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「Hey Siri」や「OK,Google」はもう超えた!? スマホで「ChatGPT」や「Copilot」を活用してみる

&GP / 2024年1月21日 7時0分

「Hey Siri」や「OK,Google」はもう超えた!? スマホで「ChatGPT」や「Copilot」を活用してみる

「Hey Siri」や「OK,Google」はもう超えた!? スマホで「ChatGPT」や「Copilot」を活用してみる

2024年、デジタル業界最大のテーマはAI(人工知能)。「ChatGPTなら、昨年から触っているよ」という人も多いかもしれません。そんなAIも最近はスマホへの進出を進めています。

OpenAIによるChatGPTは昨年5月からiOSアプリ版が登場していて(Android版は7月)、11月には無償版のユーザーも含めて音声認識に対応。マイクロソフトが展開しているAI機能のCopilotも、昨年12月にアプリ版が登場。ちなみに、マイクロソフトのブラウザ「Edge」のアプリ版にもCopilotが一体化して利用可能で、こちらも音声認識に対応しています。

▲OpenAIのChatGPT、マイクロソフトのCopilotなどAIチャットのアプリ版も続々リリース

僕はChatGPTもCopilot(Edge)も大活用しているのですが、今回のテーマは「"Hey Siri"のSiriや"OK,Google"のGoogleアシスタントの代わりに、AIチャットを使えないか」ということ。今のChatGPT(有料版のGPT-4)やCopilot(中身はGPT-4、無料)の方が、音声アシスタントよりも賢く答えてくれますからね。

現時点ではスマホアプリ版のChatGPTもCopilotも、ウェイクワードには対応していません。でも、スマホは機種によっては自分で指定したアプリを端末のボタンから直接起動できるので、起動してしまえば、後は音声認識で質問を入力できます。

例えばiPhone 15 Pro/Pro Maxならアクションボタンから指定のアプリを起動可能。Androidスマホもショーカット登録ができる機種があります

これなら、外出先で“ちょっと検索したい”という時に、ワイヤレスイヤホンから音声で話しかけられ、より便利に使えるようになるのでは? 実際に検証してみました。

▲ワイヤレスイヤホンを付けて、スマホでボイスアシスタント風にAIチャットを活用してみました

 

■OpenAI純正のChatGPTとブラウザ「Edge」のCopilotでテスト

まずは利用するAIアプリの準備から。

今回、僕が利用するのは、OpenAI純正のChatGPTアプリと、ブラウザ「Edge」のアプリ版に搭載されているCopilotです。

▲ChatGPTは“Start voice conversation”でダイレクトに音声認識が可能

iPhone 15 Proのアクションボタンを利用する場合にはChatGPTは“Start voice conversation”(音声によるやり取りの開始)を直接呼び出せるので、呼び出し部分にはさほど不自由はなし。ただし、音声認識可能になるまでに2~3秒のラグがあります。

▲音声によるレスポンス中は画面表示なしになるのも残念

ChatGPTを使ってみて気になったところは、音声で話しかけてから反応まで30秒以上と遅い点。回答音声は外国人風日本語で返してくれますが、音声回答中に画面表示がない点も残念。スマホを手に持っていることも多いので、どうせなら文字情報も出してほしいですね。また時々、いきなり英語で答えだすことがあるので、日本語でお願いしますと頼みましょう。

▲Copilotはブラウザアプリ「Edge」の下のボタンから呼び出すのがモバイル利用向き

マイクロソフトのCopilotは、ふたつの使い方があります。アプリ版のCopilotはBluetoothで接続済みのワイヤレスイヤホンを無視して本体スピーカーで応答します。ブラウザ「Edge」内蔵のCopilotはワイヤレスイヤホンからの呼びかけで応答してくれるので、屋外利用では「Edge」のアプリ内Copilotを使う他ありませんね。

▲EdgeアプリからCopilotのボタンを押せば、後はCopilotの画面と同じ

Edgeで活用する際には、アプリを起動後、画面下のCopilotボタンを押して、さらに音声認識ボタンを押す操作が必要。ただ、スマホを手に持っていれば操作は難しくありません。音声認識開始も早く1秒以下ですね。レスポンスは10秒以上かかるので決して早くはありません。

今回は外出先で使うシチェーションなので、Siriで同じことを尋ねた結果も比べてみました。なお、レスポンスは“Hey Siri”で呼び出せるSiriがぶっちぎりで優秀です。

 

■3つの質問でテスト

まず、スマホで調べ物をしたい情報の代表格は、移動手段ですね。ChatGPTとCopilotに、外出先の池袋から東京駅への行き方を聞いてみました。

結果はこちら。

▼ChatGPTによる回答

 ▲出発地が分からないようで音声で答えて質問します

▼Copilotによる回答

▲いきなり東京駅の説明まで語りだすCopilot。ちょっと残念な回答です

…なんと、ここでいきなりAIの弱点が発覚。AIはスマホの位置情報を使えないので、ChatGPTもCopilot(Edge)も現在地がどこなのかを考慮して回答してくれません。もちろん、知識としてはAIも持っているので答えてくれるけど、地図連動もしないので徒歩の時間や時刻表連動も不可。

こうした用途では、いきなり検索して結果を出してくれるSiriやGoogleアシスタントが便利でした。

▼Siriによる回答

▲iOSの「マップ」アプリを利用してルートを表示してくれます

次に、個人的にAIを使いたいと思った用途が、“こまごまと文字入力をして検索するのも面倒な調べ物をしたい時”。

「ここの近くに美味しいラーメン屋さんはない?」と聞いてみました。場所を聞かれたら「池袋駅」と答えます。

結果はこちら。

▼ChatGPTによる回答

▲ちょっとラーメン通っぽいチョイスで教えてくれました

▼Copilotによる回答

▲Copilotは新宿も含めた広めのエリアで回答

ChatGPTは池袋に絞って回答してくれたのに対して、Copilotは池袋に限定しません。また、どちらも地図まで開いてくれない点は一緒。でも、どちらもリンクが貼られているので、お店に向かうことはできます。

ちなみにSiriに尋ねてみると、一瞬でマップアプリを開いて現在地周辺のラーメン屋をリストアップ。食べログ評価の高い店を推してきます。これは急いで店探しをしたい時には便利。

▼Siriによる回答

▲地図連動なので行きやすさはトップ

続いて、仕事でピンチのシチェーション。「次の予定に遅れそうなんだけど、どうしたらいい?」とChatGPTとCopilotにアドバイスを求めました。

結果はこちら。

▼ChatGPTによる回答

▲すぐに連絡を取るという常識的な回答です

▼Copilotによる回答

▲常識的な回答。ただ電話連絡を推奨なのでこちらの方がベターか

ChatGPTもCopilot的確なアドバイスを得られました。どちらかというとCopilotの方が良いアドバイスですが、これはCopilotは回答内容がBingで検索してヒットしたサイトへの依存度が高く、日本語でビジネスマナーを解説しているWebを元にしているからですね。

なお、Siriに同じ質問をするとカレンダー登録済みの次のスケジュールを表示…残念ながら役に立ちませんでした。

実際にスマホでAIチャットを試してみると、次のことがわかりました。

まず、スマホならではの、外出先で「今、この場所で知りたいこと」という検索は明確に苦手。これはChatGPTもにせよ、Copilotにせよ位置情報にアクセスできないことが原因です。SiriとGoogleアシスタントはこれらを完全にクリアしています。AppleもGoogleもスマホのOSに統合されていること、自社で地図アプリを持っていることが、想像以上の利便性でプラスに働いています。

▲これはGoogleアシスタントの回答。地図と連動して回答するのがとても便利

一方で、今回の3つの検証では良さが伝わらないかもしれませんが、AIチャットは「ちょっとした検索では調べにくいことを、深く調べて回答してくれる」能力に優れます。例えばラーメン屋さんの情報で、ここから「さっぱり系の味でおすすめはある?」のようなに無茶振りも出来る点が、AIに尋ねる面白さ。ただし、ハレーション(幻覚、嘘情報)の可能性もありますが。

▲ChatGPTにさっぱり系ラーメンをリクエスト。ちゃんと回答内容は変わります

それでも、スマホで自由に使えるにはあと一歩と考えてしまったのは事実。これは、Appleが開発中と噂されているAppleGPTや、Googleが試験運用中のBARD(Gemini)がスマホのGoogleアシスタントに統合されれば、クリアできる問題ですね。ChatGPTやCopilotが位置情報や地図にアクセスできるようになる、という解決策も考えられます。

現状ではフライング気味ではありますが、スマホにでChatGPTやCopilotを使って、AIを先取りするのはアリだと思いますよ!

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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