中免で乗れて70万円台のトライアンフ「スクランブラー400X」の実力に感服
&GP / 2024年5月5日 7時0分
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中免で乗れて70万円台のトライアンフ「スクランブラー400X」の実力に感服
今年1月に発売され、中免(普通二輪免許)で乗れることとリーズナブルな価格で注目されているのがトライアンフの「スピード400」と「スクンランブラー400X」です。「スピード400」は以前にインプレッションをお届けしましたが、今回は「スクランブラー400X」に試乗することができました。
スクランブラーとは、まだオフロード専用のモデルがなかった時代に、ロードマシンをベースにオフロード向けのタイヤやハンドルなどのパーツをアッセンブルし、未舗装路での走破性を上げたモデルのこと。近年は、そのレトロなスタイルに人気が高まっており、トライアンフもスクランブラースタイルのマシンに力を入れているブランドのひとつです。だからこそ、この「スクランブラー400X」にも期待が高まります。
■兄弟モデルとの作り分けにも注目
搭載されるエンジンは「スピード400」と同様の水冷の単気筒。シリンダーには空冷風のフィンが刻まれ、レトロな雰囲気を高めています。空冷のような見た目ですが、最高出力は40PS。近年増えている、ホンダ「GB350」などの空冷単気筒モデルと比べると、かなり高いパフォーマンスを発揮しています。
そのパワフルさは「スピード400」に試乗した際にも感じましたが、低中回転域から豊かなトルクがあり、400ccクラスにしては俊敏なダッシュ力を誇ります。マフラーは2本出しの排気口とされており、この点が「スピード400」との違い。パルス感のある排気音で、聞いているだけで気分が盛り上がります。
ホイールは「スピード400」が前後17インチだったのに対して、「スクランブラー400X」はフロントが19インチとなっていて、タイヤも溝の深いタイプとされるなど未舗装路での走行に対応。サスペンションは、43mm径の倒立フロントフォークなどは共通ですが、ストロークが前後とも150mmに伸ばされていて、見た目だけのスクランブラースタイルではないことが感じられます。
レトロな雰囲気の、ティアドロップ型ガソリンタンクや丸目のヘッドライトなどは2モデルに共通するイメージですが、ライトに金網のようなガードが設けられているのがスクランブラーっぽいポイント。シートも「スクランブラー400X」の方は前後分割式となっていてクラシカルなイメージを高めています。
■スクランブラーらしいハンドリングに作り込まれている
実際にまたがってみても、ハンドルが900mmを超える幅広のものが付いていることもあり、「スピード400」とはだいぶ異なる感覚。ナックルガードが装備されていたり、トライアンフのロゴが入ったパッドが装着されているのもオフロード車っぽく、気分が盛り上がります。
サスペンションストロークが伸ばされていることもあり、835mmと高めですが車体がスリムで軽量なので、片足で支えるのにはあまり気を遣うことはありませんでした。前後分割式でタックロールタイプとなっているシートはクッション性が良く、座り心地は上々です。
トルクがあってパワフルなエンジンの印象は「スピード400」と同様ですが、着座位置が高く、ハンドルもアップライトなので先の見通しが良く、余裕を持ってライディングできる感じ。サスペンションストロークが長めなこともあり、ハンドリングも少し高い位置から倒れ込んでいくイメージです。なんとなくですが、乗っている感じは昨今流行りのアドベンチャーマシンに近い感覚でした。
フロントタイヤが大径で細身になっていることでハンドリングは軽快ですが、段差などを超えても安定感が高い。ちょっとした未舗装路にも踏み入れてみましたが、特に不安なく走れました。路面のグリップを感じやすく、よく効きながらもコントロール性がいいブレーキのおかげもありそうです。
「スピード400」と共通する部分の多い「スクランブラー400X」ですが、ハンドリングや走破性はきちんとスクランブラー的に作り込まれている印象。このスタイルが好きで、街乗りを中心に使うのもありですが、アドベンチャーマシンっぽさを活かしてツーリングに出かけ、その先で出会ったちょっとした未舗装路にもチャレンジしてみる。そんな使い方が一番似合いそうなマシンでした。ちなみに価格は78万9000円。中免で乗れてこの価格となると、俄然興味が湧いてきませんか?
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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