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格安スマホの超基本①「格安SIM」って何?

&GP / 2016年7月22日 12時0分

格安スマホの超基本①「格安SIM」って何?

格安スマホの超基本①「格安SIM」って何?

最近、テレビやネットで「格安スマホ」や「格安SIM」というキーワードを頻繁に見かけるようになりました。今夏にはLINEが「LINEモバイル」として通信事業に参入する予定。ますます注目度は高まっています。

一方で、こうしたサービスの全体像はかなり複雑で分かりづらいのが現状。基礎知識がないと、多すぎる情報に混乱しがちです。そこで本連載では、格安スマホについての基礎知識を4回に分けて解説していきます。第一回は「格安SIM」についてまとめました。

そもそも「SIMカード」とは?

格安SIMの話を始める前に、まず「SIMカード(シムカード)」について知っておく必要があります。SIMカードとは、Subscriber Identity Module Cardのこと。やや強引に和訳すると「加入者識別機能カード」といったところでしょうか。提供元や通信規格によって正式名称が異なるので、「UIMカード」などと呼ばれることもありますが、こうしたICカードを総称して「SIMカード」といいます。

 

写真 2016-07-21 15 05 10 スマホで使われている「SIMカード」のサイズは、マイクロ(左)とナノ(右)の2種類が主流

 

SIMカードには、スマホで通話やデータ通信を利用するために必要な、電話番号などの情報が記録されています。実は、スマホ単体ではモバイルネットワークを利用した通信は行えません。必ずSIMカードを挿入する必要があるのです。

 

写真 2016-07-21 18 58 37 iPhoneでは、SIMカードを挿入するスロットが側面にある

 

つまり、「スマホの通信プランを契約する」というのは、「利用可能なSIMカードを入手する」と同義になるわけです。NTTドコモなどの大手キャリアで契約する場合でも、端末が渡される際に、既にSIMカードがセットされています。

「格安SIM」と「MVNO」について

前置きが長くなりましたが、話を「格安SIM」に移しましょう。

「格安SIM」とは、MVNOとよばれる通信事業者が提供する割安な通信プランの総称です。MVNOとは、Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語だと「仮想移動体通信事業者」と呼ばれます。

「Virtual(仮想)」という単語が入っている通り、こうした事業者は実態としての通信網を所有していません。ではどうしているのかというと、NTTドコモやauといった大手キャリアに利用料を支払うことで、通信網の一部を借りて通信サービスを提供しています。設備投資が少なく済むので、割安な通信プランを提供できるわけです。

 

MVNOの仕組みについて「楽天モバイル」が丁寧な解説ページを設けている

 

また、割安な通信プランを提供できる理由には、販売をオンライン中心にし、人件費を抑えているという側面もあります。(ただし、昨今は直営の実店舗を構え、サポート体制を充実させるMVNOも増えてきているので、ひと言でまとめるのは難しくなってきました)

ちなみに、格安SIM関連の記事では、「Virtual(仮想)」という単語が入らないMNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)という単語もよく出てきます。こちらは、NTTドコモやauなど、通信網を実際に所有している通信キャリアのことを指します。

どんな会社が格安SIMを提供しているのか?

ここまでの話をまとめると、“MVNOは、大手キャリアから通信網を借りて「格安SIM」と総称される割安な通信サービス(SIMカード)を提供している”、ということになります。では、具体的にどういった企業がサービスを提供しているのか見ていきましょう。

 

音声対応SIM_パッケージ画像 NTTコミュニケーションズが提供する「OCNモバイルONE」のパッケージ

 

MVNOとして、一般消費者向けに格安SIMサービスを提供している企業は、軽く20社を超えます。NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」や、ケイ・オプティコムの「mineo(マイネオ)」、プラスワン・マーケティングの「FREETEL(フリーテル)」など、テレビCMを打ち出す企業も増えてきました。

 

WS000079 代表的なMVNOと提供している通信サービスの例

 

大部分はインターネットプロバイダーを提供する企業が目立ちます。なお、このほかイオンやゲオなど、他業種からの参入もあります。

「格安SIM」の月額料金はかなり安い

さて、“こうした格安SIMサービスに乗り換えるとどのくらい安くなるのか”という点が気になる人も多いでしょう。結論から言えば、大手キャリアの通信プランと比べると、月額基本料はかなり割安になります。

例えば、大手キャリア「NTTドコモ」と格安SIM「楽天モバイル」の通信プランで月額料金を比べてみましょう。一カ月に5GBのデータ通信が行えるプランで、通話し放題(一回の通話時間に制限あり)となる場合を想定しています。端末代金は計算に含んでいません。

 

WS000077 同等の条件で、月額料金は半額以下に。表記は税別

 

上記の例は、標準的な使い方を想定して算出しています。条件や工夫次第では、もっとお得に運用できることもあるでしょう。

格安SIMはオンラインでも店舗でも入手可能

格安SIMの主な入手方法としては、次の3つが挙げられます。

  1. 公式サイトで購入する
  2. 家電量販店で購入する
  3. MVNO直営のショップ・カウンターで購入する

 

IIJmioの公式サイト(申し込みページ)

 

公式サイトで購入する場合は、契約から開通までをオンライン上で行えます。注文後、数日から数週間で手元にSIMカードが届きます。メリットは、時間と場所を問わないこと。デメリットは時間がかかることです。

 

P1030892 ヨドバシAkibaにあるSIMカードコーナー

 

家電量販店では、SIMカードのパッケージが壁にかけられています。通常通りレジで精算すれば良いので、購入方法としては分かりやすいでしょう。SIMカードを入手したら、オンラインで開通手続きを行います。

 

DSC02985 U-mobileの直営店カウンター

 

直営のショップやカウンターで購入する場合は、SIMカードがすぐに入手できます。わからないことはスタッフに確認できるので安心です。電話番号を変えずにキャリアを乗り換える「MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)」を利用したい場合に、即日対応してくれる店舗もあります。契約には、クレジットカードのほか、本人確認用の身分証などが必要です。

なお、これらはあくまでも一般的な手順をわかりやすくまとめたものであって、全てのケースに当てはまる具体的な流れではありません。特に入手方法やプランによっては”申し込み用パッケージを購入する”というスタイルが取られることもあります。このパッケージにはSIMカードが入っておらず、パッケージに記載された情報をウェブサイトに入力すると、SIMカードが発送されるという仕組みになります。

格安SIMを使うには、APNの設定が必要

さて、開通したSIMカードをスマホにセットしても、そのまますぐに通信できるわけではありません。通信を利用するには、「APN(アクセスポイント名)」という項目を設定する必要があります。これは簡単に言うと”どこのネットワークに接続するか”という指定のことです。

 

APNの設定画面(Android)

 

Androidの場合、APNは「設定」アプリから設定できます。SIMカードのパッケージや公式サイトなどに記載された指定の項目を入力することになります。なお、最近のSIMフリースマホには、あらかじめAPNが設定されているので、登録されているMVNOを選択するだけで済む場合がほとんどです。

 

構成プロファイルのインストール画面(iOS)

 

一方、iOSでは「設定」アプリからAPNを変更できません。「Safari」を起動して、公式サイトにアクセスし、「構成プロファイル」をインストールする形でAPNを設定できます。この際に、Wi-Fi環境が必要です。

APNが正しく設定されると、アンテナの横に「3G」「H」「4G」「LTE」または「▲▼」などが表示されます。これがモバイルネットワークで通信が行えている印です。

長々と解説してきましたが、以上のポイントを抑えておけば、格安SIMのキホンはOKです。続いて第2回は「豊富なバリエーションがある格安SIMプランの選び方」について解説します(7月29日更新予定)。



(文/井上 晃

いのうえあきら/ライター いのうえあきら/ライター

スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。

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