迷える人は知っておきたい「iPhone 15」に機種変するメリットとは?
&GP / 2023年9月13日 22時0分
迷える人は知っておきたい「iPhone 15」に機種変するメリットとは?
Appleが「iPhone 15」シリーズを発表しました。噂通りUSB Type-Cが採用されたこともあり、ついコネクタ周りの仕様に視線がいきがちですが、実はディスプレイやカメラなどにも重要なアップデートがありました。
本稿では、数年ぶりにiPhoneの機種変更を考えている人に向けて、従来モデルとの差を踏まえながら「iPhone 15」の特徴についてチェックできるように、情報を整理しました。
■Dynamic Islandの新搭載と、直射日光下での視認性改善
まず、iPhone 15/15 Plusのディスプレイについては、上部のノッチが無くなり、Dynamic Islandが採用されました。これは、横長のパンチホール型のインカメラに、UIが連動して表示されるというデザイン。iPhone 14シリーズでは、上位の「iPhone 14 Pro/Pro Max」にのみ搭載されていましたが、iPhone 15ではスタンダードモデルにも同仕様が降りてきました。
▲Dynamic Islandを新搭載
Dynamic Islandは特に必須の機能というわけではありませんが、新しい体験に興味がある人にとっては、買い換えのモチベーションに繋がるかもしれません。
また、ディスプレイの輝度も向上しています。iPhone 15/15 Plusでは、標準時の最大輝度が1000ニト、ピーク輝度がHDRコンテンツ視聴時で1600ニト、屋外で2000ニトまで上がりました。これは上位のProシリーズと同等です。一方で、Proシリーズとの差としては、常時表示や120Hz駆動に対応していないことが残っています。
特に、iPhone 11や12を使っている人は、標準輝度が最大でも625ニトしかありません。屋外の直射日光下では画面表示が見づらい状況に陥りがちです。iPhone 15に機種変更すると、屋外の最大輝度が一気に3倍以上の2000ニトまで上がるため、視認性は大きく改善されることが期待できます。ちなみに、iPhone 13〜14でも標準時の最大輝度は800ニトですので、iPhone 15に機種変更すると屋外での最大輝度が2.5倍になります。
▲「iPhone 11」から「iPhone 15」までのディスプレイに関する主な仕様を比較。表組は筆者作成
■望遠カメラはないままだが、綺麗な2倍ズームができるように
続いて、背面カメラについて。
iPhoneシリーズのスタンダードモデルでは、メインカメラ+超広角カメラのデュアルカメラシステムが長く採用されてきました。iPhone 15でもこの構成は変わりません。
一方で、メインカメラの解像度が、従来の12MP(1200万画素)から48MP(4800万画素)へと4倍にUPしたのは大きなトピックです。これにより、48MPや24MPといった高解像度での静止画撮影が可能になりました。
▲背面カメラは、メイン+超広角のデュアルカメラシステムを継続。ただし、メインカメラが48MPになったことで、2倍ズームしても12MP相当で綺麗に撮れる
また、単純に2倍のデジタルズームをしても、1/4の画素数の1200万画素相当で撮影できることも見逃せません。カメラアプリ上のUIでも、「2倍」のズームが選択できるようになっており、物理的な望遠カメラこそ備えないものの、ユーザーの体験としては、劣化の少ない2倍ズームが可能になったような感覚になるでしょう。iPhone 11〜13のユーザーならば、これだけでも機種変更のモチベーションになるかもしれません。
また、2倍の望遠カメラを備えていた従来の「iPhone 11 Pro」や「iPhone 12 Pro」あたりを使っていた人にとっても、「iPhone 15」ならスタンダードモデルにしてもさほど困らないはずです。価格が高騰している昨今、選択肢が広がるのは嬉しいポイントだと言えます。
▲「iPhone 11」から「iPhone 15」までのカメラ周りの主な仕様表記を比較。表組は筆者作成
ちなみに、撮影関連機能としては、ポートレートモードを選択せずに撮った写真にも、深度情報が記録されて、撮影後にポートレートモードを適用できるようになることに注目です。また、「スマートHDR」のナンバリングも2年ぶりに変わって「スマートHDR 5」になりました。ただし、スマートHDRについては、Apple Eventでの解説や、プレスリリース上の説明では、従来世代から具体的にどのくらいの改良が施されているのかは分かりませんでした。
■USB-Cへの変更と、世代によってはバッテリー持ちもUP
そして、iPhone 15では、Lightningコネクタではなく、USB-C(USB Type-C)が採用されました。この変化自体については、技術が進歩したというよりは、EUでの法規制によって、スマートフォンを含むポータブル電子デバイスが、USB Type-Cを備えないと将来的にEUで販売できなってしまうという国際情勢が大きく影響しています。
▲コネクタがUSB-C(USB 2)に変わった。ちなみにAirPods Pro(第2世代)もUSB-C搭載へ
なお、「USB Type-C」はコネクタの形状を表す規格名称ですので、対応するデータ転送速度などは、製品によって異なる点に注意が必要。iPhone 15/15 Plusと、iPhone 15 Pro/Pro Maxでも、データ転送速度が大きく異なります。
「iPhone 15」は、データ転送の仕様は「USB 2」(※おそらくUSB 2.0のこと)で、最大480Mbpsまでしか対応しません(有線接続で外部機器に映像を出力するための規格である「DisplayPort」はサポート)。この数値は、従来のLightningコネクタのそれと変わっていません。そのため、USB Type-Cに変わったからといって外部機器とのデータ転送速度が速くなったわけではない点に注意が必要です。
なお、こうした状況は、iPhone 15シリーズでは、USB-Cポートの搭載を考慮していない世代である「A16 Bionic」チップが搭載されていることが影響していると思われます。
一方、上位のiPhone 15 Proシリーズでは、新世代の「A17 Pro」チップを搭載しており、データ転送の規格も「USB 3」(※おそらくUSB 3.0 Gen2のこと)をサポート。最大転送速度は10Gbpsをサポートしています。
もし、撮影機器としてiPhoneをフル活用し、AirDropではなく、有線接続でデータをMacなどへ出力したいような人ならば、この点を踏まえて「iPhone 15 Pro」シリーズを選んだ方がいいでしょう。あるいは、来年のスタンダードモデルがUSB 3をサポートすることを願って、1世代見送るのも英断かもしれません。
▲「iPhone 11」から「iPhone 15」までのバッテリー周りの仕様を比較。表組は筆者作成
なお、バッテリー持ちについては、iPhone 14から15への変化はさほどありません。しかし、iPhone 11や12から久しぶりに機種変更をする場合には、バッテリー持ちの最大時間が数時間伸びます。コネクタ形状よりも、ユーザーにとってのメリットが大きいポイントかもしれません。
* * *
一見しただけでは、「iPhone 15/15 Plus」には地味なアップデートが多いようにも思えるかもしれません。しかし、ユーザー視点では、「屋外でも画面が見えやすく」「インカメラ周りのUIが変更」「望遠2倍撮影が可能」「ポートレートモード切り替えの面倒がなくなる」「コネクタがUSB-Cに」など、体験が改善される部分は案外多くありそうです。
ちなみに、iPhone 15/15 Plusはエッジの加工が変わり、背面素材にも新たに「カラーインフューズドガラス」が採用されました。これは直訳すると「色を注入したガラス」といったイメージ。金属イオンを素材に混ぜ込んで、彩度を正確に制御する手法が取られているようです。画像を見る限り、淡めの色合いが新鮮で、カラーバリエーションを選ぶのが楽しくなりそうですね。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X(旧Twitter)
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