ついに生産終了…。教習所からレースまで活躍した「CB400 SUPER FOUR」を振り返る
&GP / 2022年6月19日 7時0分
![ついに生産終了…。教習所からレースまで活躍した「CB400 SUPER FOUR」を振り返る](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_458117_0-small.jpg)
ついに生産終了…。教習所からレースまで活躍した「CB400 SUPER FOUR」を振り返る
年々厳しくなるバイクの排ガス規制によって、これまでも多くのモデルが姿を消してきましたが、ついに教習車などで慣れ親しんだ人も多いホンダの「CB400 SUPER FOUR」と「CB400 SUPER BOL D’OR」の生産終了がアナウンスされました。教習車に使われるほど乗りやすく、それでいてレースでも活躍する走行性能を持ち、30年の長きに渡って多くのファンを惹きつけたこのマシンについて振り返ってみましょう。
抜群の乗りやすさから、教習車にも採用され、一方でベテランライダーを唸らせる走行性能も持ち合わせていた「CB400 SUPER FOUR」。かつては「NK4」などのネイキッドレースでも大活躍し、今でも草レースなどサーキットを舞台に元気に走っているマシンも少なくありません。
生産終了の理由は、2022年11月生産分からは継続生産車についても「令和2年排出ガス規制」が適用されるようになること。これはユーロ5と呼ばれる欧州の規制と基本的には同一のもので、排出ガスの規制のほかに、ABSや車載式故障診断装置(OBD2)の搭載なども義務付けられています。近年、小排気量車でもABSの搭載が進んでいるのはこのためで、もちろんモデルチェンジで規制に対応するという方法もありますが、30年以上前に設計され、国内専用モデルである「CB400 SUPER FOUR」にそこまでのコストをかけてモデルチェンジしても、コストを回収することは難しいと判断されたのでしょう。
■ネイキッドブームの頃に登場
▲1992年式「CB400 SUPER FOUR」(NC31)
「CB400 SUPER FOUR」の初代モデルが登場したのは今からちょうど30年前となる1992年のこと。非常に熱かったレーサーレプリカブームが下火になったあと、1989年に発売されたカワサキ「ゼファー」が人気を集めてネイキッドブームが訪れた頃です。ホンダには「CB-1」というネイキッドモデルが存在しましたが、やや未来的なデザインで人気が出ず、タンクなどの存在感を増したオーソドックスなデザインのこのモデルにバトンタッチしました。
▲1995年式「CB400 SUPER FOUR Version R」(NC31)
エンジンは、空冷だった「ゼファー」に対して水冷の並列4気筒。「CBR400RR」のパワーユニットをベースに、クランクの慣性を増すなど中低速寄りにチューニングされ、抜群の乗りやすさを実現していました。教習車にも採用されるなど、初心者からベテランライダーまで多くの人に愛された理由のひとつはこのエンジンにあると言えます。
▲1996年式「CB400 SUPER FOUR Version S」(NC31)
1995年にはビキニカウルを装備し、ハイカムやアルミ製サイレンサーを採用するなど走行性能を向上させた「Version R」、その後、カウルを廃した「Version S」も追加されました。
■「HYPER VTEC」の採用で大きく進化
▲1999年式「CB400 SUPER FOUR」(NC39)
30年の歴史の中でも大きな変更だったのは、1999年に「HYPER VTEC」を採用したことでしょう。このシステムは、カムプロフィールが切り替わる4輪車のVTECとは異なり、開閉するバルブの数が低回転と高回転で切り替わるもの。6750rpm以下では2バルブ、それ以上では4バルブとなることでエンジンキャラクターが大きく変わります。特に6750rpmを超えたところからの排気音は官能的で、多くのファンを惹き付ける魅力のひとつになっています。
▲2002年式「CB400 SUPER FOUR」(NC39)
2002年にはエンジンが「HYPER VTEC SPECII」に進化。バルブの切り替わる回転数が6300rpmと低くなり、より気軽に官能的な排気音を味わえるようになりました。また400ccクラスでは初となるイモビライザーも装備。2003年には早くも「HYPER VTEC SPEC III」にバージョンアップし、6速ギアのみ切り替わりタイミングが6750rpmに改められ、高速巡航時の燃費と疲労感の低減が図られました。そして、2005年にはハーフカウルを装備した「CB400 SUPER BOL D'OR」が追加されました。
▲2005年式「CB400 SUPER BOL D'OR」(NC39)
■インジェクションの採用でさらに進化
▲2007年式「CB400 SUPER FOUR」(NC42)
もうひとつ大きな進化だったのが、2007年に燃料供給が電子制御のインジェクション(PGM-FI)になったこと。「HYPER VTEC」システムも「HYPER VTEC Revo」に進化し、エンジン回転数だけでなくスロットル開度も検知して駆動バルブ数を緻密に制御できるようになりました。巡航走行時などスロットル開度が小さい時は2バルブを維持し、加速時などスロットル開度が大きい場合には、4バルブに切り換わって爽快な加速を味わえます。
▲2014年「CB400 SUPER BOL D'OR」(NC42)
2014年には「CB400 SUPER BOL D'OR」にLEDヘッドライトを採用。ホイールも10本スポークのデザインに変更されました。2017年には平成28年度排出ガス規制(ユーロ4)に対応するとともに、吸排気系を見直すことで最高出力も従来の53PSから56PSにアップさせています。マフラーの構造も一新され、排気音がさらに魅力的になっています。
▲2017年式「CB400 SUPER FOUR」(NC42)
* * *
誕生から30年という節目に生産を終了することになった「CB400 SUPER FOUR」。長らく国内の400cc市場を引っ張ってきた車種であり、一度このマシンに乗った人はずっと乗り続けると言われるほど完成度の高いマシンでもありました。現行モデルでは400ccクラスで唯一の4気筒マシンでもあり、生産終了は本当に惜しい限りです。
近年は「ゼファー」を始めとする旧モデルが高値で取り引きされていますが、まぎれもない“名車”であった「CB400 SUPER FOUR」も将来的に価値が上がることは間違いないと思われます。日本特有の免許制度によって生まれ、国内のユーザーに愛され続けたマシン。乗っておきたいと思っている人には最後のチャンスかもしれません。
>> ホンダ「CB400 SUPER FOUR/BOL D'OR」
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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