【トヨタ“86 KOUKI”試乗】話題沸騰の後期型。改良の恩恵は公道でも実感できる?
&GP / 2016年10月8日 19時0分
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【トヨタ“86 KOUKI”試乗】話題沸騰の後期型。改良の恩恵は公道でも実感できる?
マイナーチェンジがこれほど注目される車種も、珍しいのではないでしょうか?
トヨタ「86」が2012年の発売以来、初のビッグマイナーチェンジを果たしたことが、多くの話題を集めています。
■後期型の走りをさらに引き上げるザックス社製ダンパー
大きく変わったのは、まず空力パーツを中心とした外観デザイン。フロントノーズ先端が従来よりも下げられ、グリルの開口部は横に拡大。従来モデルよりもロー&ワイドなルックスになりました。
単に見た目が変わっただけでなく、フロントスポイラーにはフィン状の“カナード”が追加され、「GTリミテッド」グレードには新形状のウイング型リアスポイラーが標準装備されるなど、空力性能の向上が図られています。
エンジンがパワーアップしたことも、トピックのひとつ。インテーク&エキゾーストマニホールドなど吸排気系の改良によって、MTモデルでは7馬力の出力アップと、0.7kg-mのトルクアップを実現。低速域からのトルクアップを果たしています。
でも、前期型オーナーにとって最も気になるのは、ボディの剛性アップや足回りの変更による、走りの質感の進化、ではないでしょうか? 特に、リアピラー部のスポット溶接増し打ちなどによるボディ剛性の向上は、パーツ交換の効かない部分だけに気になるところでしょう。
もちろん、サーキットなどでのスポーツ走行であれば、こうした走りの進化は如実に効いてくる部分でしょうが、公道走行のレベルでも感じられるものなのでしょうか? 新旧86を乗り比べてみました。
で、結論からいうと、走りの進化は公道を、それも、あまりスピードを出さずに走っているレベルでも、十分に感じられます。
さすがに、タイヤが転がり始めてすぐに分かる、というほど劇的ではありませんが、ひとつ目の交差点を曲がると「あれっ?」と感じ、少しスピードが乗るコーナーを曲がると「うん、確かに違う!」と確信できるくらいのレベルで体感できます。
具体的には、前期型では複合コーナーなどで修正舵を当てる際に、やや神経質な部分があるように感じられたのが、“86KOUKI”では同じ場所を走っても、ステアリング操作に対する反応が落ち着いていて、神経質なフィーリングがなくなっています。
どんなコーナーでも、一発でハンドルの舵角を決められる上級ドライバーなら気にならないかもしれませんが、なかなかそうはいかない筆者の腕では、非常にありがたく感じました。
かといって、86の魅力であるハンドリングの軽快さが失われているかというと、そんなことは全くありませんのでご安心を。
また、コーナーリング時のロールの量自体は大きく変わりませんが、ロールしていく時のフィーリングが非常に落ち着いている印象。この辺りの変化が、サスペンションによるものなのか、あるいはボディの剛性アップによるものなのかは分かりませんが…。
オプションのザックス社製ショックアブソーバーを装着したクルマにも乗りましたが、こちらはロールする際のスピードがよりゆっくりと感じられました。結果、同じコーナーを同じ速度で曲がると、標準装着されるショーワ社製ショックアブソーバーのそれと比べて、ロールの量も減っているような感触。全体に落ち着いた動きになった“86KOUKI”の走行フィールを、さらに磨き上げたような印象になります。
そして、無駄なロールが抑えられた結果、低重心で路面に貼り付いたかのように感じる86の走行フィールを、より強く感じられるようになります。
それでいて、サスペンションを固めた時に感じる、ゴツゴツしたような乗り心地の悪化は皆無。ついつい、試乗コースを外れて遠回りしてしまったほど、ドライビングが楽しくなります。ザックス社製のショックアブソーバー、お勧めです!
足回りやボディの進化を、確実に感じられた“86KOUKI”の公道でのドライブ。低い速度域でも恩恵を十分に感じられたわけですから、スピードが高まれば、それはより顕著になるでしょう。スポーツ走行を楽しんでいる前期型オーナーにとっては、乗り続けるか買い換えるか、うれしくも悩ましい問題となりそうですね…。
<SPECIFICATIONS>
☆GTリミテッド(6MT)
ボディサイズ:L4240×W1775×H1320mm
車重:1240kg
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:6MT
最高出力:207馬力/7000回転
最大トルク:21.6kg-m/6400〜6800回転
価格:318万3840円
(文/増谷茂樹)
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