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日本のスマホ市場に参入したアメリカ発の 「Orbic」ってどんなメーカー?

&GP / 2023年6月9日 22時0分

日本のスマホ市場に参入したアメリカ発の 「Orbic」ってどんなメーカー?

日本のスマホ市場に参入したアメリカ発の 「Orbic」ってどんなメーカー?

6月1日に「Orbic(オルビック)」というブランドの日本上陸が発表されました。6月下旬にスマートフォンとタブレット、ワイヤレスイヤホンが発売される予定です。

 

■米国発のモバイル機器メーカー

Orbicは2006年にニューヨークで創業されたメーカーです。スマホ、タブレット、モバイルルーター、ウエアラブルデバイスなどの開発・製造のほか、クラウドサービスも提供しています。

同社がグローバル企業へと成長する契約となったのが2019年。米国最大手の通信キャリア・ベライゾンに採用され、これまでに15機種をリリース。2022年にはオートラリア市場に参入し、今年は日本のほかに、台湾やヨーロッパへの進出も計画しているとのこと。開発拠点はアメリカ、台湾、インドにあり、製造は主にインドで、一部中国でも行っているそうです。

▲2019年以降、急成長を遂げて、今年から本格的なグローバル展開を開始

6月1日に東京で開催された発表会に、日本法人Japan Orbicの社長として登壇したのはダニー・アダモポウロス氏。氏は以前、モトローラ・モビリティ・ジャパンの社長を務めていた方。同社の退職後、引退を考えていたところ、Orbicの誘いを受けて、転身を決めたそうです。アダモポウロス氏に限らず、Orbicにはノキア、サムスン、クアルコムなど、モバイル業界での実績を持つ人が多く、グローバル展開に対する自信も伺えました。

▲Japan Orbic社長 兼 米Orbic EVP セールス&オペレーションズのダニー・アダモポウロス氏

 

■第1弾スマホは、高コスパの4Gモデル

6月下旬に発売されるスマホは「FUN+ 4G」。4Gのミッドレンジモデルです。6.09インチの液晶ディスプレイを搭載し、背面にはメイン(16メガピクセル)+マクロ(2メガピクセル)のデュアルカメラを搭載。指紋センサーも背面に搭載されています。気になるほどではないですが、スペックのわりには大きく、重め。“イマドキ” ではなく “ちょっと前” のスマホという印象です。

▲FUN+ 4Gは、ブルーとホワイトの2色展開

▲6.09インチの液晶ディスプレイを搭載。横幅は73.6mmで、標準的なサイズ感という印象。画面の視認性は上々

▲背面パネルは手触り感が異なるラインを配したデザインで、指紋センサーも搭載

▲右側面に音量ボタンと電源ボタンを搭載

▲上部にイヤホンジャックを搭載

▲内蔵スピーカーのスペックは「ステレオ」となっていたが、メインに使われるのは底部のスピーカーで、実質的にはシングルスピーカーと思っていたほうがよさそうだ

Orbicがターゲットにしているのは、初めてスマホを使うエントリー層。従って、価格は2万4800円に抑えられています。しかし、プロセッサーには、ビギナーには十分と思えるミッドレンジ向けの「Snapdragon 680」を採用。メモリは4GB、ストレージは64GBと十分。microSDカード(最大1TB)を装着して、ストレージを拡張することもできます。バッテリー容量は4000mAhなので、標準的な使い方であれば1日以上持つはずです。

 

■SIMを挿せるタブレットも発売

タブレットは8インチ画面の「TAB8 4G」と、10.1インチ画面の「TAB 10R 4G」が発売されます。

「TAB8 4G」はコンパクトで軽い(416g)ことが利点。プロセッサーは、FUN+ 4Gと同じ「Snapdragon 680」で、メモリは3GB、ストレージは32GBと十分。microSDカード(最大1TB)も挿せます。バッテリーは4300mAh。4GのSIMを挿せてGPSも搭載しているので、旅行や出張に持って行くタブレットとしても重宝しそうです。市場想定価格は2万7800円。

▲TAB8 4Gは片手でもつかめるサイズ感

▲背面パネルはサラサラとした手触り。背面には13メガピクセル、正面には8メガピクセルのカメラを搭載

「TAB 10R 4G」は、上下(横向き時の左右)にバンパーが付いていて、MIL規格の耐衝撃性を備えていることがアドバンテージ。IP65の防水・防塵性能も備えているので、アウトドアでも安心して使えます。プロセッサーは「Snapdragon 680」で、メモリは4GB、ストレージは64GB。microSDカード(最大1TB)も装着可能。バッテリーは6000mAh。4GのSIMを装着でき、GPSなども位置情報システムにも対応しています。市場想定価格は3万9800円。個人で購入できますが、法人のニーズにも応える仕様と言えるでしょう。

▲TAB 10R 4Gはバンパー付きでタフなところが利点

▲マグネットで本体に装着できるスタイラスペンも付属。背面には13メガピクセル、正面には8メガピクセルのカメラを搭載

 

■ワイヤレスイヤホンも格安

「Orbic Ear Buds」は4800円という安さながら、ノイズキャンセリング機能を搭載し、クリアな音で通話できることを特徴としています。音楽の連続再生は約5時間、連続通話は約3.5時間となっています。

▲「Orbic Ear Buds」の市場想定価格は4800円

ちなみに、Orbicはフィーチャーホン(ガラケー)も製造しており、「折りたたみ式のフォーチャーフォンのシェアは米国でNo.1」とのこと。今後、日本向けにガラケーを発売することも検討しているようです。

日本のスマホ市場では、5月に京セラが個人向けのスマホ事業から撤退することを発表し、FCNTの経営破綻も報じられました。京セラもFCNTも、大手キャリアと協業してシニア向けやエントリー向けの端末を製造していたメーカーです。Orbicは、これら国内メーカーが撤退した穴を埋める存在となることも期待できそうです。

第1弾として発表された「FUN+ 4G」は、NFCもFeliCa(おサイフケータイ)も搭載しておらず、防水・防塵仕様は主流であるIP68ではなくIP54。まだ、日本市場のニーズに完全に対応しているとは言えません。しかし、アダモポウロス氏によると、すでに「キャリアとの話し合いも進めている」とのこと。だが、「まずはOrbicの名前を知っていただくために、オープンマーケットから展開したい」と話していました。今後の展開にも期待しましょう。

>> Orbic

<取材・文/村元正剛(ゴーズ)

村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

 

 

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