ヘレとしては60年ぶりの新設計!アウトドアシェフナイフ「デーラ」のマルチさに感動
&GP / 2024年5月25日 19時0分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goodspress/goodspress_604735_0-small.jpg)
ヘレとしては60年ぶりの新設計!アウトドアシェフナイフ「デーラ」のマルチさに感動
【アウトドア銘品図鑑】
ノルウェーで90年以上もの間、熟練の職人が手がけるナイフブランド、ヘレナイフ。
刃物であるからには切れ味がいいのは当たり前。ヘレナイフでは創業時より「使い心地がよく、見た目も美しい、確かな道具を作る」という哲学のもと、自然をイメージする美しさが盛り込まれ、ユーザーのもとで“品格あるエイジング”を楽しめるようデザインされているんです。
日本でもその美しさと品質の高さでアウトドア好きを魅了していましたが、芸能界きってのキャンプ好き、ヒロシさんがヘレナイフの「ディディ ガルガル」を愛用していることでより広くその名が知れ渡ったのはご存じの通り。
機械による大量生産ではないのでどれもそれなりの値段ですが、決して高嶺の花ってほどではなく「いつかはヘレ!」なんて思わせるブランドです。
そんなヘレナイフが昨年末、新しいプロダクトを発売しました。それが「デーラ」(2万7500円)。
なんとヘレナイフとしては60年ぶりに設計・製造されたアウトドアシェフナイフなんです。
“シェフナイフ”なんて気取って言ったところで結局包丁なんでしょ? と侮るなかれ。
料理が楽しく、キャンプでも自宅キッチンでもついつい手が伸びる包丁に仕上がっているんです。
■三徳包丁っぽいけれど厚みが違う
「デーラ」はノルウェーのシェフ、マルギット・デーラさんらと1年かけて共同開発したシェフナイフです。
ノルウェーの農場で生まれ育ち、伝統料理に詳しいデーラさんはジビエ料理も得意。自宅でストレスなく使え、アウトドアにも持っていきやすい絶妙な設計となっているんです。
▲ヘレナイフらしい円筒に入っている
「デーラ」はシースではなく、レザーのプロテクター付き。刃先にあててからベルトを留めるため、シースのようにサッと取り出す・仕舞うというのは苦手です。でも色気プンプン、誘ってきます。
「デーラ」の刃は、ハンドルに近いところは三徳包丁のように刃の身幅が厚く、まな板に触れやすくなっていますが、先端は牛刀のように尖っていて切っ先に向かって少し反っています。
そもそも三徳包丁は、肉・魚・野菜などいろいろな食材を1本でまかなうための万能さが身上。みじん切りや千切りが得意で、ちょっと硬い根菜だってバツッと切れます。
一方、欧米の包丁は刃が狭く先端が尖った牛刀が主流。切っ先をさすようにして包丁を入れるので固まり肉を切りやすいのが特徴です。
「デーラ」は三徳包丁と牛刀をミックスした刃を持つ、三徳包丁以上にマルチな働きをする包丁というわけ。
▲3mm厚の刃を持つ
三徳包丁ではなかなか見ない3mm厚のステンレス鋼を採用していて、カボチャみたいな硬い野菜だって無理なくカットできます。一方で切っ先は1mm程度まで薄くなっているので肉や魚を切るときは刺しやすい! このバランスが絶妙なんです。
▲アゴは尖っていて、ジャガイモの芽を取るのもお手の物
ちなみに鋼材はスウェーデンのアレイマ社のステンレススチール(12C27)。
12C27は研ぎやすくて刃持ちもいい鋼材と言われています。包丁にせよナイフにせよ“研ぐ”って結構気合いを入れる作業ですから、いい状態の切れ味が続くのは大歓迎。
▲完熟トマトもこのとおり、スパッと切れます
新品の包丁なんだから当然といえば当然なんですが、細胞の断面が見えるというんでしょうか、とにかく切り口がシャープ! みずみずしい果肉が閉じ込められているんです。これ、スゴイ。
▲写真じゃあわかりづらいんですが、テッカテカの鏡面仕上げになっています。これも美しい切り口に一役買っています
鏡面仕上げは見た目だけで言えば好き嫌いがわかれるところですが、刃の表面を滑らかに整えているので切ったそばから食材が離れていくんです。食材を傷めることがなく、おまけに料理人の立場でも包丁にへばりついた食材を剥がすというストレスが大幅に低減されるというわけ。
ただし、小さくても傷ができると目立っちゃうわけで。これを味として気にせず使うか、傷がつかないようにていねいに扱うかはユーザー次第。
■ハンドルはヘレらしいカーリーバーチ
ヘレナイフでは樹脂ではなく木のハンドルを採用していて、もっとも多いのがカーリーバーチという白樺の一種。ククサなんかにも使われているアレです。
「デーラ」のハンドルもカーリーバーチで、手に馴染むよう計算された曲線を描いています。
「デーラ」もそうなんですが、ヘレナイフでは1年以上かけて低温でゆっくり乾燥させた木をアマニオイルに浸し、これが乾燥してから組み立て、ハンドルを整えているそう。
一本一本の乾燥具合が違うし、とにかく手間も時間も掛かります。
けれども、だからこそ似た模様のハンドルであっても表情がガラッと異なるのがヘレナイフのおもしろさ。もちろんそれを使いながら自分色に染めていくのも大きな楽しみと言えるでしょう。
▲フルタングなのも頼もしい
ハンドルは太目ですが角がなく滑らかな。出刃包丁ほどでの厚みはありませんが魚を骨ごとぶつ切りにもできるわけで、そんな時にグッと力を込めても手が痛くなりません。
「デーラ」は千切りやみじん切りから魚のぶつ切り、かたまり肉の切り分けなど1本でいろんな切り方ができ、何本もの包丁を用意しなくても無理なく調理できます。決してコンパクトではありませんが、これがアウトドア向きと言われるゆえん。
無論切れ味は抜群によく、とにかくいろんなモノを切って料理したくなるわけで、ふと“いつかデーラさんみたいにジビエにも挑戦してもいいかも”という野心が頭をよぎる。そんな不思議な魅力がある包丁です。
>> ヘレナイフ(UPI)
<取材・文/大森弘恵 撮影協力/アンプラージュインターナショナル >
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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