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福井・鯖江の小さなメガネ店に全国から客が殺到。その理由は最安「レンズ付き2本5000円」のメガネにあった

&GP / 2024年8月12日 19時0分

福井・鯖江の小さなメガネ店に全国から客が殺到。その理由は最安「レンズ付き2本5000円」のメガネにあった

福井・鯖江の小さなメガネ店に全国から客が殺到。その理由は最安「レンズ付き2本5000円」のメガネにあった

日本国内で流通するメガネの95%以上がこの地で作られているという福井県鯖江市。日本の技が光る高品質のメガネが多いことで知られ、メガネ好きの間で「SABAE」の冠は特別視されています。ただし、「SABAE」推しのメガネブランドのフレームはおおむね高額。庶民にはなかなか手が出にくいのも正直なところです。

▲日本国内で流通するメガネの95%を作る鯖江の入り口、JR鯖江駅

▲全国から鯖江に人々を引き寄せる小さなコンテナ店「SABAE・OPT アウトレット」

一方、福井県鯖江市に、週末ともなれば全国から客が大挙して訪れるメガネ店があります。それが「SABAE・OPT アウトレット」という小さなコンテナ店。

オール鯖江製のメガネばかりがラインナップされれていますが、注目すべきはその価格。安いものではレンズ付きで2本5千円と、JINSなどの格安メガネチェーンよりも安いこととなり、間違いなく「日本一安いメガネ店」がここ「SABAE・OPT アウトレット」ということになるでしょう。

筆者はこれまでに複数回、東京から「SABAE・OPT アウトレット」までメガネを買いに行っていますが、この手間・交通費などをもってしても、やっぱり安くて高品質。この夏もまた同店を目指してクルマを走らせました。

■高いメガネ・ブランドメガネでも「レンズ付き1本数千円〜1万円前後」

「SABAE・OPT アウトレット」は、もともと「SABAE・OPT」という3代続く地元の時計・宝石・メガネの小売店が成り立ちです。しかし、店主の荒谷直嗣さんは後述する理由から「採算度外視のメガネのアウトレット店をやろう」と一念発起。

友人などの協力を経て、10数年前に小さなコンテナ店「SABAE・OPT アウトレット」を立ち上げました。

筆者が再訪した際、すでにコンテナ店の前にはクルマがズラリ。さっそく店内に入ってみます。

▲あらかじめ告知された営業時間キッカリに訪れると、すでに複数のクルマが…

▲店内には無数のアウトレットメガネが陳列されています

「SABAE・OPT アウトレット」は「レンズ付き2本5000円」のほか、オシャレなフレームのものでも「レンズ付き1本数千円〜1万円」までをラインナップ。税別で、レンズの内容によっては価格が上がることもありますが、普段使いのメガネであれば、標準の「薄型球面レンズ」で十分でしょう。

▲陳列されたフレームには色のついたシールが貼られており、その色によって価格が異なる仕組み

フレームの在庫は時期によってどんどん変わり、行くタイミングによって掘り出し物に出会えるのも魅力です。また、トムフォード、レイバン、バーバリー、コーチといった一部ブランドメガネのアウトレット品も扱っており、これらは値段が上がりますが、それでも「レンズ付き1万円台前半~」と、市場よりは遥かに安い価格で販売されています。

▲以前「SABAE・OPTアウトレット」で作ってもらったレイバンのメガネ。このフレームは「レンズ付き1万2千円」でした

 

■手持ちのメガネや処方箋を持参すればOK

この安さから、店頭での検眼などは行なっていない一方、手持ちのメガネや処方箋を持参すれば、それと等しいレンズを作ってもらうことが可能。

店主の荒谷さんは「フレームの形状などによって、厳密には見え方が異なるため完全ではない」と言いますが、それでも筆者の経験上、作ってもらったレンズで何か不便があったことはなく、この安心感もまた「SABAE・OPT アウトレット」に多くの人が訪れる理由でもありそうです。

▲客がオーダーしたフレームに、次々とレンズをハメていくスタッフ

 

■今回オーダーした2本のメガネの総額「7500円」

▲今回オーダーした2本のメガネ。オーダー後、後日郵送で送ってもらいました

筆者は今回、2本のメガネをオーダーしました。

1本は「レンズ付き1本5000円」、もう1本は「レンズ付き2本5000円」。「レンズ付き2本5千円」のほうは、母の老眼鏡と折半して作ってもらったので、手持ちとしては2本のフレームになります。

レンズの在庫があり、お店が空いているときであれば、数十分でメガネが完成する仕組みですが、そうでない場合は後日郵送で送ってくれます(送料別途)。

筆者はオーダー後、東京まで送ってもらうことにしました。

▲「レンズ付き1本5000円」タイプ

▲「レンズ付き2本5000円」タイプ(1本は母の老眼鏡と折半したため写真にナシ)

「レンズ付き1本5000円」はグレーがかった透明の分厚目のプラスチックフレーム。オン・オフどんなシーンでも合いそうで普段使いにもってこいです。

「レンズ付き2本5000円」は携帯用の老眼鏡。出先で細かい字を見なければいけない際に気軽に使える軽いもので、「SABAE・OPT アウトレット」のド定番。こちらもまた、どんな顔カタチの人にもフィットする汎用性の高いフレームです。

 

■破格の安さで提供できる「鯖江ならでは」のとある理由

このように信じられないほどの安さを実現する「SABAE・OPT アウトレット」ですが、そもそも店主の荒谷さんが店を始めた理由は、メガネの町・鯖江ならではのとある事情があったと言います。

「鯖江でメガネ作りに関わる業者数は、『4人以上の事業者』では統計上250弱です。しかし、実際は1〜2人の業者が多く、統計よりも遥かに多くの人たちがメガネ作りの仕事をしていると思われます。

他方、メガネは、製造の注文が入ったとしてもオーダーの数だけを作るわけではなく、不良品やクレームを受けた際の対応分として数パーセント多めに作ります。また、メガネメーカーが、ファッションブランドに自社製品をプレゼンする場合、同じフレームで何色ものパターンを作る場合があります。そこで採用されなかった『色違い』は不必要となります。

こういった事情から、鯖江の大きなメガネメーカーの一例では『月のメガネ廃棄処分量が2万本』なんていうケースもありました。『これはもったいない』と、行き場を失ったメガネを安く譲ってもらいアウトレットとして販売する『SABAE・OPT アウトレット』を始めることにしました」(荒谷さん)

始めてからの数年間は、本来の店「SABAE・OPT」での営業との兼ね合いで月に数回程度の限定営業でした。しかし、口コミで「SABAE・OPT アウトレット」の安さが広がっていき、やがて全国からメガネを求めて多くの人がお店にやってくる事態に。それを受け、スタッフを補強し「不定期」としながらも週に4日ほどの営業を実施。毎月の営業日は公式サイトで告知されるようになりました。

ただし、「SABAE・OPT アウトレット」はJR鯖江駅から3.5kmほどの距離。クルマなどの自走でない場合、タクシーなどで訪れるのが現実的でしたが、今年オープンしたJR福井駅からほど近い「SABAE・OPT」福井駅口店の一部コーナーでも、期間限定でアウトレット商品をラインナップ。つまり電車旅の途中でも、アウトレットメガネを購入できるようになったというわけです。

▲今年オープンした「SABAE・OPT」福井駅口店。こちらでも期間限定でアウトレットメガネが販売されています

「メガネは生活用品・医療用具ですから、本来は生活圏内のメガネ屋さんで買っていただきたいです。なぜなら『何かの際にはすぐにメガネ屋さんで見てもらわないといけない』からです。

これらから言うと、メガネのアウトレット品は、必ず満足いただけるものをご提供できているわけではありません。遠方からお越しいただく方には特にこの点をどうかご理解いただいた上で、ご利用いただければ幸いです」(荒谷さん)

東京からたびたび「SABAE・OPT アウトレット」を訪れる筆者に「そんなにたくさんメガネを作ってどうするんですか」と笑う荒谷さんですが、今日もまた「鯖江ならでは」のフレームが入っているのではないかと思うとジッとしていられなくなります。北陸方面を旅行される方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。その価格・品質に驚くはずですよ。

>> SABAE・OPT アウトレット

<取材・文=松田義人(deco)>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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