮明に写ることも利点

▲左がiPhone 13 Proの広角(1×)で、右が望遠(3×)で撮影した画像。広角ではiPhoneの影が入ってしまい、余計なものも避けにくいが、望遠で撮ると、iPhoneの影を入れずに写せる

画像センサーはいずれも12メガピクセルで、両モデルで撮った画像を比べてみたところ、ほとんど差はないようです。しかし、iPhone 13 Proには赤外線によって被写体との距離を計測する「LiDARスキャナー」なるものが搭載されています。これによって、暗い場所での撮影はiPhone 13 Proのほうが有利。夜景を撮り比べると、iPhone 13では露光に3秒かかるところが、iPhone 13 Proでは2秒で済むといった違いがありました。

▲iPhone 13で撮影した夜景

▲iPhone 13 Proで撮影した夜景。iPhone 13よりも撮影に時間がかからず、細部を見比べると精細に写っていることがわかる

また、iPhone 13 Proでは夜景撮影でもポートレートモードが使えて、夜景を美しくぼかした人物写真が撮れます。よい作例を提示できなくて申し訳ないのですが、iPhone 13 Proのほうが表現の幅が広がると考えていいでしょう。

▲iPhone 13 Proのポートレートモードで撮影。夜景が美しくぼける

さらに、iPhone 13 Proは、新たにマクロ撮影にも対応しました。手動で設定する「マクロモード」があるわけではなく、レンズを被写体に近づけると自動的にマクロ撮影に切り替わり、最短で約2cmの距離まで近づいて撮影できます。一般的に、スマホのマクロ撮影は画質が暗く、粗くなりがちなのですが、iPhone 13 Proでは通常撮影と同じように明るく撮れます。例えば、「メルカリ」に出品する物の細部を撮りたいといった時に役立つこと請け合いです。

▲マクロ撮影に対応したこともiPhone 13 Proのカメラのアドバンテージ。撮影モードを切り替えることなく使えるのも便利

なお、両モデルのスペックシートを細かく比較すると、iPhone 13 Proは「Apple ProRAW」というRAW形式での記録が可能になっていて、撮影後に明るさや色調、ホワイトバランスなどを細かく設定できます。ただし、通常のHEIF/JPEGで記録した画像も「写真」アプリで編集できるので、「Apple ProRAW」は多くの人には必要がない機能と思って差し支えありません。

また、iPhone 13 Proは最大4K/30fpsのProResビデオの撮影に対応しています(128GBモデルは最大1080p/30fps)。放送などに使われるクオリティの映像が撮れるそうですが、ファイルサイズが非常に大きくなるので、こちらも必要とする人はさほど多くはないでしょう。

▲iPhone 13 Proのカメラは「Apple ProRAW」や「Apple ProRes」を有効にできる

 

■11の違いに差額の価値を見出せるならProが買い!

ここまでに挙げた差分に加えて、iPhone 13はA15 Bionicチップに含まれるGPU(グラフィック用のプロセッサーが4コアであるのに対して、iPhone 13 Proは1つ多い5コアという違いがあります。また、アップルはバッテリー容量を公表していませんが、iPhone 13のビデオ再生時間が最大19時間であるのに対して、iPhone 13 Proは最大22時間と、若干長くなっています。

あらためてiPhone 13 Proが「Pro」である優位性を整理すると…

・サイドフレームがステンレスで高級感がある
・背面パネルの質感がリッチ
・リフレッシュレートが最大120Hz
・iPhone 13よりも画面が少し明るい
・光学3倍ズームで撮影できる
・LiDARスキャナーを搭載し、夜景撮影に有利
・マクロ撮影ができる
・Apple ProRAWで記録できる
・最大4K/30fpsのProResビデオを撮影できる
・GPUがiPhone 13よりも1つ多い5コア
・iPhone 13よりも若干電池持ちが良い

結構ありますね。筆者はこのうちの5つにメリットを感じて、iPhone 13 Proを購入しました。結果として非常に満足しています。みなさんも必要な機能と仕様を見極めて、差額の価値があると思ったら、Proを選ぶことをおすすめします。

>> Apple「iPhone」

 

<取材・文/村元正剛(ゴーズ)

村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

 

 

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