実車にはないイエローのハンターカブもまたカッコ良いのです!【達人のプラモ術<CT125ハンターカブ>】
&GP / 2022年9月24日 7時0分
実車にはないイエローのハンターカブもまたカッコ良いのです!【達人のプラモ術<CT125ハンターカブ>】
【達人のプラモ術】
フジミ
1/12 ホンダ CT125ハンターカブ
02/04
ホンダ CT125ハンターカブの製作第2回は、ボディカラーを変更してみました。CC110クロスカブではHONDA純正色でイエローがあるのですが、ハンターカブには純正色としてイエローは発売されていないんですね。確かにイメージカラーは赤(グローイングレッド)という印象があるハンターカブですが、模型なら何でもアリ!ということで、マフラーやフロント周り等の工作を進めつつ、赤で成形されたキットの外装パーツをイエローにペイントしてみました。(全4回の2回目/1回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。
▲こちらがイエロー仕様のCC110クロスカブ。ハンターカブのカラーバリエーションにも加えて欲しいものだ。クロスカブのイエローは檸檬イエローに近いが、作例はもう少しオレンジ味の強いイエローを調色して塗装していく
■ハンターカブだからこそカラーもカスタム!
前回紹介したように、キットの外装パーツは実車に近い色のプラで成型されているので、塗装をしなくてもそれなりにリアルな雰囲気が再現できるのが特徴なんですが、ハンターカブといえばカスタムして楽しむバイク(数多くのカスタムパーツやドレスアップパーツが発売されています)ということもあり、実際ボディカラーをカスタムペイントしているハンターカブユーザーは多いです。
余談ですが達人の愛車だったドゥカティPANTA600は、コケて傷がつくたびに、外装とタンクを赤→メタリックレッド→キャンディメタリックレッド→ブラック→メタリックレッドとプラモデル感覚で塗り替えていました(遠い目)。
【Before(実車)】
▲グレーイングレッド仕様のハンターカブ。これはこれでカッコよろしいのだが、人とは違うオリジナルカラーで目立ちたい!
【After(製作中)】
▲というワケで、実車のカラバリではラインナップされていないイエローに塗装。ポップで明るいイメージになった
■下地がイエロー塗装のポイント!
キットの成型色は赤。これを黄色に塗り替えるのですが、ここで大事なのが下地色になります。模型用塗料の黄色は隠蔽力(下地を覆い隠す力)が弱く、例えば下地が黒の上に塗装しても黄色はキレイに発色しません、暗く濁った色になってしまいます。赤の上に塗装した場合も同様で、下地の影響を受けて赤みの強い黄色になってしまうんですね。また下地に色ムラがあると、黄色を何度塗り重ねても、色ムラとなって出てきてしまうので要注意です。
そこで下地色として一度白を塗装します。そして黄色を重ねることで本来の色として発色してくれます。ちなみに赤であれば下地はピンクを塗装すると鮮やかな赤を得られます。シルバーは下地にグロスブラック、メタリックレッドならば下地に金色を塗装すると、よりメタリック感が強調できますよ。
今回外装パーツに塗装したイエローは、タミヤラッカー塗料PS-19キャメルイエローをベースにイエローとホワイトで自作調合したカラー(ややオレンジ味があるイエロー)です。
▲赤いプラで成形されている外装パーツは、イエローの塗装に影響を与えないように、下地色として白を塗装する(ホワイトサフェーサーでもOK)
▲下地のホワイトの上から調色したイエローを塗装。イエローは隠蔽力が弱いので塗装は3回塗り重ねている
▲イエロー塗装が完了したパーツ
▲鮮やかさが際立つ
▲イエローを乾燥させた後、HONDAのロゴなどシールを貼り、光沢を出すのとシールの段差を極力目立たなくするためにクリアーを塗装する。しかし湿度のせいでクリアーの光沢が思うように出てくれなかった
▲イエロー塗装の合間を縫って、マフラーやエンジンガードといったパーツも塗装していく
▲塗装後組み上げたマフラーパーツ。シルバーで塗装したマフラーガードの凹部分(軽め穴)はエナメル塗料の黒を流し込んで奥行き感を出した
■クローム再現にオススメの塗料
ハンターカブの実車は、クロームメッキされた部分がほとんどないバイクということもあって、キットにはメッキパーツがありません。とはいうもののヘッドライトの内側やウインカー内側など、鏡面で仕上げたい部分があります。
そこで今回は、筆塗りでも鏡面を再現できるメッキ調塗料を使用してみました。LEDヘッドライトはガラス部分が平滑で内部が良く見えることもあって、メッキ調に仕上がるクロームペイントはオススメです。
▲内部をアルコール系のクロームメタル塗料を使い、筆塗りして仕上げたライト本体
▲通常のシルバー塗装に比べて、リアルなメッキ調の仕上がりを得られる
▲グレーンスタッフワールド「クロームメタル」(880円)。メッキに近いクロームメタルな仕上がりが得られる筆塗り用塗料。エアブラシ用もある。アルコール系なので刺激臭もない。ただしラッカー系クリアーの重ね塗りはできない。大手模型店にて販売中
■クリアパーツの代替に
今回、メーターのガラス部分はキットのクリアパーツではなく。シールを貼った上からUV硬化タイプのクリアレジン(粘度のある液体状で、UVライトを照射することで瞬時で硬化する)を使いました。クリアパーツに比べて透明度が高く、よりガラスに近い質感得られます。
メーターガラスというワンポイントではありますが、目立つ部分なのできらりと輝くUVレジンはキラリと目立つワンポイントになってくれます。
▲UV硬化タイプのクリアレジンを流し込んで硬化させたメーター。扱いも簡単で、透明度が高くリアルなガラスの質感を再現できる
▲PADICO「UV-LEDレジン 星の雫(ハードタイプ)30g」(1650円)。市販されているUV-LEDライト(405nm)でもUVライト(365nm)でも硬化する1液性レジン(時間は長くなるが太陽光でも硬化させられる)。UV-LEDライトを当てると1~2秒ほどで硬化が始まる超速硬化タイプ。クリスタルのような透明感が得られる。大手模型店にて販売中。※UVライトは別売
■今回は悪天候に泣かされました。
さて、イエローの外装に塗装したことでハンターカブはイメージが大きく替わりました。次回はいよいよジオラマに。仕立てていきます!
オリジナルカラーでのペイントはバイクプラモの楽しさのひとつなので、ぜひチャレンジして欲しいと思います。
しかし今回の塗装は天候不良に泣かされました。塗装はラッカー塗料を使っているので、塗装が湿度の影響をモロに受けて、思った光沢が出てくれませんでした(泣)。結果、塗装のリカバリーに時間を取られてジオラマのベース製作ができませんでした(反省)。
バイクモデルやカーモデルの光沢塗装は湿度の低い晴天の日におこなうべし!というのがセオリーなのですが、台風の影響もあって製作中はずっと雨続き。その中で塗装を強行したのが光沢不良の原因です。教訓『雨の日は塗装をなるべく控える』。これ大事です。
▲塗装した外装パーツをはじめマフラーやハンドル、ライトといったパーツを組みつけた状態。スナップキットなので、パチパチとパーツを取り付けていけるが、ウインカーやフロントフェンダーなどは外れやすいので接着して強度を確保したい
▲シートは開閉可能で、5.3リットルの燃料タンクもしっかりと再現、シート裏側のプレスラインもモールドされている。ハンターカブはカタログデータによると、リッターあたり約61kmの走行が可能なので、満タンにすれば320km以上走れることになる
▲ハンドル周りも良くできているが、アクセルワイヤーやブレーキワイヤー類が省略されているのが残念。ここはワイヤー類を追加してバイクらしいディテールに仕上げたい
▲リアの大型キャリアがハンターカブの性格を物語る。キットはスライド金型の2パーツで複雑なキャリアの形状を再現。裏側に装備されているツールボックスもしっかりパーツ化されている
▲同じ1/12スケールでタミヤから発売されているストリートライダーと組み合わせてみた
■今回の大失敗
組んだキットを撮影して、原稿を書いている途中で、フロントブレーキを左側に取り付けていることに気がつくという大失態をヤラかしてしまいました。スナップキットなので、パチパチと組み直して…いやそういう問題ではなく、ちゃんと説明書読めよという事ですね。
いやいやお恥ずかしい…大反省であります。
ではまた次回!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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