【シェアNo.1のヒミツ】ホッチキス界のトップランナー「マックス」
&GP / 2016年8月21日 20時0分
![【シェアNo.1のヒミツ】ホッチキス界のトップランナー「マックス」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_51471_0-small.jpg)
【シェアNo.1のヒミツ】ホッチキス界のトップランナー「マックス」
レポートや企画書などの紙を束ねるのに欠かせないホッチキス。その国内市場で長くシェアNo.1に君臨しているのが、文具メーカーのマックスです。No.1になるため、さらにはNo.1を維持するためには、すごい技術や画期的な発明があったはず。その知られざるヒミツを探ってきました。
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1954年発売の大ヒット商品「MAX・10」が躍進のきっかけに!
話を伺ったのは、マックス オフィスプロダクツ営業部 マーケティングGの山本恭隆さん。 ホッチキス商品のマーケティング、セールスプロモート、企画・開発に携わり、POPやパッケージのデザイン、さらにはメディア戦略まで幅広く統括するプロデューサー的な役割を担っているキーマン。寝ても覚めてもホッチキスのことばかり考えている
ライター山口(以下山口):御社は国内のホッチキス市場でシェアNo.1ですよね。いつからNo.1になったんですか?
マックス山本さん(以下山本さん):実は、よく分からないんですよ(笑)。ただ、弊社は終戦間もない頃に他社に先駆けて国産ホッチキスの生産を始めたので、おそらくその頃からNo.1だったのではないかと自負しています。
山口:スタートからぶっちぎりだったんですね!
山本さん:実はそうでもなかったようです。今でこそホッチキスは手軽な値段で売られていますが、出始めの頃は高価で、ひとりに1個とまではいきませんでした。
山口:広まるきっかけは何だったんですか?
山本さん:経済成長の追い風もあって、時間を掛けてじわりじわりと市場に浸透したようです。シェアNo.1を決定づけたのが、1954年に発売した「MAX・10」のヒット。ホッチキスの代名詞にもなるほどで、模造品も出回っていたくらいですから、それだけ世の中に与えた影響も大きかったんだと思います。当時の社内では「真似されるということは、それだけ影響のある商品なんだと理解しよう」といったことが言われていたようです。
山口:大らかな時代だったんですね。
山本さん:その反面、歯がゆい思いもあったんです。当時はホッチキスの存在すら知られていませんでしたから、使用方法を紹介するCMを流すなど普及に努めていました。しかしながら、模造品のクレームが弊社に寄せられることも多かったと聞いています。
山口:それから60年以上もの間、ずっとNo.1を維持し続けてきましたよね。その、秘訣は何だったんでしょうか?
山本さん:ひとつは、ホッチキスのNo.1企業として「高品質」こだわっていることだと思います。いかに気持ちよく綴じられるか、綴じる失敗をなくすための社内基準がとても厳しく、コンマ1mm単位の精度で作り込んでいます。綴じられる枚数の表示も、誰でも確実に綴じられると確信が持てなければ謳いません。
(古めかしいホッチキスを手に取り)
ちなみに、このホッチキスはお客様が30年以上愛用されて、弊社に寄贈してくださったものです。おそらく数十年前の針が入っていますが、今でもちゃんと打てるんですよ。
山口:ホントだ! すごい! 打てますね!
山本さん:針は1本1本糊付けして50本の束で1ユニットになっています。接着する糊にもこだわっているので、30年経った今でもちゃんと接着しているし、変色もしにくいんです。針にはJIS(日本工業規格)で寸法などが規定されていますが、JISマークが付いているのは弊社製品だけなんです。
新幹線で見掛けたOLさんに話を聞くため、勤務先を訪問し…
山本さん:No.1でいられるもうひとつの理由は、常にユーザーの身になって改良を続けてきた結果だと思います。2000年代に、イメージ広告で「世界中の球ひろい企業」というキャッチコピーを掲げていました。つまりは「お客様の声に耳を傾ける企業でいよう」という覚悟の表れなんです。
山口:実直な社風ですね。ユーザーの声は、具体的にどんな製品に見られますか?
山本さん:革新的なものは、ほとんどです。例えば、新幹線の中での出来事。大変そうにホッチキスで書類を綴じていた出張中のOLさんを見かけた商品企画の担当者が、後日その女性の勤務先を訪ねて話を伺いました。そうして、女性でもより軽い力で綴じられる機構を生み出したんです。
他にも高層ビル内の各所に荷物を届ける配送業者の方が「針がなくなったときにわざわざクルマまで針を取りに行くのが大変」との声を拾って、ハンドル部分に予備針の収納ポケットを設けるようになったんです。
山口:どこにヒントが落ちているか分かりませんね。
山本さん:販売店の方からもお話しを伺っているのですが、実際に使っていただいているユーザーに直接伺うことに注力するように心がけています。
山口:子供の頃から何気なく使っていたホッチキスに、こんなにこだわりが詰まっていたとは知りませんでした。これからは、ひと針ひと針、大切に打ちたいと思います! ところで、海外で御社製品はどのくらい浸透しているんですか?
山本さん:アジアでは日本と同じ10号針のハンディタイプが主力で、これも弊社が広めたと自負しています。タイでは「マックスください」とお客様が買いに来られるほど、マックスがホッチキスの代名詞になっているそうですよ。業務用プリンターなどに搭載されているオートステープラでも高いシェアを持っています。
それと、ホッチキスから発展したエアーツールで、建築業界で使われているタッカーや釘打機も国内シェアN0.1です。住宅関連でいえば、電気式浴室暖房乾燥機も国内シェアN0.1なんですよ。
山口:No.1は国内のホッチキスだけじゃなかったんですね。いろんな所でお世話になってます!
マックス >> http://www.max-ltd.co.jp/
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出先でも書類を綴じる!持ち歩ける小型ホッチキス
(文・写真/山口清憲)
やまぐちきよのり/エディター・ライター
1978年生まれ。大学工学部卒業後、自動車専門誌の編集部勤務を経て2010年に独立。主に乗りものやメカニズム系のジャンルを得意としている
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