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「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」実際に試してメリットとデメリットを考えてみた

&GP / 2023年5月28日 7時0分

「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」実際に試してメリットとデメリットを考えてみた

「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」実際に試してメリットとデメリットを考えてみた

「地デジよりYouTubeやNetflix、プライムビデオなどネット動画ばかり見ている」という層から人気を集める「チューナーレステレビ」。そんなチューナーレステレビ人気に対して、「PCモニターにFireTVを追加すれば、チューナレステレビになるのでは?」という意見もあります。

PCモニターなら画質スペックが高く、4Kモニターでも3万円程度から。4Kに対応したFireTVシリーズの人気モデル「Fire TV Stick 4K Max - Alexa対応音声認識リモコン(第3世代)付属」(以下FireTV)はアマゾンの通常価格で6980円とお手頃なので、チューナーレステレビよりもコスパに優れた選択肢として考えられそうです。

そこで、4KのPCモニターとFireTVを組み合わせて、「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」の環境を構築。実際に試して分かったメリットとデメリットを解説していきます。

▲「Fire TV Stick 4K Max - Alexa対応音声認識リモコン(第3世代)付属」をテスト。なお、出荷時期によってリモコン右下のボタンが異なります

▲PCモニターはLG「27UN880-B」で検証。4K/60HzのIPSパネル、DisplayHDR 400対応とミドルスペックのモデルです

 

■音と操作性にはデメリット多め?

「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」の構築と言っても、PCモニターとFireTVの接続には特別に難しい要素はありません。背面のHDMI端子にFireTVを接続して、FireTVのWi-Fi接続やAmazonアカウントの登録、YouTubeアプリへのGoogleアカウント登録、Netflixなどのサブスクのアカウント登録、TVerアプリ導入などセットアップをひと通り済せたら完成となります。

▲PCモニター背面のHDMI端子に接続。4K/60p接続にはHDMI 2.0以降が必須

PCレスでネット動画を視聴するだけなら簡単過ぎて特別語ることはありません。ただ、実際に環境構築して使ってみたメリット・デメリットがあるので、そこをお伝えしていきます。

▲普通に使えるFireTVの環境。YouTube、Netflix、プライムビデオ、TVer、Abemaなど人気アプリも簡単に導入可能

 

【メリット1】PCモニターなら20インチ台の小型サイズの選択肢が豊富

そもそもPCモニターとチューナーレステレビって中心となるサイズが違うんです。PCモニターは23~27V型が主流で、30V型オーバーは大きめという世界。これはデスクトップの距離でPC周りの環境向け。一方、チューナーレステレビは32~55V型クラス主流で、それ以下は小型サイズという世界です。チューナーレステレビはリビング環境向けですね。

【メリット2】4Kなどパネル性能重視で選べる

PCモニターは、チューナーレステレビより画質スペックが高めです。PCモニターで人気の24/27V型クラスは、3840x2160の4Kや、ゲーミングで人気の2560x1440パネルなどを選べます。ちなみにFireTVは2560x1440(およびウルトラワイドなど半端な解像度)のディスプレイ出力に対応しないので、PCモニター側で4K入力対応のモデルを選ぶことをオススメします。

一方、チューナーレステレビは、小型サイズとなると32V型でフルHD、24型では1366x768パネル程度。同一サイズの画質スペックで考えると、PCモニターの圧勝です。

▲個人的には“小型サイズで4Kパネル”という点がPCモニターを選ぶ一番の理由

 

【メリット3】FireTVの操作性とレスポンスが優秀

FireTVシリーズは人気デバイスで対応アプリが豊富です。FireTVの付属リモコンにはYouTubeのダイレクトボタンが存在しないという嫌がらせポイント(?)はありますが、それ以外の操作性も良く、上下左右の選択操作もスムーズ。

快適さを語る上では、アプリの起動速度も外せません。FireTV 4K Maxの初回起動でレスポンスを計測したところ、YouTubeやプライムビデオが約6秒、Netflixが約10秒。FireTVシリーズは常時起動が基本なので、2度目以降の切り替えは高速です。

▲“ユーザーの多いFireTVである”という安心感も推しポイント

 

…と「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」のメリットは想像が付きやすいのですが、実際に運用を始めるとデメリットも気になるんですよね。

 

【デメリット1】音質悪すぎだし、音周りの拡張性も良くない

音質は不満が多いポイントです。

PCモニターの内蔵スピーカーって、ほとんどのモデルは音質がチープで結局外部スピーカーが欲しくなります。これは最初から分かっていた事ですが、拡張を考えたさらに先も不便です。

“チューナーレステレビ”だと、HDMI ARC/eARC端子を使えるおかげで、サウンドバーにサラウンドも含めた発展が可能(ついでにHDMI CECで音量も電源も連動操作可能)ですが、PCモニターは基本的にHDMI ARC/eARCに対応しないので接続機器が限られます。

シンプルにステレオの高音質で良いならなら、ほとんどのPCモニターにはヘッドホン端子が付いているので、3.5ミリステレオミニ接続のヘッドホンやPCスピーカーがお手軽。それからFireTVはBluetoothスピーカーのペアリングができるので、Bluetoothスピーカーを増設というのはひとつの解決策。ただ、それぞれの電源オン/オフも更に手間に…。

ちなみに、AmazonEchoシリーズを2台準備できるなら、FireTVに対して「ホームシアターグループ」を作成して音声再生を担当させることでサラウンドへの発展も可能です。この路線は操作性のデメリットもないのでオススメですよ。

▲お手頃な解決策は僕のお気に入りの「Creative Pebble」というPCスピーカー。アマゾンで2310円

 

【デメリット2】FireTVには電源を切る手段がない

FireTVって、基本的には電源を切ることを想定していません。一応、設定メニュー内に手動でスリープする機能があったり、20分操作しないと自動でスリープしますが、ボタンひとつで電源オフ(スタンバイ)にできたテレビ感覚とは異なります。

解決策は、PCモニター側の電源を手動でオン/オフすること。操作方法はPCモニターの機種によりますが、毎回モニターの電源を手動で操作するのって手間ですよね。

▲FireTVの電源を落とせないのでPC側で電源操作が必要

 

【デメリット3】音量操作をしづらい

これは上記にも関連する操作性のお話です。

FireTVは、チューナーレステレビとHDMI端子で接続すると、HDMI CECによって連動操作が可能です。テレビ側のリモコンでFireTVを操作できるし、一部機種はFireTV側もテレビを登録して付属リモコンで電源オン/オフや音量操作もできます。

でも「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」は、これができないんですよね。調べてみてもPCモニターは基本的にHDMI CECに対応していないし、FireTVには、PCモニターの電源や音量を操作する機能はありません。

「普段のFireTVの操作は、FireTV付属リモコンを使うんだし問題ないかな」と思ったのですが…一番困るのはリモコンの音量ボタンが使えないこと。急に音量を調整したい時にわざわざPCモニター側の操作になるところが面倒。PCモニターにリモコンが付属、または外部スピーカーを組み合わせる場合でも、リモコンをふたつ使うことになり不便です。

ちなみにこのデメリット、FireTVにBluetoothスピーカーを接続したり、AmazonEchoシリーズと連動すれば回避できます。リモコンで音量操作したいのであれば、サウンド拡張にはFireTVに直接繋がる機器を選びましょう。

▲“リモコンで音量操作ができない”というシンプルなことがとても不満

 

■まとめ

「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」の環境は、メリットは誰でも想像が付くと思いますが、デメリットは意外と気づきにく、じわじわと不便さを感じてしまうポイント。デメリットを回避できる方法はあっても、きちんと方式を理解した上でないと選べないですよね。

チューナーレステレビって、1台で最初から全部そろっているところがメリットなんだなと感じました。

といっても、「PCモニター+FireTV=チューナーレステレビ」は格安なのは事実だし、僕のように27インチで4Kパネルも導入できるし、自分で環境をカスタマイズできるおもしろさもあります。FireTVさえあれば余ったPCモニターで始められるので、気になる人は、メリットもデメリットも含め、ぜひ一度体験してみてください!!

※音と操作性について、加筆訂正しました(5/29)

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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