月着陸船と司令船をドッキングして「アポロ13号」いよいよ完成!【達人のプラモ術<アポロ13号>】
&GP / 2021年12月11日 7時0分
![月着陸船と司令船をドッキングして「アポロ13号」いよいよ完成!【達人のプラモ術<アポロ13号>】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_417966_0-small.jpg)
月着陸船と司令船をドッキングして「アポロ13号」いよいよ完成!【達人のプラモ術<アポロ13号>】
【達人のプラモ術】
ドラゴンモデルズ
「“ヒューストン、問題発生! ”アポロ13号宇宙船CSM(司令船/支援船)&月着陸船」04/04
戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。
支援船の酸素タンク爆発というトラブルに見舞われ、月着陸を断念。多くのトラブルに遭いながら、地球への帰還を果たして『栄光ある失敗』と言われたアポロ13号の製作もいよいよ佳境。月着陸船の残りである上昇部を製作します。でもその前に…。
* * *
■脚を閉じるべきか開くべきか…
今回はアポロ13号製作の最終回、LM(月着陸船)の上昇部を製作するのですが…その前に修正工作をしなければならなくなりました。
前回製作したLMの月に着陸する降下用エンジンが搭載されている下降部は、キットの組み立て指示では着陸脚を降りたたんだ状態で製作せよとなっています。しかし改めて資料(NASAの公式記録)を確認したところ、13号は月を周回する際の軌道修正でLMのエンジンを噴射するのですが、その際に畳んだままでは主エンジンン噴射に干渉してしまうため、着陸脚を展開していたことが分かりました…。
▲前回、着陸脚をたたんだ状態で製作したLM下降部。これはこれで間違いではないのだが…
ということで前回組み上げた着陸脚をバラして、4本の脚を展開した状態に組み直しました(キットのLMは、もともとアポロ11号用キットのパーツを流用しているのでどちらでも組めるようになっています)。事故が発生したあと、月軌道までのLMは着陸脚を閉じていたので好みで作り分けるとよいでしょう。
▲たたんだ状態を再現した脚パーツを取り外して、改めて展開状態の脚パーツに組み直した状態
▲前回も書いたが耐熱ブランケットをアルミホイルで再現しているので接着には瞬間接着剤を使用する
映画「アポロ13号」を見直したら軌道修正の噴射時LMの脚は開いていました…。個人的な好みになりますが着陸脚は展開した状態の方がカッコ良いと思います。
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。
■LM上昇部の製作
月から飛び立つ上昇部が複雑な面取り形状をしているのは、徹底的な軽量化が図られた結果で、ほとんどの部分はアルミの骨組みに断熱のための金属箔を張っただけのハリボテ構造だからです。
▲組み上げたLM上昇部。窓はデカールで再現されるのでクリアパーツ化されていない
2人の宇宙飛行士が乗るクルーコンパートメントには座席もなく、立ったまま操縦します。当然ながらトイレもありません。
宇宙飛行士が月面に出る際には、船外用の宇宙服を着用。ハッチを開けると機内の酸素は全部排出されます。
キットは少ないパーツで上昇部の特徴的な形状を再現しています。組み立てに難しいところもありません。とは言うものの、機体本体パーツの接合面に僅かに隙間ができてしまうので、パテで修正しています。アンテナや姿勢制御用のバーニアノズルといった破損しやすいパーツは塗装のあとに取り付けます。
▲機体は前後合わせのパーツだが、矢印部分の接合面に隙間が生じるので、溶きパテを使って修正してやる
■難解な塗装はマスキングで
▲月面上のLM(アポロ11号)。ベコベコした外板と特徴的なブランケットが良くわかる ©NASA
LMの下降部は金色のブランケットシートで包まれていますが、上昇部はシートがほとんどありません。機体色を再現するためにシルバーに5パーセント程度ゴールド混ぜた色で塗装しています。
▲黒いブランケットで覆われた部分はマスキングで塗装していく。レーダーやバーニアは筆塗りで仕上げる
黒い部分(断熱シート)は塗分けが複雑で大変ですが、細かくマスキングをしてセミグロスブラックで塗装しています。背面部など一部わからないところもあるのですが、アポロ計画で使用されたLMはワンオフみたいなもの。黒いブランケットシートも、機体によって位置が違っているが悩ましいところです。作例はあくまでもキットの塗装図を参考に仕上げています。
▲上昇部のメインエンジンノズルも塗装するが…
▲下降部と合体させると見えなくなってしまう
▲塗装が完了したらLMにデカールを貼っていく。下降部は凸凹したブランケットの上に貼ることになるので、マークセッターを使ってデカールを馴染ませる
完成した上昇部は、下降部と合体させて月着陸船を完成させます。ちなみに着陸を果たしたLMの下降部は、当然ながら月面に残りますが、上昇部は地球の大気圏で燃え尽きたものや、月面に落とされた機体もあります。アポロ13号のLMは切り離された後大気圏に突入して燃え尽きました。
▲脚を広げた状態で完成したLM(月着陸船アクエリアス)。宇宙飛行士がバグ(虫)とかスパイダーと呼んだのも分かる昆虫的なスタイル
▲レーダー後ろの棒状パーツは司令船との接続用パーツ
■司令船とのドッキング
完成した月着陸船を司令船とドッキング(接着)します。キットには接続用のパーツに加えて、司令船側のドッキングユニットのパーツも付属しているので、LMとそれぞれ別に展示することも可能です。
またLMをドッキングさせるとスタンドのバランスがやや悪くなり、倒れやすくなってしまうので、スタンド裏面にオモリを追加することをオススメします。
▲司令船と完成したLMをドッキングさせて、アポロ13号完成
これで『ヒューストン、問題発生! ”アポロ13号宇宙船CSM(司令船/支援船)&月着陸船』の完成です。LMとドッキングさせたことでデスクトップモデルとして映える作品になりました。
▲宇宙空間をイメージして黒バックで撮影してみた。なかなか雰囲気が出ている
実は今回製作したキットとは別に、大気圏突入後に着水した司令船のキットを製作しています。こちらもアポロ13号仕様(回収用のヘリのマーキング)となっています。
▲完成したアポロ13号の、後ろは製作中の同じドラゴンから発売されている回収用ヘリと着水した司令船がセットになったジオラマキット
宇宙モノのプラモデルはロマンがあって作っていて楽しいですよ。ぜひ一度チャレンジしてみて下さい。アポロ関連のプラモデル輸入元のプラッツのウエブサイトで詳しく紹介されています。
★達人流製作のポイント!
①LMの着陸脚は開いて製作!
②複雑な塗装はマスキングで再現!
■Next model!
次回はドラゴン製1/144 アメリカ空軍高高度戦略偵察機 SR-71A ブラックバードを製作しますお楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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