【アウディ A4アバント試乗】大きくなっても120kg減量!走りも機能も未来的
&GP / 2016年8月23日 18時30分
【アウディ A4アバント試乗】大きくなっても120kg減量!走りも機能も未来的
今春、自動運転…もとい、“ドライバーアシスタンスシステム”の運転のうまさにビックリさせられたアウディ「A4」。そのステーションワゴン版たる「A4アバント 2.0 TFSI クワトロ」に乗ってきました。
A4アバントは、セダンから約2カ月遅れて、2016年4月から日本市場での販売が始まりました。グレード構成はセダンに準じたもので、2リッター直列4気筒直噴ターボ(190馬力/32.6kg-m)を搭載するFFモデル「2.0 TFSI」(547万円)、「2.0 TFSI スポーツ」(585万円)。同じエンジンながら最高出力を252馬力、最大トルクを37.7kg-mに引き上げた4輪駆動モデル「2.0 TFSI クワトロ」(626万円)、「2.0 TFSI クワトロ スポーツ」(653万円)がラインナップされます。セダンと比較すると、それぞれ29万円高のプライス設定です。
■ベンツやBMWのライバルよりひと回り大きいボディ
アウディのアバントといえば、A4の前身である「80シリーズ」の頃から、スタイリッシュなワゴンとして知られていました。商品や作業道具を詰め込んで仕事に使うため…ではなく、夏はマリンスポーツ、冬はスキー用品を放り込んで、週末ごとに遊びに行く。そういった、リッチでスポーティなライフスタイルをアピールするためのクルマです。「カッコはいいけれど、荷室、狭いじゃん」というフレーズには、「むしろ、それがイイでしょ!」と応えるべきモデルなのです。
といっても、代を重ねるごとにデザインもユーティリティもどんどん洗練され、新型A4アバントは、両者のバランスがよく取れたスタイリッシュワゴンに仕上がってます。エンジンを縦置きにレイアウトしたプレミアムモデルらしい、長めのフロント。流麗なルーフラインは、荷室上部を斜めにカットするリアガラス(Dピラー)とつながります。シルバーにペイントされたルールレールが、サイドのウインドウグラフィックを描くメッキモールと呼応して、よいアクセントになっていますね。
パッと見、ラゲッジスペースが狭そうですが、新型の荷室容量は505リッター。意外なことに、メルセデス・ベンツ「Cクラス ステーションワゴン」の450リッター、BMW「3シリーズ ツーリング」の495リッターをスペック的に上回ります。
ニューA4アバントのサイドビューを観察すると分かるのですが、荷室をカバーするトノカバーのレベルまでは、グッとボディを後ろに突き出して、しかもほぼ垂直に立たせています。荷室の常用域をマックス確保しておいて、キャラクターラインから上の部分を一気に前に倒し込み、スタイリッシュ&スポーティなイメージを強調しているのです。デザインの妙ですね!
もうひとつ、ミもフタもないことをいうと、A4シリーズはライバルと比べると実は大きなクルマなんです。全長4735(Cクラス ステーションワゴンと比較してプラス30mm)、全幅1840(同プラス30mm)、全高1455(同5mm)。3シリーズ ツーリングはもちろん、Cクラス ステーションワゴンもすっぽりその外殻に入れることができます。
それでいて、車重はFFモデルで1580kg、クワトロこと4WDモデルで1680kgに抑えられます(C200 ステーションワゴン アバンギャルドは1600kg)。“MLB evo”と名づけられた新しいプラットフォームを採用するに当たり、ボディの贅肉を積極的に削ぎ落とした結果ですね。最大、120kg減の効果があったとか(欧州仕様車)。
ドアを開けて運転席に座れば、メーターナセルの中に12.3インチディスプレイを使った“Audiバーチャルコクピット”が広がり、左手を下ろしたトンネルコンソール上には、ナビやオーディオ類をセンターコンソール上の8.3インチディスプレイと連動して操作する“MMIナビゲーション”のコントローラーが備わります。
さらにこのコントローラーで、“Audiスマートフォンインターフェイス”を使い接続したスマートフォンの機能を呼び出すことも可能。カセットテープならぬ「iTunes」に、気合いを入れてセレクトしたドライブ用ミュージックを用意しておきたいものです。21世紀のクルマの運転席は、コクピットというか、ひと昔前なら“コンピュータルーム”とでも呼びたいような空間になっているんですね。
もちろん、クルマとしての基本的な機能、「走る」「曲がる」「止まる」もしっかりブラッシュアップされています。わずか1600回転で最大トルク37.7kg-mを発生する直噴ターボはスペックに違わずトルキーで、スロットルペダルの踏み始めから、スルスルと1.6トンのボディを加速させます。7速のツインクラッチトランスミッション“Sトロニック”とのマッチングも良好で、A4アバント クワトロは、文字どおり“滑るように”走ります。
ステアリングホイールの操作に対するボディの反応は機敏で、手の動きに合わせて、ピッ、ピッと向きを変えます。一方で、クワトロシステムを得て4輪を駆動するシャーシは、基本的に安定感高くしつけられています。大船に乗ったつもりで分かりやすくスポーティなハンドリングを楽めるからこそ、隣に乗った素敵な同乗者に「本気で攻めたら、ちょっとアンダー(ステア)強くってさぁ」みたいなこともいえるわけです。
また、冒頭で触れたように、新しいA4シリーズには前走車に適度な車間距離を保ったまま追走し、渋滞時にも作動する“アダプティブクルーズコントロール”、車線を外れそうになるとステアリングを自動修正する“Audiアクティブレーンアシスト”、ヘッドライトのハイ/ローを自動で切り替える“ハイビームアシスト”といった運転支援システムが搭載されるので、愛車をジマンするネタには事欠きません。
口は達者だけど、駐車は苦手…という方は、“ドライバーアシスタンスパッケージ”または“パークアシストパッケージ”を検討されてはどうでしょう? 駐車経路をMMIディスプレイに示す“Audiパークアシスト”に加え、駐車時にステアリング操作まで行ってくれる“パークアシスト”がセットオプションで付いてきます。うーん、頼もしい!
21世紀のアウディは、楽しみ方も自慢の仕方も、さまざまに進化しているのでした。
<SPECIFICATIONS>
☆アバント 2.0 TFSI クワトロ
ボディサイズ:L4735×W1840×H1455mm
車重:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒 DOHC 直噴ターボ
トランスミッション:7AT(ツインクラッチタイプ)
最高出力:252馬力/5000〜6000回転
最大トルク:37.7kg-m/1600〜4500回転
価格:626万円
(文&写真/ダン・アオキ)
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