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YouTube収録の定番ワイヤレスマイク「RODE」と「ソニー」どっちがイイ?

&GP / 2022年9月4日 7時0分

YouTube収録の定番ワイヤレスマイク「RODE」と「ソニー」どっちがイイ?

YouTube収録の定番ワイヤレスマイク「RODE」と「ソニー」どっちがイイ?

【YouTuber、はじめました!】

ガジェット系YouTuberとして活動を始めた僕ですが、目下の課題は収録時のマイク環境のアップデート。前回の記事ではカメラ上に取り付けるショットガンマイクを検証したのですが…結果、ピンマイクのまままワイヤレス化した方が良いんじゃ? という予想外の結論に。

そこで連載第3回は、方向性を変えて、カメラに取り付けるマイクのワイヤレス化を検証してみました。用意したマイク機材は以下の2機種。

(左)RODE「Wireless GO II」(実勢価格:3万8720円前後)
(右)ソニー「ECM-W2BT」(実勢価格:2万2680円前後)

いずれも、カメラ側にワイヤレス受信部を取り付けて、撮影者がマイクを内蔵する送信部を持つことで音声収録をワイヤレス化できます。ただそれだけでなく、RODE、ソニーとも送信部自体にマイクを内蔵しているので、送信部にピンマイクなどをつなげなくてもそのままマイクとして使えます。

▲屋内だけでなく、屋外でも動画を収録してみました

これらの基本仕様を踏まえつつ屋内、屋外でテストしてみました。

 

■音質の違いはわずかだが使い勝手に差が

まず、RODE「Wireless GO II」からテスト開始。このマイク、製品パッケージとしては、カメラ上に取り付けるワイヤレス受信部が1つ、そして2.4GHzのワイヤレスで接続するマイク内蔵の送信部が2つ入ったセットになっています。

カメラに付けるワイヤレス受信部は、テスト環境であるα7 IIIとは3.5ミリのアナログ端子で接続しつつ(USB-Cによるスマホ等との接続も可)、カメラ上部に固定。

受信部の上面にワイヤレス接続状態、バッテリー残量、録音レベル等が見えるカラーディスプレイがあり、動作確認も直感的。送信部もバッテリー駆動で、システム全体として7時間駆動となります。

▲3.5ミリの接続も必須です

マイク内蔵の送信部は2個付属しているので、2台を同時接続しての2ch録音が可能。人の声などを収録するマイクはモノラルが基本なので、カメラ1台で出演者2人分の音声を収録可能とという点がメリットです。僕のようなワンオペ収録の場合は、送信部1台だけ接続しての運用も可能です。

そして送信部側面に全指向性マイクを内蔵しているので、この送信部自体がピンマイク的な役割を果たせるし、またこのマイクを使わずに3.5ミリのマイク端子から外部のピンマイク等も接続が可能です。

では屋内の収録で検証してみましょう。

胸ポケットにRODE「Wireless GO II」を仕込んでひとりで喋って収録してみると…胸ポケットの位置でも普通に高音質。中域まで肉厚で情報量のあるようなサウンドですね。

▲ピンマイクを接続しても収録可能

以前から使っているピンマイク、ソニーのラベリアマイク「ECM-LV1」を取り付けてみても音質はあまり変わらず。動画収録時にマイクが目立ってもいいのなら、RODE「Wireless GO II」1台で収録できそうです。

▲MIシュー接続の受信部とマイク搭載の送信部セット

続いてソニー「ECM-W2BT」。こちらはカメラとの接続がシンプルでソニーのカメラ独自のMIシューを利用でき、デジタル接続にも対応。

▲α7 IIIではMIシューでアナログ接続に

ただ僕が使っているα7 IIIではアナログ接続の設定で使うことになりました。それでも3.5ミリのマイクケーブルを省けるのでスッキリしています。受信機側にもマイクを搭載していて、送信機を持った出演者とカメラを回す人、2人の声を収録も可能。

▲マイク搭載の送信部。この送信部全体の公式名称はマイクです

そしてマイク内蔵の送信部は細長いひと昔前のラジオのようなデザイン。スペックを見ると、Bluetooth接続に低遅延・高音質なaptX LowLatencyコーデックというイヤホンなどで使われている技術を利用しているところが珍しいですね。

ちなみに上部にモノラルマイクを搭載しています。3.5ミリのマイク端子が付いていて外部のピンマイク等も接続が可能で、外部マイク接続時はステレオ録音という仕様です。

▲ソニー「ECM-W2BT」の屋内収録。ピンマイクは付けたり外したりしてチェック

胸ポケットにソニー「ECM-W2BT」をセットして喋ってみると、この位置でも普通にYouTube用の録音は問題なし。ピンマイクを付け外ししてみても音質は大きく変わるわけではなく、ナチュラルにニュアンスを出すようなタイプです。

そしてせっかくのワイヤレスマイクなので、自宅の庭に出て屋外での収録にもチャレンジしてみました。

▲庭で収録にチャレンジ。どちらも風によるノイズを防ぐウィンドガードが付属しています

特に気になるのがワイヤレスで電波が届く距離。見通しの良い庭でRODE「Wireless GO II」とソニー「ECM-W2BT」の送信部を装着して受信部から離れてみると…どちらも40歩(約20m)の距離までワイヤレスの音途切れナシを確認。

▲徐々に距離を離していってテスト。写真右奥のガレージまで約20mです

ただ、40歩の位置から金属壁のガレージの影に隠れてみると、RODE「Wireless GO II」のみ音途切れアリ。動画撮影で出演者がカメラに映らない障害物の影に入る可能性は低そうですが、ここは注意した方が良さそうです。

さまざまテストした結果、音質差やワイヤレスによる音質劣化に関しては優劣は付けられませんでした。むしろ、この2機種は使い勝手を比較するべきかなと思いました。

RODE「Wireless GO II」は、システムとして単純明快。カメラとの接続はアナログ接続で、送信部も受信部も全部バッテリー駆動で7時間。カメラ上の受信部でバッテリー残量も接続状態もすべてひと目で把握できます。動画撮影の設定でミスってリテイクするのは時間的なロスも精神的ダメージも大きいので、目で見て全部確認できる安心感が良いと思いました。

▲「RØDE Central」の設定で常時録音、バックアップ録音が可能

屋外の20m距離+金属の遮蔽物テストはRODEのみ途切れたのですが、RODEはワイヤレス途切れ用に送信部側にバックアップ録音が非圧縮で最大7時間残ります(要RØDE Centralのソフトで初期設定。実は屋外テスト時にはこれに気づきませんでした…)。

一方、ソニーの「ECM-W2BT」は、使っていて気になるところが複数ありました。

▲機能を絞り込み過ぎ感のあるソニー「ECM-W2BT」

まずレシーバー(受信部)の接続。ソニーのカメラ上部のMIシュー接続で一部機種ではデジタル接続できるんですが、MIシューの給電で動いているわけじゃなく受信部もバッテリー駆動なんですよ(アナログ接続だと3時間、デジタル接続だと18時間動作)。アナログの3時間接続は僕のYouTube収録にはちょっと足りないですね。

そしてバッテリー残量の表示やマイク(送信部)とのリンク状態はLEDの色のみ。直感的ではないし残量も分かりません。またレシーバーにもマイクにもオートスタンバイ機能があるので、撮影の合間に片方の電源を切ったりした際には、LINKの青ランプをしっかり確認する必要があります。正直、動作状態の確認を怠って動画撮影時に事故を起こしそう。バックアップ録音の機能もありません。

▲今さら充電端子microUSBはやめてほしい…

あと、2021年4月発売の機種なのに充電端子がmicroUSBって古臭くないですか? 2018年発売のα7 IIIもUSB type-Cなのにと、とにかく小さな不満がたくさん出てきてしまいました。

*  *  *

RODE「Wireless GO II」、ソニー「ECM-W2BT」を使ってみた感想はこれくらい。個人的に気に入ったのは…やっぱりRODE「Wireless GO II」ですね。音質云々より安心して使える、選ぶ理由はこの一点で十分です。

2回に渡ってお届けしたマイク収録編はここらへんでひと区切り。次回からはYouTubeの動画撮影環境を再検証していきます。

今回の記事内容は、YouTubeチャンネル「オリチャンネル」にて録音した音質サンプル入り動画をアップしています。興味があればチェックしてみてください!

>> [連載]YouTuber、はじめました!

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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