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さらなる光沢仕上げを目指す「ボディのクリアー塗装&研ぎ出し」を解説【達人のプラモ術<ポルシェ935マルティーニ>】

&GP / 2023年8月12日 7時0分

さらなる光沢仕上げを目指す「ボディのクリアー塗装&研ぎ出し」を解説【達人のプラモ術<ポルシェ935マルティーニ>】

さらなる光沢仕上げを目指す「ボディのクリアー塗装&研ぎ出し」を解説【達人のプラモ術<ポルシェ935マルティーニ>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
グランプリコレクション
1/20 ポルシェ935マルティーニ
04/05

前回、マルティーニカラーのデカールを貼ったことで、ボディ製作のモチベーションが一気にアゲアゲになりましたね! しかし焦らずデカールをしっかりと乾燥させるために最低3日はそのままおきましょう←これ大事。さて今回はボディのクリアー塗装と研ぎ出し。そしてインテリアの制作を進めていきましょう!(全5回の4回目/1回目2回目3回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
でもレビューを配信中。

 

■缶スプレーでクリアー塗装

デカールを乾燥(3日間)させたのち、クリアーよるオーバーコート(※1)をおこないます。使用したのはタミヤ缶スプレー「TS-13クリアー(ラッカー系)」です。塗装面へのホコリの付着に注意しながら進めていきます。

▲今回使用したのはタミヤスプレー「TS-13 クリアー」(770円)

缶スプレー塗装で失敗しないコツは、一度で塗ろうとしないことです。イッキに吹きつけてしまうと、塗料がボディの表面でタレたり泡ができてしまうといったトラブルの原因になります。

塗装面からの距離は、よく30センチ離してと言われていますが、クリアーのオーバーコート塗装では30センチはちょっと離し過ぎだと思います。個人的には15センチくらいの距離がベストだと考えています。

30センチ離すならば缶を動かすスピードはゆっくり、15センチならばシュッシュッといった感じで吹きつけていく感じが良いでしょう。

▲缶スプレー塗装は15センチ前後の距離でボディん全体に均一にクリアーを塗装→乾燥→塗装と数回繰り返し吹き付けていく。イッキに厚吹きするのはタレたりムラの原因になるのでNGだ

(※1)クリアー塗装をトップコート塗装と表記していることが多いのですが、トップコートは水性クリアー缶スプレーの商品名(GSIクレオス)なので、ここではオーバーコート塗装と表記しています。

 

■まずは砂吹き(粗吹き)

吹き付けは、ちょっと缶の距離を離して、まずボディ全体にクリアーを乗せる感じで吹きつけていきます(1~2回)。これを砂吹きとか粗吹きと言います。あえてザラっとした下地を作っておくことで、この後におこなう本塗装の塗料がしっかりと食いついて塗料がタレにくくなるワケです。

砂吹きを乾燥させたら、いよいよクリアー塗装の本番です、肩の力を抜いて参りましょう。クリアーは15センチくらいの距離でリズミカルに、塗装面が濡れてテカって見えるようにボディ全体に一気にクリアーを吹き付けていきます。素早く吹き付けることで塗装面の塗料の粒子が均一に馴染んで均一な塗装面となるんですね。吹き付け→乾燥(1時間程度)で3回塗り重ねていきます。

もしザラついているとしたら、吹き付けの距離を離しすぎている、あるいは、吹き付けの際に塗料の飛沫が塗装済みの塗装面にとんでしまっているのが原因です。

▲缶を30センチほど離して塗料を乗せる感じで吹き付けた、クリアーの本塗装の下地となる砂吹きをしたボディ。この状態で30分ほど乾燥させる

▲砂吹き2回の後、本塗装を行う。15センチ程度の距離でクリアーをボディ全体に均一に吹き付ける(表面が濡れたような感じになるように)。今回は後の作業となる砥ぎ出しを考量して、塗装→乾燥(30分程度)を3回繰り返して、クリアーをやや厚めに仕上げている

文字だとなかなかイメージしにくいですよね、以下の動画で私が缶スプレー塗装のコツを紹介していますのでそちらを見てもらうと、塗装の距離や缶を動かすスピードがイメージしやすいと思います。

 

■クリアー塗装は乾燥が大事!

クリアー塗装が完了したら、しっかりと乾燥させます。今回クリアーは砥ぎ出しを考量して厚塗りに仕上げているので、常温ならば最低でも3日(可能ならば1週間)は乾燥させる必要があります。作例は乾燥器(内部が40~45度になる)を使い24時間乾燥させています。

▲プラモデル用乾燥器…実は食器乾燥器

山善
「食器乾燥器」(9480円)
サイズ:幅41cm×奥行40.5×高さ34.5cm

以前はプラモデル専用の乾燥機(ドライブース)が発売されていましたが、現在は廃版となっており、モデラーに人気が高いのが家電メーカーの山善から発売されている食器乾燥器。サイズが手ごろなのと内部の温度があまり高くならないのでプラモデルの乾燥に最適と口コミで人気が出た乾燥器です。

 

■砥ぎ出しで光沢アップ!

クリアー塗装が完全に乾燥したら、そのままでも光沢はありますが、さらに光沢仕上げとするため、砥ぎ出し作業を行いましょう。

▼砥ぎ出しとは?

クリアー塗膜の上から研磨ペーパー(今回はスポンジ)とコンパウンドを使って、クリアー層の表面の微細な凹凸を削り塗膜を均一に仕上げること。同時にデカールの段差もなくなるのでボディ表面の光の反射が均一になってキレイな鏡面に仕上げられます。

今回は研磨スポンジを使い1000番→1500番→2000番の順番で水研ぎ、さらにコンパウンドの粗目→細目→極細→セラミックコンパウンドで砥ぎ出して仕上げています。

▲研磨スポンジ(1000番→1500番→2000番の順)でクリアーの表面を水研ぎすることで塗装面の微細な凹凸とデカールの段差を均一に均していく。パーツの凸部分は研磨することで下地が出やすいので注意しながら水砥ぎ出していく

▲研磨スポンジでの研ぎ出しが完了した状態。研磨によりクリアー塗装面のツヤが消えているが、ここからコンパウンドを使ってさらに研磨、鏡面仕上げを目指していく

▲コンパウンドは粗目→細目→仕上げ用の順番で使いボディを砥ぎ出していく。研磨時に生じるコンパウンドのカスは研磨後にぬるま湯で洗い落す

▲仕上げにはセラミックコンパウンド研磨用クロスを使いでさらに砥ぎ出して塗装面を鏡面に仕上げていく

▲ボディの研ぎ出しが完了

▲ハセガワ「セラミック コンパウンド」(1320円)。塗装面の仕上げ磨きに使用するセラミック超微粒子を含む研磨剤。光沢塗装や透明プラスチックの仕上げに最適

▲研ぎ出しのあと、ウインドウのウエザーストリップ部分の黒をセミグロスブラックで再塗装

▲フロントボンネットのキャッチピン部分にはハセガワ製フィニッシュシート(チタンフニッシュ)を貼ることで金属感を強調してみた

 

■インテリアの製作

1/20スケールということもあり、インテリアはロールバーなど、それなりに雰囲気良く再現されています。ただしシートは、ドライバーフィギュアを乗せることが前提になっているので、シートベルトが付属していません。市販のディテールアップ用シートベルトを追加しても良いでしょう。また今回メーターパネルは紫外線硬化クリアーを使ってメーターガラスを再現してみました。

▲組み上げたインテリアに前回完成させたエンジンも組み込んでシャシーを完成させた状態

▲メーターはデカールで再現されているが、さらに紫外線で硬化するUVレジンを使いメーターガラスを追加再現して雰囲気アップ

▲「UVレジン星の雫」(660円 ※UVライトは別売)。UV-LEDライトを照射することで1~2秒で硬化する1液性クリアーレジン。硬化後高い透明度が得られる。太陽光でも硬化可能

 

■次回完成!ポルシェ935マルティーニ

ボディの研ぎ出しとシャシーが組みあがり、いよいよ完成が見えてきました。イメージも良く、エンジンやコクピットなども、とても46年前のプラモデルとは思えないか完成度の高さです。次回の完成をお楽しみに!

▲今回完成したボディとシャシー(エンジンとコクピット)を組み合わせた状態。

▲リアウイングはまだ仮組みの状態

▲走行モデルではモーターと電池にギアボックスが収まるため、左側の寂しいなんちゃってエンジンだった。フルディスプレイになった今回は、リアウイングを外すことでリアルなフラット6エンジンが鑑賞できる

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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