10万円超のコンパクトスマホ「BALMUDA Phone」が表現するバルミューダらしさとは
&GP / 2021年11月17日 11時30分
10万円超のコンパクトスマホ「BALMUDA Phone」が表現するバルミューダらしさとは
扇風機やトースター、最近ではコーヒーメーカーなど、ちょっと高いけど使いたくなる唯一無二の家電が人気のバルミューダがスマホを発表しました。
その名はズバリ「BALMUDA Phone」で、11月26日に発売されます。国内キャリアではソフトバンクだけが取り扱い、価格は14万3280円(「新トクするサポート」利用時の実質負担額は7万1620円)。バルミューダが直販するSIMフリーモデルもあり、そちらは10万4800円です。なお、ソフトバンク版もSIMロックはかかっておらず、ソフトバンクのアプリがプリインストールされていることを除けば、スペックは共通しているのこと。
■曲線だけでデザインされた理由
BALMUDA Phoneは、IT機器やそれに関するサービスを展開する新ブランド「BALMUDA Technology」の第1弾プロダクト。代表取締役社長の寺尾玄氏が十数年ぶりにチーフデザイナーとして、一からデザインを手掛けたという力が入った製品です。発表会では、「創業時に本当に作りたかったのはパソコンだった」など、スマホ開発への熱い思いが語られました。
▲11月16日に開催された発表会でプレゼンテーションを行った。バルミューダ代表取締役社長の寺尾玄氏
どれも同じ見える画一的なスマホ市場に違和感を抱いていたという寺尾氏。多くのメーカーが大画面ディスプレイと高性能カメラを搭載する大きなスマホをリリースしていく中、バルミューダが発表したのは、手のひらに収まるコンパクトなスマホ。ディスプレイサイズは4.9インチで、背面カメラは1基のみという潔さ。
▲寺尾氏がチーフデザイナーとして、一からデザインを手掛けた
寺尾氏によると、スマホの持ちやすさを追求すると、理想的な画面サイズは4.8インチという結論に導かれたとのこと。実際には少し大きい4.9インチになったのは、当初は4Gモデルとして開発していたのが、ソフトバンクからの助言もあり、発売を延期して5Gモデルに作り直したという経緯があったそう。
背面が丸みを帯びていて、正面から見ても、微かに丸く見えるフォルムもBALMUDA Phoneのこだわり。発表会では「どこにも直線はなく、曲線だけ」という説明を受けましたが、実機に触れたところ、ディスプレイはほぼフラットで、曲面ディスプレイではなかったです。徹底的に曲線にこだわったのは、人の身体には直線はなく、人が使う物もそうあるべきという、寺尾氏のデザイン哲学によるそうです。
▲カラバリはブラック、ホワイトの2色
▲正面のベゼルもそれぞれのカラーでデザインされている
■石ころのようなフォルムは、使い込むほどに風合いが…
BALMUDA Phoneを持つと、手のひらにすっぽりと収まり、138gと軽いこともあり一般的なスマホとは異なる感触。写真ではずんぐりとした印象を受けるかもしれませんが、コンパクトで厚さは13.7mmに抑えられています。触れているだけで落ち着くストレス解消グッズを握っているかのようなサイズ感です。左手で持って、人差し指を当てやすい位置に指紋センサーを配置するなど、人間工学を重視したデザインになっています。
▲サイズは約123×69×13.7mmで、手にフィットするのでホールド感は良好
▲背面には約4800万画素のカメラと指紋センサーを配置
▲サイドフレームにはガラス入りのナイロン素材を使用
▲横から見た状態
▲底部にはUSB Type-Cポート
河原にある石ころをイメージしてデザインしたという背面パネルは、ポリカーボネート製でシボ加工を施し、ザラザラとしてマットな手触り。塗装に使う材料にもこだわり、長く使い続けるほどに “風合い” が出てくるとのこと。どんな風合いになるのかは、実際に使い続けてみないとわかりませんが、裸で2か月ほど使った製品を見せていただくと、新品同様にキレイなままだったので、汚れは付着しにくそうです。
■スマホを使う時間を短くする基本アプリ
寺尾氏は、スマホの開発にあたって、「いかにスマホを使う時間を短くするか」を重視したそうです。そのために、基本アプリにもこだわり、快適かつスピーディーに操作できるオリジナルアプリもインストールされています。
▲ホームアプリを含む6つのオリジナルアプリをプリイン。さらに、5つのアプリの提供が予定されている
例えば、「スケジューラ」は365日を横罫で並べて、ピンチ操作で1日表示から1年表示までを切り替えられる仕組み。「メモ」はタイル状に配置でき、大事なメモを上に動かすなどの操作も自由自在。「計算機」も、日本円がわかりやすい「億万」表示に切り替えられるなど、使ってみたくなるデザインになっていました。「カメラ」はスワイプするだけで「料理モード」に切り替わる仕様。なお、これらの基本アプリはBALMUDA Phone専用で、アプリ単体での提供は予定していないそうです。
▲「スケジューラ」は、週ごとに区切られるカレンダー表示ではなく、横並びで365日を管理できる仕様
▲ピンチインで長期間を表示すると、このようになる
▲「メモ」はこのようにタイル状に画像が表示される
▲1つのメモをタップして展開した状態
▲「時計」の機能は一般的だが、直感的に操作しやすい印象
▲標準の3桁カンマ表示だけではなく、億万表示にもできる「計算機」。現在のレートでの為替計算も行える
ホーム画面はユーザーの好みに合わせてカスタマイズできます。大きな特徴となっているのが2本のストライプ。単なるデザイン的なアクセントではなく、ストライプをなぞってよく使うアプリを起動するというショートカット機能も兼ね備えています。
▲ホーム画面はカスタマイズ可能。基本デザインは共通で、色や書体などを変えられる
■スペックだけを見ると10万円超は高いが…
OSはAndroid 11で、Android 12へのアップデートにも対応予定。ハードウェアの基本仕様は、CPUがSnapdragon 765(最大2.3GHz)で、RAMが6GB、ROM(ストレージ)が128GB。バッテリーは2500mAhで、ワイヤレス充電に対応。カメラは背面が4800万画素、前面が約800万画素。FeliCaを搭載し、おサイフケータイも使えます。機能が控えめのミドルハイモデルといった印象です。
▲別売のケースも用意される。充電ケーブルやアダプタも別売
製品写真とスペックだけを見ると10万円超は高いと思うかもしれませんが、バルミューダって、新しい体験を売るブランドなんですよね。そのバルミューダらしさは、実際に手にして、基本アプリを使ってみたりしないとわからないはず。いち早く触れた筆者も「おっ、フツーのスマホとは違うね!」と思いました。同時に「バルミューダのトースターとコーヒーメーカーの両方を買うよりも高いのか」と驚きもしました。
バルミューダ オンラインストアでも注文できますが、気になる人は、11月19日に東京・青山にオープンする「BALMUDA The Store Aoyama」や、最寄りのソフトバンクショップなどで実機に触れてみることをおすすめします。
▲BALMUDA The Store Aoyamaなどで実機に触れることができる
>> バルミューダ
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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