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デカイ!重い!ドーザーブレード製作と車体の下地塗装!【達人のプラモ術<D9R装甲ブルドーザー>】

&GP / 2022年2月5日 7時0分

デカイ!重い!ドーザーブレード製作と車体の下地塗装!【達人のプラモ術<D9R装甲ブルドーザー>】

デカイ!重い!ドーザーブレード製作と車体の下地塗装!【達人のプラモ術<D9R装甲ブルドーザー>】

【達人のプラモ術】
モンモデル
1/35 イスラエル陸軍 D9R装甲ブルドーザー
04/06

戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。

イスラエル陸軍がキャタピラー社のブルドーザーを改造した「D9R」。いよいよ全体が見えてきたキット製作も折り返し地点を過ぎて4回目。今回はドーザーと呼ばれる、前側にある土をすくう部分を製作します。それが終わると、いよいよ塗装開始です。組み上げただけでもかなりカッコいいD9Rですが、達人の手にかかると、いったいどんな仕上がりになるのでしょうか。

*  *  *

製作もいよいよ佳境。今回はドーザーブレードを製作します。ちなみにこのドーザー部分の実物は幅4.3メートル高さ1.9メートル、重量が8トンもあります。小口径の砲弾や地雷程度ではビクともしないというのも納得できるゴツい鋼鉄のカタマリです。

 

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■ドーザーブレードの製作

キットでは10パーツで複雑な形状のドーザーブレードが再現されており、これに油圧シリンダーとアームが組み合わされます。

アームは上下に可動できるようになっていますが、大きくは動かせません。また油圧シンダーはアメリカ陸軍とイスラエル仕様(装甲板で覆われている)とで形状が異なり、それぞれパーツが用意されていますが、組む前にどの仕様にするか決めておく必要があります。

完成したドーザーブレードはアームで車体と連結しますが、車体の構造上、履帯を取り付けた後となるので、塗装を考慮してこの時点では接着していません。

▲組みあがったドーザーブレード。戦車に装備されることもあるドーザーブレードに比べてもかなりゴツくてぶ厚い

▲ブレードの背面に取り付けた左右アーム。理由は不明だが油圧シリンダーは右側のみに装備される。中央部分は油圧シリンダーに繋がるロッド

第1回でも登場したランナーにモールドされた極小のボルトを切り出して貼り付けていく作業がここでも登場! アーム右側の油圧シリンダーの基部に、切り出したボルトを6個接着していく。1mmもないボルトはピンセットでも摘まめないので、切り出したあとデザインナイフで軽く刺して取り付けると、飛ばすことがない

▲陸上自衛隊が装備している75式ドーザー。D9Rに比べるとかなりコンパクトだ

 

■外部部品の取り付け

ドーザーブレードと並行して、エンジンの吸気筒や排気ルーバー、消火器といった車体の外部部品を取り付けていきます。車高が4メートルもあるためか、そこら中に手すりが取り付けられており、キットでもしっかりと再現されているのですが、細くて折りやすいので、破損しないように要注意。

また車体前面やドーザーの油圧シリンダー上部に装備されている複数のライトはクリアパーツが使われているので、車体塗装後に取り付けるようにします。

▲車体上部から無造作に突き出たエンジンの吸気筒(右)や排気ルーバー(左)が、元は民生用の重機なのだなぁと実感させてくれる。吸気ルーバーの吸気フィルターはエッチングパーツで再現

▲胴体側にドーザーブレードを支える油圧シリンダーをしっかりと接着。イスラエル仕様では頑丈そうな装甲を外側に取り付ける

▲ドーザーブレードの油圧シリンダー上部には前照灯が装備されている。ライトのクリアパーツは車体の塗装後に取り付ける

▲IDF仕様では油圧シリンダー周りは、被弾から防御するための装甲板でがっちり固められている。アメリカ陸軍仕様では装甲板が付いていない

 

■車体の下地塗装

車体の外装品の取り付けが完了したら、いよいよ塗装に入ります。

キャビンの窓をマスキングしたら、下地としてオキサイトレッド・サーフェイサーを全体に塗装。車体、キャビン、転輪ユニット、履帯、さらに今回組み上げたドーザーブレードをそれぞれ塗っていきます。

プラモデルの下地塗装に使用するサーフェイサーはグレーが一般的ですが、近年ではホワイトサフ、ピンクサフ、ガンメタリックなど、用途に応じてさまざまな色のサーフェイサーが発売されています。

今回使用したオキサイトレッドは錆止めプライマーに使われている塗料を再現したもので、AFVモデルの下地塗装で多用されています。実物と同じ塗装工程を再現という意味もありますが、オキサイトレッド(暗褐色)は色自体が暗いこともあり、上から塗り重ねる本塗装が明るい色であっても色の明度を下げてくれるので、重量感を出したいAFVモデルの塗装に適しているとも言えます。

▲オキサイトレッドで下塗り塗装を完了させた状態

▲全て組み付けてしまうと塗装しづらくなってしまうので、車体、キャビン、転輪ユニット、ドーザーブレード、履帯はそれぞれ別に塗装していく

▲今回使用したのはタミヤ製サーフェイサー・オキサイトレッド。塗装の下塗り、パーツの表面処理材として使用することで、塗料ののりも良くなる。オキサイトレッドは本来ドイツ戦車の錆止め塗料だが、現用戦車にも使用しても問題はない。価格880円

 

■履帯にはメタルプライマーを下地に塗装

今回、足回りにはフリウルのホワイトメタル製組み履帯を奢りました。メタルパーツはそのままでもプラモ用の塗料を塗装することはできますが、定着性がよくない(剥がれすい)ので、塗料の食いつきを良くするメタルプライマーを下地に塗装します。

一般的な戦車の履帯は塗装されていないので、塗装で再現する場合は黒鉄色となりますが、D9Rの履帯は防錆のために車体と同色に塗装されています。そこで今回、履帯はメタルプライマー→サーフェイサー→車体色塗装といった行程で仕上げていきます。

▲フリウル製履帯はホワイトメタル製なので、塗料の定着を良くするためにメタルプライマーで下塗りをしておく。使用したのはタミヤ製メタルプライマー(缶スプレータイプ)価格550円

▲メタルプライマー塗装後、履帯は車体色での塗装となるためオキサイトレッドを塗装する

▲下地塗装が完了

▲キャビンと履帯、ドーザーブレードは仮組した状態。このままでも十分カッコ良い

▲ここから車体塗装(シナイグレー)とウエザリングを施していく

というわけで車体の製作と下地塗装は無事完了! 次回から塗装編に突入。戦うブルドーザーのリアル塗装とウエザリング(汚し塗装)を進めていきます。お楽しみに!

 

■戦車の重量と燃費の話

戦車と言えば鋼鉄のカタマリといったイメージがありますよね。

ちなみにD9Rは、戦闘車両ではないけれど車体重量は50トンもあり、これは陸自の90式戦車とほぼ同じです。戦車を重量で見ていくと、第二次大戦で活躍したティガーⅠは車重が57トンありました。現用戦車では陸上自衛隊の10式戦車が44トン、90式戦車が50トン、アメリカ陸軍のエイブラムスM1A2は62トン、イスラエル国防軍のMBTメルカバMk.4はなんと65トンもあります。大口径の武装に高い防御能力を持つ装甲にさまざまな装備を組み合わされた現用戦車はどんどん重くなっているんですね。当然ながら燃費も良くありません。

ガスタービンエンジン搭載のM-1エイブラムスの燃費は1リットルあたり260メートル。陸上自衛隊の10式戦車は、公式には発表されていませんが1200馬力を発揮するV型8気筒ディーゼルエンジンを搭載し、燃費は1リットルあたり340メートルと言われています。古今東西の戦車の中で、もっとも燃費が悪かったのは第二次大戦でドイツ陸軍が開発したⅧ号戦車マウスだそうで、187トンの車体に1200馬力のガソリンエンジンを搭載していましたが、燃費は1リットルあたりたった68メートルだったそうです。

D9Rは410馬力のディーゼルエンジンを搭載しています、残念ながら燃費は不明。でも50トンからの重量があるのだから、決して良いものではないと容易に想像できます。

重量過多と機動性、燃費の悪さに悩む戦車ですが、解決策として、近年では装甲は薄いけど軽量の車体にタイヤで走行することで高い機動性を持つ(当然ながら燃費も良い)「装輪戦車」(自衛隊の16式機動戦闘車など)を装備する軍が増えています。

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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