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むむむっ…主翼を仮組みしたら盛大な隙間と段差が…【達人のプラモ術<サボイア マルケッティ S.55>】

&GP / 2022年7月16日 7時0分

むむむっ…主翼を仮組みしたら盛大な隙間と段差が…【達人のプラモ術<サボイア マルケッティ S.55>】

むむむっ…主翼を仮組みしたら盛大な隙間と段差が…【達人のプラモ術<サボイア マルケッティ S.55>】

【達人のプラモ術】
DORA WINGS(ドラウイングス)
1/72 サボイア マルケッティ S.55 太平洋横断記録機
02/04

1920年代に実在したイタリアの双胴飛行艇「サボイア マルケッティ S.55」製作も2回目に突入。今回はコクピットと主翼の製作を進めていきます。そして飛行艇といえば触れないわけにはいかない、古き良き飛行艇時代の華ともいえるシュナイダー・トロフィーについても解説します。

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■コクピットの製作とちょっと大変な主翼の製作

S.55は双胴形式の特徴的なスタイルの飛行艇ということもあって、ふたつの艇体が大きく厚い主翼と組み合わされています。操縦席はこの主翼内部に組み込まれているんですね。

操縦席は並列複座となっており、操縦桿でなく大きな舵輪で操縦するようになっています。キットはエッチングパーツを組み込むことで、特徴的な操縦席を再現しています。しかし2mm×3mmのパーツにエッチングのスロットルレバーを6個接着して操縦席に組み込めという指示には苦労させられました。しかも完成後はほとんど目立たない…(泣)。

▲2mm×3mmのパーツにエッチングのスロットルレバーを6個取り付けろと…いや無理

またシートにはマスキングテープで自作したシートベルトを追加しています。インスト(説明書)では操縦席内部はライトグレーで塗装せよとなっているんですが、それだとあまりに色気がないので、当時のほかの機体などを参考に、計器盤は木製であろうということでウッドブラウンで塗装、シートの背もたれは革製をイメージしてブラウンで塗装しています。ぶっちゃけマイナーな機体なので資料が少ないのが悩みの種です。

▲前回制作した艇体。パーツの嵌合性はあまり良いとは言えず、艇体の下側に隙間と段差が生じてしまうので修正が必要だ。上がパテと擦り合わせ研磨で修正した艇体で、下がラッカーパテを塗布した状態

▲主翼中央、前縁部分に操縦席が収まるのでかなりぶ厚い

▲内部に補強のための桁が2本貫通しており、左右の主翼を繋ぐパーツも兼ねている

▲操縦席内部はエッチングパーツを組み合わせることで細密再現されている

▲座席には自作シートベルトを追加。操縦席は外からよく見える解放式なので、シートベルトは目立つポイントになってくれる

▲計器盤は木製だろうということでウッド調に塗装。メーターはデカールで再現される

▲ほぼ完成した操縦席。操縦舵輪がよく目立つ

▲組み上げた中央翼。苦労して取り付けたエッチング製のスロットルレバーはほぼ見えない(泣)。この状態だとB2ステルス爆撃機のようだ

▲完成した中央翼に左右の翼を仮組みしてみると、接合部分に段差と隙間が生じてしまうことが発覚…

 

■ポリパテを使って修正工作

どちらかといえばマイナーな海外製キットなので、パーツの精度もそれなり。双胴の艇体を製作した際に隙間や段差ができてしまうので、パテを使った修正がいるなぁと思っていたのですが、主翼も同様でした。

操縦席を収めた中央部分は左右の翼を桁で組み合わせるのですが、盛大に隙間と段差ができてしまいます。むむむっこれは想定外だなぁ、とパテを使っての大修正作業となりました。

通常のラッカーパテは、乾燥に時間がかかるのと乾燥後に肉ヤセが生じてしまうので、修正には乾燥が早くヒケが少ないポリパテを使います。また主翼下側に組み合わせる艇体も取り付け部分に盛大に隙間ができてしまうので、同じくポリパテで隙間を埋めていきます。こうした修正作業はマイナーな海外製キットではありがちなので、粛々と進めます。

▲「タミヤ ポリエステルパテ(40g)」2液性のポリエステルパテで、主剤と硬化剤を混ぜ合わせることで約1時間で硬化し、硬化後も肉ヤセやヒケがなく、盛りつけ等の整形にも使用できる。価格616円

▲主翼の接合部分にポリパを使い修正工作を行う

▲ラッカーパテは乾燥時間眼がかかるのと乾燥後に肉ヒケをおこすので、こうした大規模修正工作には向いていない

▲主翼と艇体をしっかりと接着する

▲しかし主翼と艇体の接合部分に大きな隙間が生じてしまうのが辛いところ

▲ポリパテで隙間を埋める修正が必要

▲主翼と艇体を接着。段差や隙間の修正作業が完了した状態。この後サーフェイサーで下地塗装を行う。やっと飛行機らしくなってきた

 

■飛行艇の進歩を目指して開催されたシュナイダー・トロフィー・レース

ライト兄弟が初めて飛行機の動力飛行を成功させたのが1903年。その後、第一次大戦において飛行機は一気に進歩して、サボイアS.55の初飛行は1924年でした。前回も書きましたが、当時は滑走距離が長く取れる洋上から飛び立てる水上機が数多く作られていました。S.55もその中で成功した1機です。

こうした中「世界各都市を結ぶ航空機の主流は、湖水や河川から離着水できる水上機である」との考えから、その航空技術の発達のため、フランスの富豪 ジャック・シュナイダーにより水上機のスピードレース『シュナイダー・トロフィー・レース』が開催されました。

1913年から1931年まで欧米各地を持ちまわりで開催。水上機の世界最速を決定するレースでした。参加国はフランス、イギリス、イタリア、アメリカの4か国。5年の間に3回優勝した国がトロフィーを永久に保有できるというものです。

▲シュナイダー・トロフィーの優勝カップ。最終的にイギリスが3回連続優勝を果たしてカップの永久保持権を獲得した

第1回から第3回まではイタリアが優勝しましたが、第一次大戦直後ということで他国の体制が不十分という理由からトロフィーの永久保持権を放棄。そして1923年と1925年にはアメリカのカーチスが優勝(1924年は開催延期)。そして1926年、圧倒的速さを誇り優勝まであと一歩というところで、カーチスがイタリアのマッキM.39に敗れ、以降アメリカは参加を断念してしまいます。

▲マッキM.39。1926年のアメリカ、バージニア州で行われたシュナイダー・トロフィー・レースで優勝している。イタリア機はやはり赤が似合う

このあたりは、映画『紅の豚』の中でピッコロ社のオヤジが熱く語っていました。アメリカの撤退以降はイギリスとイタリアの一騎打ちとなり、隔年開催となった1927年以降は、1927年、1929年、1931年とイギリスのスーパーマリンS.6Bが優勝。熱き水上機の戦いは幕を閉じます。

▲シュナイダー・トロフィーを制したスーパーマリンS-6B。後の名機スピットファイアに通じる美しいフォルムを持つ水上機だ

いやそれにしても最後の開催となった1931年に参戦したイギリスのスーパーマリンS.6BとイタリアのマッキM.C.72は世界一美しい水上機だと思います。

▲シュナイダーレーサーの機体は当然ながらプラモデル化されているが、海外製の古いキットが多く製作はなかなか手強い。これはイースタンモデルのスーパーマリンS-6B

特にマッキM.C.72といったら、タンデムで2基搭載されたフィアットV型24気筒AS-6エンジンが駆動する二重反転プロペラ、赤い機体に主翼とフロートに設けられた金色の表面冷却ラジエーター、全てが最高にカッコ良いのです。

レースでは機体の整備が間に合わずS.6Bに優勝を譲りましたが、1934年にイタリアのガルーダ湖で平均速度709km/hを達成。これはレシプロ水上機の速度記録として現在も破られていないんですね。いやぁロマンのカタマリですなぁ。

▲S.6Bとのレースは果たせなかったが、1934年にレシプロ水上機の速度記録となる平均速度709km/hを達成したマッキMC.72

▲こちらはイースタンモデルの1/48マッキM.C.72。シュナイダー・トロフィーの機体はどれもかなり小型なので、大スケールで作りたい。1/32か1/24でキット化してくれるメーカーはないものだろうか

*  *  *

さて、主翼の修正工作作業に大幅に時間を取られたサボイアS.55ですが、次回はエンジンの製作と、サボイアっつったらコレしかないの赤い機体の塗装に突入します。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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