Z900RSからハンターカブまで! 歴史的名車を現代の技術で復刻したバイク6選
&GP / 2023年3月12日 7時0分
![Z900RSからハンターカブまで! 歴史的名車を現代の技術で復刻したバイク6選](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_516179_0-small.jpg)
Z900RSからハンターカブまで! 歴史的名車を現代の技術で復刻したバイク6選
バイクの歴史には名を残す名車は数多くあります。近年はそうした旧車も人気を集めていますが、価格の高騰が激しく、憧れていてもおいそれと手を出せるものではなくなっています。一方で、そんな歴史的モデルを現代の技術で復刻した車両も人気で、各社ラインナップが充実してきています。近年、話題になった“復刻”バイクをピックアップして紹介しましょう。
1. Z1、Z2を復刻したカワサキ「Z900RS」
過去の名車を現代の技術で復刻した車両として真っ先に挙げられるのは、カワサキの「Z900RS」でしょう。2017年の12月に発売されて以来、2018〜22年まで5年連続で大排気量車としては販売台数トップの座をキープしています。
▲1972年式「900 Super4」(Z1)
このマシンのルーツとなったのは、1972年に発売された「Z1」(正式な車名は「900 Super4」)と、翌年に国内仕様として発売された「Z2」(正式な車名は「750RS」)。歴史的な名車と呼ぶにふさわしいモデルです。
「Z1/Z2」は空冷の4気筒エンジンで、リアのサスペンションは2本タイプ。対して「Z900RS」は水冷4気筒で1本サスと、基本設計から違う部分は多いのですが、見た人に「Z1/Z2」の血統を感じさせるのはデザインの力でしょう。特にタンクの形状とカラーリングによって、伝統のシルエットをうまく再現しています。
2. “ザッパー”の流れを組むカワサキ「Z650RS」
「Z900RS」の兄弟車ともいえるのが「Z650RS」。こちらは1976年に発売された「Z650」をオマージュしています。この「Z650」は「Z1/Z2」に比べるとややマニアックですが、風を切る擬音を元にした“ザッパー”の愛称で親しまれ、ロングセラーモデルとなりました。
▲1976年式「Z650」
かつての「Z650」は空冷4気筒エンジンを搭載していましたが、新型の「Z650RS」は水冷の2気筒エンジン。基本設計に差があるのは兄弟モデルである「Z900RS」と同様ですが、これは“ザッパー”の魅力である軽快な走りを実現するためのものといえます。
「Z650RS」は、初代「Z650」のタンク形状や、サイドカバー、テールカウルなどのデザインを再現。特にテールカウルの跳ね上がったような形状は“ザッパー”の血統を感じさせるものです。実際に乗ってみても、2気筒のスリムな車体も手伝って、街中からツーリングまで軽快なハンドリングを味わえます。
3. スポーツライディングも楽しめるスズキ「カタナ」
近年の復刻モデルの中でも話題になったのがスズキの「カタナ」です。ルーツとなったのは、1980年に発表された「GSX1100S KATANA」。
▲1981年式「GSX1100S KATANA」
日本刀をモチーフとしたデザインは、ハンス・ムートが勤務するターゲットデザイン社の手によるもので、見た目だけでなく実際の空力性能も優れていました。
▲1982年式「GSX750S」
国内向けには1982年に「GSX750S」が販売開始。ただ、当時の国内規制によって排気量が750ccに下げられただけでなく、ハンドルがアップタイプとされ、スクリーンも取り外されていました。凶器を連想させるという理由から「カタナ」の車名も用いられませんでした。
新型の「カタナ」は2019年に発売。フロントカウルからタンクにかけてのシャープなラインは、過去のデザインを明確に受け継いでいますが、全体のフォルムはやや丸みを帯びたものになっています。車体やエンジンは同社のスーパースポーツ「GSX-R1000R」系のもので、高いスポーツ性能を実現しているのも特徴。その性能をアップタイプのハンドルで操れるので、スポーツライディングを楽しみたい人にもおすすめです。
4. フレーム製法まで再現したホンダ「ダックス125」
2022年に登場したホンダの「ダックス125」も過去デザインを復刻したモデルとして話題になりました。ルーツとなったのは1969年に発売された「ダックスホンダ」。ダックスフンドをイメージしたフレーム形状のレジャーバイクで、1995年にも復刻されるほど人気のあったモデルでした。
▲1969年式「ホンダダックス」
新型の「ダックス125」はスーパーカブ系の横型エンジンを採用している点は同様ですが、排気量が125ccに拡大され、車体も2人乗りを前提としたサイズに。ただ、特徴であるフレームデザインは踏襲されており、またがった際に目に入る上面のプレスの合わせ目も再現されています。
そのためにわざわざ手間のかかるプレス構造で製造しているほどで、ホンダがこのモデルにかける意気込みが伝わってきます。サイズアップによって乗る楽しさも向上しており、ツーリングに出かけても快適な作りに。単なる復刻ではなく、新たな世界が味わえるレジャーバイクになっています。
5. 原付二種クラスで復刻の流れを作ったホンダ「モンキー125」
過去の名車を復刻する手法を原付二種クラスにも持ち込んだ先駆けといえるのがホンダの「モンキー125」でしょう。「モンキー」といえば、レジャー施設「多摩テック」の遊具として開発された50ccの横型エンジンを搭載したレジャーバイク。1967年には公道向け市販車として「Z50M」が発売され、2017年の最終モデルまで50年の歴史を刻みました。
▲1967年式「モンキー(Z50M)」
半世紀に渡る歴史に幕を下ろした翌年の2018年、原付二種にスケールアップした「モンキー125」が登場します。排気量は大きくなりましたが、エンジンは伝統の横型。車体もサイズアップしましたが、ひと目見ただけで誰もが「モンキーだ!」と思えるデザインに仕上がっています。
2021年にはロングストローク型となった新エンジンが採用され、トランスミッションも5速に。よりバイクとしての完成度を増しています。以前の「モンキー」はカスタムベースとしても人気で、排気量アップから足回りの強化など多くのパーツが存在しましたが、「モンキー125」は倒立フォークに12インチホイールなど、カスタムの完成形ともいえる装備が与えられているのも魅力です。
6. バイクブームの一翼を担うホンダ「CT125・ハンターカブ」
昨今のバイクブームの立役者ともいえるのが2020年に発売された「CT125・ハンターカブ」。未舗装路も走れてしまう走破性と、大型キャリアを装備した積載性で、流行りのキャンプツーリングに引っ張りだこの存在となっています。このモデルも、過去モデルを復刻したものです。
▲1981年式「C110」
オマージュされているのは1981年式の「C110」。発売時には、決して人気モデルとはいえませんでしたが、“ハンターカブ”の愛称とともに一部のファンに支持され続けていました。支持されていた理由は、スーパーカブ系のタフな横型エンジンを搭載しながら排気量110ccと余裕があり、オフロードも走破できる性能を備えていたこと。「CT125・ハンターカブ」では、その魅力をさらに磨き上げています。
エンジンが125ccになっているだけでなく、車体周りも強化されており、スーパーカブ系のマシンですがビジネスバイクとは一線を画した走行性能。未舗装路の走行はもちろん、街乗りやツーリングでもバイクらしいハンドリングを味わえるバイクです。
<文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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