2023年発売予定!ロールスロイス初の電動自動車「スペクター」がもたらす新時代の幕開け!
&GP / 2022年10月30日 17時0分
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2023年発売予定!ロールスロイス初の電動自動車「スペクター」がもたらす新時代の幕開け!
ロールスロイス・モーターカーズがピュアEV「スペクター」を英国本社で発表しました。実は最終開発段階なんだそうです。
2023年の発売を前に、余裕あるサイズのクーペボディに、モーターを前後1基ずつ積む全輪駆動という概要を見せてくれたのです。
イギリスのロールスロイス本社で取材してきました。
「スペクターはロールスロイスの車であることを第一に、 電気自動車であることを第二に考えて開発しました」。本社でインタビューをしたロールスロイス・モーターカーズのトルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOはいいます。
ユーロ7とよばれるめっちゃキビシイ排ガス規制の導入が秒読みといわれる欧州において、駆け込み的に電気自動車が増えている感があります。そんなトレンドとは一線を画して、ちゃんとしたポリシーの下で丹念に開発したモデルなのだというのです。
そのためにバッテリーと一体化させたシャシーは特性を徹底的に煮詰めたそうです。加えて、マジックカーペットライド(空とぶじゅうたんのような乗り心地)をめざした独自形式のサスペンションシステム、そして電子制御システムと、すべてスペクターがロールスロイスのりっぱな一員であることを目的に開発されています。
「2030年にはラインナップをすべて電動化します」(ミュラー=エトヴェシュCEO)というロールスロイスにとって、スペクターは新時代の幕開けです。たしかに、静止から時速96マイル(約100km/h)まで加速するのに4.4秒と、強力なバッテリーとモーターを搭載した電気自動車ならではの性能を持っているようです。
それでも、「どこかの電気自動車のように加速性ばかり重視するのではなく、誰が乗っても、ロールスロイスだね、といってくれる乗り味を大事にしているつもりです」と、テクニカルディレクターのミヒヤー・アヨウビ氏は、同じ会場で教えてくれました。
■EVでも受け継がれるロールスロイス“らしさ”
ロールスロイスらしさって何? 人によってさまざまでしょうが、私にとっては外から聞くエンジン音です。子どものときに、街で見かけた1950年代のロールスロイスのエンジン音があまりに静かで、しかもシュンシュンっといった感じに独特で、驚いたことあります。
なので、今回のスペクターは電気モーターだから無音のロールスロイスになるわけですが、私にとっては、当然の帰結のように思えるほどです。
ロールスロイスは、ちなみに、静けさを、とりわけ幽玄なものと結びつけて車名にしてきた歴史があります。ゴーストとかファントムとかレイス(生き霊=コワッ)とか……。トヨタが「亡霊」とか「幽霊」とか「生き霊」とかを車名にしても、あなた、平気ですかって世界です。
スペクターも、当然というか、亡霊の意味です。英語圏だと、微妙に表すものがちがうんでしょうね。日本だって源氏物語の昔からもののけ好きなわけですけど、語彙不足を感じさせられます。
■ボートをテーマにした丸みのあるデザイン
スペクターのスタイリングは、いまのレイスをすこし大きくしたようなイメージです。
ロールスロイスのデザインディレクター、アンダース・ウォーミング氏は、私のその見解を肯んじず、「ゴースト・クーペ(2008−2016)の後継車的なイメージ」と教えてくれました。
教えてくれました、っていうのも、へんないい方ですね。
サイズはレイス(全長5280mm)より173mm長くなっています。ホイールベースだって100mm長いのです。
大きな後ろヒンジドアを持っていて、後席にも大人が余裕もって座っていられます。レイスでも充分後席は広いので、スペクターはその上をいくわけです。
デザイン上の特徴は、キャビンにあります。後方にいくにしたがって、上から見ると、ぎゅっとしぼられたような造型です。
そして丸みを帯びたリア。テーマはボートだといいます。
側面から見ても同様です。「下側のラインはワフトライン(ふわりと浮かぶ ライン)と呼ばれ、ヨットのデザインから着想を受けたものです」とウォーミング氏は解説してくれました。
浮かぶ、というのは、マジックカーペットライドを標榜するロールスロイスの製品イメージと合うんでしょうね。
ボディ側面にアクセントをつけるキャラクターラインにも凝っていて、ぱきっとエッジがたっているところと、あえて丸くしているところがあります。「それによって前から後ろにかけての流れを生んでいるんです」とウォーミング氏。
はっきりいって、スペクターが眼の前に登場したときは、モダナイズされたレイスかな、という印象もなきにしもあらずでした。でもディテールは当然、かなりアップデートされているわけです。ロールスロイスは時間をかけながら、ゆっくり“らしさ”の内容を変えていくんでしょう。
電気自動車になっても、従来のロールスロイスの特徴を失わない、というスペクター。はたしてどんな乗り味なんでしょう。まだ実車に試乗したジャーナリストはいないはずです。「いまだいたい95パーセント完成している」(テクニカルディレクターのアヨウビ氏)そうなので、楽しみに待とうではありませんか。
納車は、2023年の第4四半期を予定。価格は「カリナン(4258万円)とファントム(6050万円)の間」(広報担当者)とのことです。
【Specifications】
☆Rolls-Royce Spectre
全長×全幅×全高:5453x2080x1559mm
ホイールベース:3210mm
電気モーター:前後1基ずつ 全輪駆動
最高出力:430kW(予定)
最大トルク:900Nm(予定)
航続可能距離:520km(WLTP)
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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