「XSR」シリーズの末弟が登場し、出揃ったヤマハの125ccシリーズが期待される理由
&GP / 2023年12月3日 7時0分
![「XSR」シリーズの末弟が登場し、出揃ったヤマハの125ccシリーズが期待される理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_572286_0-small.jpg)
「XSR」シリーズの末弟が登場し、出揃ったヤマハの125ccシリーズが期待される理由
近年のバイク人気を下支えしてきたのは、125cc以下の原付二種クラスの好調な売れ行きですが、そのクラスに期待の新モデルが登場しています。
ヤマハは先日、「XSR125」を発売しました。相次いで国内導入された「YZF-R125」「MT-125」と合わせて、ヤマハの同クラスラインナップが揃ったかたち。これらのモデルが期待される理由と、同社の狙いを読み解きます。
■若いエントリーライダーに人気が出そう
これら3車種が国内お披露目されたのは、今年春のモーターサイクルショー。多くの注目を集めました。125ccクラスは維持費がリーズナブルで魅力的なモデルも増えていることから、近年堅調な売上の伸びを記録しています。ただ、ヤマハはこのクラスにスクーターしかラインナップしていなかったため、他ブランドに比べてやや遅れを取っている印象がありました。
▲「YZF-R125」
▲「MT-125」
そこに投入されたのが、冒頭の3車種。原付二種クラスながら同社のスーパースポーツ「YZF-R」シリーズの血統に属する本格的なスペックの「YZF-R125」、ストリートファイター的なルックスの「MT-125」、今回リリースされた「XSR125」はエンジンやフレームなどの基本設計は共有しているものの、それぞれ異なる個性を与えられています。
▲「XSR125」
「XSR」シリーズは、レトロさを感じさせるルックスと、最新技術を融合させた“ネオレトロ”と呼ばれる系統。同シリーズには「XSR900」「XSR700」がありますが、手の出しやすいクラスのモデルが登場したことで人気がさらに高まりそうです。
ヤマハが、前述の3車種の最後に「XSR125」を発表したのは、期待の大きさの現れでもあります。「XSR」シリーズは、ほかの車種と比べても若い世代のライダーに選ばれているとのことで、敷居の低い原付二種クラスの登場で若いエントリーライダーの入り口となることが期待されます。
そして、筆者のような中年ライダーから見ても「XSR125」は魅力的に映ります。オーセンティックなティアドロップ形状のタンクに丸目ライトの組み合わせは、同シリーズの中でも特にシンプル。タンクのシルエットはヤマハの名車に数えられる「RZ250」を思い起こさせるもので、カスタムのベースとしても面白そうです。
そのことはヤマハも意識しているようで、発表会の会場には純正アクセサリーでカスタマイズされた車体に加えて、アパレルブランド「フリークスストア」とコラボしたカスタムマシンも展示されていました。メッキ風仕上げのタンクやサイドカバーのほか、懐かしのルーカスタイプのテールランプなどを装着したルックスはかなり魅力的。ベテランライダーがセカンドバイクとして購入してカスタムするのも楽しそうです。
■ベテランライダーも満足できる完成度
3車種に共通するエンジンは、水冷単気筒のSOHC4バルブで15PS/10000rpmを発揮。このクラスとしてはパワフルで、VVAと呼ばれる可変バルブシステムも搭載しているため、あらゆる回転域での扱いやすさも両立しています。ECUのセッティングは「XSR125」専用のもの。シフトダウン時のリアタイヤのホッピングを防ぎ、クラッチ操作を軽くするアシスト&スリッパークラッチも採用し、スペックに不満はありません。
フレームは軽量高剛性なデルタボックスタイプで、スイングアームは軽量なアルミ製。フロントフォークは倒立式を採用するなど原付二種クラスであっても妥協のない作り込みが感じられます。
シートはクラシカルなタックロールタイプで、「XSR」シリーズの中でもクラシカルな水平基調のシルエットに貢献。シンプルな丸型のメーターや、アルミ素材のヘッドライトステーやサイドカバーなど細部の質感も高く、原付二種ながら所有する喜びも味わえそうです。
フルカウルをまとい、スーパースポーツイメージの強い「YZF-R125」や、押し出しの強いストリートファイターの「MT-125」と比べ、オーソドックスなバイクのシルエットを実現している「XSR125」。乗り味についても、独自の作り込みがされているとのことで3車種の個性が気になるところです。
近年、250cc以上のバイクは排出ガス規制等の対応もあり、以前に比べると価格が上昇傾向。そうした中、原付二種クラスは維持費の安さに加えて、小型二輪免許の取得にかかる期間が短縮されるなどの事情もあり、初心者ライダーの受け皿という役割も担うようになっています。このクラスに“本気度”の高いモデルを3車種も投入したことは、ヤマハがこうした層に本格的なマシンに乗ってもらいたいと考えていることの現れでしょう。
「XSR125」の価格は50万6000円(YZF-R125は51万7000円、MT-125は49万5000円)と、このクラスとしては高価ではありますが、それに見合った装備と品質を備えています。このマシンでバイクライフを始められるライダーは幸せだなと思える完成度でした。
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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