ツーリングライダー注目の250ccアドベンチャーバイク3台を乗り比べ
&GP / 2024年2月25日 7時0分
![ツーリングライダー注目の250ccアドベンチャーバイク3台を乗り比べ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_586734_0-small.jpg)
ツーリングライダー注目の250ccアドベンチャーバイク3台を乗り比べ
近年、世界的に人気を集めているのが“アドベンチャー”と呼ばれるカテゴリーのバイク。原型となっているのは長距離ラリーなどを走るマシンで、高速域で有効なフェアリングを装備し、道を選ばず走破できる足回りを与えられているのが特徴です。高速道路を快適に巡航でき、ちょっと荒れた道に出会っても問題なく走れることから、長距離を走るツーリングライダーには特に人気が高いカテゴリーになります。
そして最近は、その中でもオンロード走行に特化したものや、逆にオフロードでの走破性を高めたものなど、細分化が進行中。以前は大排気量車が中心でしたが、国内の道路事情では使いやすい250ccクラスのマシンも選択肢が増えています。
そこで、国内メーカー製の250ccアドベンチャーマシン3車種を乗り比べてみました。
■オフロード性能の高さが光るホンダ「CRF250RALLY」
フロント21インチ、リア18インチとオフロードマシン同様のタイヤを履き、ダートでの走破性が高いのがホンダの「CRF250RALLY」。それもそのはずで、ベースとなっているのはオフロード車の「CRF250L」で、さらにサスペンションストロークの長い「CRF250RALLY〈s〉」というモデルも用意されています。
その分、シート高は標準モデルで830mm、〈s〉で885mmと高くなっていますが、車重は153kgと軽量でサスペンションの沈み込み量も大きいので、少し慣れれば足付き性で苦労することはなさそうです。
エンジンは水冷単気筒のDOHCで24PSを発揮。オフロードで扱いやすく、それでいて高回転の伸びもあるユニットなので高速道路から、そこそこ荒れた林道まで走破できます。
同社のラリーマシンに似たフロントマスクなどのデザインもオフロード志向のライダーにはグッと来るもの。大型のウィンドスクリーンは高速走行時に効果が高く、透過部分が多くてオフロードでの路面視認性も高いので、文字通りあらゆるシーンに対応できるアドベンチャーマシンです。
価格は76万4500円。林道をメインで楽しみたいライダーは、このマシンがおすすめです。
■オンロードツーリングが快適なスズキ「Vストローム250」
スズキのアドベンチャーシリーズの250ccモデルとして支持を集めているのが「Vストローム250」。シリーズの特徴でもあるクチバシのようなデザインと丸目のライトを組み合わせ、愛嬌のあるフロントフェイスを作り出しています。ホイールサイズは前後とも17インチで、オンロードでの快適性を重視したモデルです。
上記「CRF250RALLY」とのキャラクターの違いはまたがった瞬間から明確で、シート高は800mmと低くハンドル幅も狭いため、オンロードモデルにアドベンチャーっぽいフェアリングなどを装備したような印象。エンジンも水冷の2気筒でスムーズに回る感覚が楽しいユニットです。最高出力は24PSと同等ですが、単気筒と比べると回して気持ちいいエンジンといえます。
低回転域のトルクも十分で、街中でも扱いやすいのですが、魅力が光るのはやはり高速域での伸び。高回転域まで回した際のエキゾーストノートは今回乗った3車種の中で一番美しく、ついつい上まで回して乗りたくなってしまいました。足回りもオンロード向けなので、舗装路中心のツーリングに使用したい人に向いています。価格は64万6800円です。
■オンもオフも行けるスズキ「Vストローム250SX」
同じく「Vストローム」シリーズに昨年追加されたのが「Vストローム250SX」です。フロント19インチ、リア17インチのホイールを採用し、ここまで紹介した2車種のちょうど中間的な位置付けとなっています。シリーズに共通するクチバシを思わせるデザインは、より精悍さを増していてハンドル幅もオフロードマシンに近いものです。
エンジンは同社の「ジクサー250」などにも採用される油冷のSOHC単気筒。最高出力は3車の中で最もパワフルな26PSを発揮し、低回転域から高回転までフラットなトルクを発揮する非常に扱いやすいエンジンです。軽量・コンパクトなユニットで164kgという車体の軽さにも貢献しています。
またがってみた感覚は、ハンドル幅もあってオフロード車に近いという印象。シート高は835mmと高めですが、車体がスリムなので足付き性は身長175cmの筆者の場合、気になりませんでした。
街乗りから高速道路、オフロードまで走りましたが、どのシーンでも扱いやすい万能マシンといえる完成度。ただ、全域でフラットトルクを発生するエンジンは、逆にいうとやや盛り上がりに欠けるといえるかもしれません。
価格は56万9800円と最も買いやすいもの。その分、コックピットの細部などに仕上げの粗さを感じる箇所もありましたが、この価格は間違いなく魅力的です。
* * *
3車種を乗り比べてみて、250ccクラスの同カテゴリーでも、それぞれに個性があることが感じられました。車検もなく、街中でも扱いやすいサイズ感なので毎日の通勤などにも使用でき、週末はツーリングに連れ出すような使い方がピッタリ来るカテゴリーです。
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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