素材の95%を再利用できる! ライフサイクルにこだわったボルボのピュアEV「EX30」
&GP / 2023年6月24日 21時0分
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素材の95%を再利用できる! ライフサイクルにこだわったボルボのピュアEV「EX30」
こんなスタイリッシュなEVに乗ってみたい。そう思わせるのがボルボ「EX30」。全長4.2mとコンパクトなSUVタイプだ。2023年6月にミラノでお披露目されました。
2030年には、ラインナップをすべてピュアEVにすると発表しているボルボ・カーズ。すでに日本でも、「C40 Recharge」と「XC40 Recharge」なるピュアEVを発売。
今回のEX30は、完全にピュアEV用として開発された新シャシーを使うのが特徴。22年11月にストックホルムで発表されたEX90に続き、新世代のピュアEVとしては2台めになります。
ボルボらしい、と思わせるのは、「生産とライフサイクル全体にわたる排出量削減に取り組む」ことを前面に押しだし、このEX30についても「ボルボ史上最少のカーボンフットプリントを実現」と高らかに謳う点です。
「生産とライフサイクル全体にわたる排出量削減に取り組むとともに、内外装の素材に配慮することで、20万kmの走行時における総二酸化炭素排出量を低く抑えているとします。
■ドライブトレインは3種類
私にとって興味深かったのは、ドライブトレイン(バッテリーと駆動方式の組合せ)が3種類、用意されることです。
性能がまあまあで比較的廉価なバッテリーを後輪駆動システムと組み合わせたモデルは、基本的に市街地用。高性能バッテリーに置き換えたモデルは、巡航距離480kmの長距離用。3つめは、高性能バッテリーに、前後モーターの4輪駆動システムの組合せ。静止から時速100kmの加速が3.6秒と、スーパースポーツカーなみです。
内外装はシンプルさを身上としている感があります。グリルを持たないフロントマスクと、超が付くぐらいシンプルに仕上げられたダッシュボードが特徴的です。
「グリルレスにしたのはピュアEVであることを強調するため。内装ではスイッチ類を極力減らして位置もまとめたことで、デザイン上の特徴が出るとともに、部品点数が減って製造過程がいちぶ省略され、結果として二酸化炭素排出量が減少します」
エクステリアとインテリア、それぞれ担当したボルボ・カーズの2人のチーフデザイナーが、口を揃えるように、大意、上記のように教えてくれました。
■素材の95パーセントを再利用できる設計
インテリアは、北欧の自然をテーマにしたとかで、ゆるやかなカーブと、抑制の効いた色づかいが目をひきます。
シートも、ボルボ車の魅力であり続けてきた部分。EX30でも複雑なカーブで構成され、座り心地がよさそうだし、長い距離走っても疲労度は少なそうです。
同時に、シートを覆う表皮は、リサイクル素材が多用されました。「デニム、亜麻、リサイクルポリエステルを約70%含むウール混紡素材など、リサイクル素材や再生可能素材を数多く使用しています」とはボルボ・カーズによる広報資料内の説明。
たとえば、今回はデニム素材も「インディゴ」の名でシートに採用されました。ジーンズがリサイクルされるとき、廃棄物として処分される短い繊維を回収し(中略)使用したものだそうです。
「EX30は、そのライフサイクル終了後においても、素材をリサイクルし、またリサイクルできない部分からはエネルギーを回収することで、95%まで再利用できるように設計されています」
ボルボのプレス向けリリース内の文言です。ここまではっきり言えるのは、すばらしいことだと思います。
株主対策としても、いまは未来に向けていかに地球環境保全(サステナビリティ)に取り組んでいるかを明言できない企業はマズい、という認識が拡がっているのではないでしょうか。
EX30は、ベーシックモデルが3万6000ユーロから。欧州の一部の国では、発表と同時に発売も開始されました。日本でもまもなく発売されるとか。
全長4.2m、全高1.55mのEX30。適正価格がつけば、日本でもいい線いくのでは、と思わせる内容を持っていました。
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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