【F-PACE 試乗】ジャガー初のSUV上陸!軽快な走りはスポーツカー顔負け
&GP / 2016年7月25日 18時30分
![【F-PACE 試乗】ジャガー初のSUV上陸!軽快な走りはスポーツカー顔負け](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_47005_0-small.jpg)
【F-PACE 試乗】ジャガー初のSUV上陸!軽快な走りはスポーツカー顔負け
いまやポルシェでさえ、収益の多くをSUVに頼る時代。なので、4ドアのスポーツサルーンを得意とするジャガーがパフォーマンスSUVをリリースしても、驚くには当たらないかもしれません。
2016年6月13日、ジャガー初のSUVである「F-PACE(エフ・ペース)」の日本でのデリバリーが始まりました。
ネーミングの由来は、創始者であるサー・ウィリアム・ライオンズが掲げたジャガーブランド創設時の理念「Grace Pace and Space」という言葉から。要するに、ジャガーのクルマは優雅で、速くて、広くなければならない、ということです。
いまや押しも押されもせぬプレミアムブランドとなったジャガーですが、歴史をひも解けば、当初は「ほどほどの性能のシャーシに」「カッコいいボディを載せ」「リーズナブルなプライスで売る」という手堅い商売でのし上がってきました。
もし今もライオンズ卿がご存命なら「ジャガーからSUVを出すのか!?」ではなく、「SUVを出すのが遅すぎる!」と、ご立腹されるかもしれません。
F-PACEの属するプレミアム・ミッドサイズSUVの市場は、なかなかの個性派ぞろい。BMW「X4」にアウディ「Q5」、メルセデス・ベンツ「GLCクーペ」、そして、ポルシェ「マカン」と強豪がひしめいています。
そこに殴り込みをかけるF-PACEの“ウリ”は? スバリ「実用性の高さ」でしょう。
“ちょっと外した”スタンスを採るライバルたちと比較して、やはりある種“オルタナティブ”の仮面を被りつつ、しかし、2875mmという長いホイールベースを活かした“Pace”ならぬ“Spacy”な室内がジマン。特にリアシートの広さは、ライバルを圧倒する、はず。そしてラゲッジスペースは、508リッターの容量を誇ります。
といっても、ただ使いやすいだけのクルマ、と思われたら困ります。そこで、ジャガーがF-PACEのために掲げたフレーズが、なかなか振るっているのです。「究極の実用的スポーツカー」…。うまいこというもんです。
ライオンズ卿の言葉、Pace and Spaceは備えている、と。では、Graceはどうか? それはぜひ、ご自身でご判断ください。
<関連記事>
【ジャガー XF試乗】新ディーゼルの軽快さに驚愕!:岡崎五朗の眼
【ジャガー XEディーゼル】新心臓でスポーティな走りが進化:岡崎五朗の眼
【ジャガーXE試乗】ドイツ御三家に真っ向勝負を挑む、英国の個性派サルーン
■スポーツカーらしく4駆システムは“FR”ベース
日本で売られるF-PACEは、大きく分けて3種類。
2リッターのディーゼルターボ(180馬力/639万円〜728万円)、ガソリンエンジンの、3リッターV6スーパーチャージド(340馬力/849万円)、同じくV6スーパーチャージドのハイチューン版(380馬力/981万円)から選べます(そのほか、「F-PACEファーストエディション」(380馬力/1108万9000円)が50台の先行受注モデルとして用意されました)。
今回、最初に試乗したのは、F-PACE 35t R-Sport。340馬力のV6スーパーチャージドエンジンを搭載した上級モデルです。
ボディサイズは、全長4740×全幅1935×全高1665mm。開発陣がベンチマークとしたポルシェのマカンとほぼ同等。同じ企業グループのランドローバー「ディスカバリー」よりは、やや小ぶりなサイズです。
ちなみに、F-PACEのプラットフォームは、プレミアムサルーン「XF」「XE」のそれを強化・拡張したもの。サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン、リアはインテグラルリンクことマルチリンク式という、XF、XEと同じ形式を採ります。
以前、「ジャガーブランドからSUVが出る」と聞いた時、「ランドローバーのプラットフォームを活用するのかな?」と思ったのですが、そうではないようです。むしろ、F-PACEで開発されたシャーシが、今後、ランドローバー側に提供されるかもしれない、とのこと。グループ内の“シナジー効果”ですね。
もちろん、F-PACEにもランドローバーで培った経験が注入されています。例えば、凍結路や状態の悪い未舗装路において、とりあえずハンドル操作に集中したい! そんな時に起動される機能が“オール・サーフェス・プログレス・コントロール”、略して“ASPC”。
路面に合わせて、場合によっては急な下り坂に対応する“ヒルディセントコントロール”を併用しながら、自動でゆっくり進んでくれる機能です。いかに路面に合わせてトラクションを確保し続けるかがキモ。ランドローバーの“テレインレスポンス”機能が、ジャガー向けにチューニングされて搭載されました。
F-PACEの駆動方式は、FR(後輪駆動)を基本に、必要に応じてフロントへ伝える駆動力を増やす、いわゆるフルタイム4WD。電制多板クラッチを備えたトランスファーが、走行状態、路面状況を判断し、インテリジェントに駆動力を前後に分配してくれます。
ちなみに、イギリス車らしく右ハンドルを基準に作られているので、トランスファーから前方へ駆動力を取り出すシャフトは、進行方向に向かって左側を通ります。そのため、ドライバーの足元を浸食しません(以上、F-PACE豆知識でした)。
さて“ジェット・レッド”(10万2000円のオプション)のボディカラーにペイントされた35t R-Sportは、グロスブラックフィニッシュの20インチホイール(22万1000円のオプション)を履いた“ちょいワル”(死語!?)仕様。
リストバンド型の“レジャーアクティビティキー”(4万1000円のオプション)をリアゲートにあるJAGUARロゴの“J”の部分にかざすと、解錠される仕組み。
そしてドアを開けると、サイドステップがサッと自動で出てきます(“ディプロイアブル・サイドステップ”/46万0080円のオプション)。クルマに乗り込むところから“F-PACE劇場”は始まっているのです。
ちょい派手な“パフォーレイテド・トーラスレザー・スポーツシート”(28万1000円のオプション)に座れば、センターコンソールには10.2インチのタッチパネル式ディスプレイが広がります。
メーターナセル内にも12.3インチの液晶が埋め込まれ、4種類のグラフィックテーマから好みのメーター類を選べます。ここには、ナビ画面を表示することも可能。いかにも“21世紀のジャガー”ですね!
スターターボタンを押してエンジンをかけると、円柱形のシフターがせりあがってくるのは、もはやジャガー・ランドローバー・グループの“お約束”。ダイヤルを“D”に回すと、視点の高いニュージャガーが、スルスルと走り始めます。
F-PACEのボディは、80%をアルミで作り、一部にマグネシウムまで導入して軽量化に励んだ先進のモノコック構造。完成車の車重は、豪華な装備を満載しながら、2トンを切る1980kgに抑えられました。
35t R-Sportの3リッターV6スーパーチャージドエンジンは、340馬力の最高出力、45.9kg-mの最大トルクとも、XEやXFと同一スペックですが、スポーツサルーンより200kgほど重いウエイトをものともせずに運びます。
そして、20インチの50タイヤを履いているとは思えない、スムーズな乗り心地。実に快適です!
■アクティブサスの恩恵は思いのほか大きい!?
ただし、次に乗ったディーゼルモデル、20d Prestige(663万円)では、時にジャガーらしからぬ、路面からの突き上げを感じることがありました。特にリアシートに座っていると、“生な”振動を感じることも。
個体差やタイヤサイズの違いもあるでしょうが、おそらく、35t R-Sportには付いていたアクティブサスペンション“アダプティブダイナミクス”(20万5000円のオプション)の有無が大きかったのでは、と推測します。
これは、走行中のホイールやボディの位置を常時モニターし、ダンピングをコントロールするシステム。車両の挙動を1秒間に最大500回モニタリングし、その上で、運転者のドライビングスタイルに合わせて足の硬さを瞬時に調整してくれるのです。35t R-Sportで感心させられたまろやかな乗り味の“ヒ・ミ・ツ”ですね。F-PACEジマンのリアシートに人を乗せる機会が多い、と予想される方は、購入時にぜひ検討いただきたいオプション装備です。
そして、もう一点だけ粗探しをさせていただけるならば、静止状態からの全力加速時に、ディーゼル版のF-PACEは最初の一瞬、少しばかりドライバーをやきもきさせます。
2リッターの“インジニウム”ディーゼルターボは、わずか1750回転で最大トルクの43.9kg-mを発生する優れたエンジンですが、それでもターボがきっちり働き始めるまでは、2リッターの排気量で2トン弱のボディを動かさなければなりません。意地悪く観察してみると、タコメーターの針が元気よく回り始めるまでは少々元気が足りない、と感じることがあります。
といっても、普通にドライブしている限り、非力さを感じることはまずないでしょう。むしろ、2000回転を超えて過給機が本領を発揮し始めると、2リッターとは信じがたい力強さで、ミッドサイズのSUVをスイスイと走らせます。例えば、高速道路を長距離移動するようなシチュエーションでは、ドライバーを疲れさせることなく、快適に目的地へと誘ってくれるはずです。
“究極の実用的スポーツカー”を謳うジャガー初のSUVですが、そのフレーズにこだわりすぎたようです。ジャガー初のプレミアムSUVは、どちらかというと、“実用的スポーツカー”というより、“スポーティなSUV”といった方がいいのではないでしょうか。あまりに当たり前な結論に、我ながらビックリしてますが…。
およそ600万円から1100万円までという広い価格帯をカバーする、SUV界のニューカマー。ジャガーの個性派SUVが市場でどのように受け入れられるのか? とても興味あるところです。
<SPECIFICATIONS>
☆35t R-SPORT
ボディサイズ:L4740×W1935×H1665mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2994cc V型6気筒DOHC+スーパーチャージャー
トランスミッション:8AT
最高出力:340馬力/6500回転
最大トルク:45.9k-m/3500回転
価格:849万円
☆20d Prestige
ボディサイズ:L4740×W1935×H1665mm
車重:1920kg
駆動方式:4WD
エンジン:1999cc 直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:180馬力/4000回転
最大トルク:43.9kg-m/1750〜2500回転
価格:663万円
(文&写真/ダン・アオキ)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【解説】スバル「フォレスター」ってどんなクルマ?サイズやエクステリア&インテリアの特徴は? グレード・価格はどうなっている?
くるまのニュース / 2024年7月6日 16時10分
-
「えっ…デカっ!」 スポーツカーだけじゃない! 時代に逆行した「大きなエンジン」を積む国産乗用車3選
くるまのニュース / 2024年7月2日 12時30分
-
1.5リッターエンジンで「300馬力」オーバー! 超パワフルな「小さな高級車」発表に驚きの声! リーズナブルな「低価格」も実現した新型イヴォークとは
くるまのニュース / 2024年6月29日 21時10分
-
乗用車とは一線を画す洗練されたデザインと“味”のあるエンジンの「ジープ・コマンダー・リミテッド」
&GP / 2024年6月15日 21時0分
-
美しすぎる新型「スポーツモデル」発表! パワフルな「ターボエンジン」搭載&丸目の「レトロ顔」採用! 新型「スポーツプラス」フィアット初公開!
くるまのニュース / 2024年6月9日 18時10分
ランキング
-
1「ぐっすり眠れない人」今すぐ摂るべき5つの食材 「眠りを誘うホルモン」が睡眠の質を高める
東洋経済オンライン / 2024年7月6日 21時0分
-
2日産新型「セレナ“ミニ”」登場は? シエンタ&フリード対抗の「小型ミニバン」は? 実はあった「小さな3列車」 ユーザーの声いかに
くるまのニュース / 2024年7月6日 7時40分
-
3「二重あご」になっちゃう理由 実は肥満だけじゃない 原因&改善法を美容外科医が解説
オトナンサー / 2024年7月7日 7時10分
-
4何もしてないのに「バッテリー上がり」した! 真夏の「突然のトラブル」どう防ぐ? いつか起こり得る「エンジンかからない」どう対処するのがOKか
くるまのニュース / 2024年7月6日 18時10分
-
5「方言がかわいいと思う都道府県」ランキング! 2位「京都府」、1位は?
オールアバウト / 2024年7月6日 21時5分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)