【MINI クーパーSD試乗】検証!スポーティディーゼルの走りは本当に楽しいのか?
&GP / 2016年10月14日 11時0分
【MINI クーパーSD試乗】検証!スポーティディーゼルの走りは本当に楽しいのか?
ここ日本でもディーゼルエンジン搭載車のラインナップを強化し、好調なセールスを記録し続けているBMW。そんな同社が展開するMINIブランドも、ここへきて一気にディーゼル車を拡充してきました。
今回は、先にお届けした「クーパーD 5ドア」「クーパーD クラブマン」の試乗記に続き、「クーパーSD 3ドア」「クーパーSD クラブマン」のインプレッションをお届けします。
クーパーSDは、最もスポーティなガソリンモデル「クーパーS」に準じた立ち位置で、クーパーDと比べるとパワー、トルクともに増強。足回りなどもよりハードに仕立てられています。
とはいえ搭載されるのは、最新スペックといえどもディーゼルエンジン。果たして“S”のネーミングに恥じない熱い走りを楽しめるのでしょうか? 2台のクーパーSDを乗り比べながら検証します。
■アクセルを踏み込むと「ドーン!」と加速するクーパーSD 3ドア
SUV仕立ての「MINIクロスオーバー」、それをベースにした“シャコ高”クーペ「MINIペースマン」を除くスタンダード系MINIには、実は4種類のディーゼルターボエンジンが用意されています。
3ドア/5ドアのクーパーDに搭載される1.5リッター3気筒(116馬力/27.5kg-m)と、クーパーD クラブマンが積む2リッター4気筒(150馬力/33.7kg-m)というおとなしめ系。
そして、3ドア/5ドアのクーパーSD向けに強化された2リッター4気筒(170馬力/36.7kg-m)と、クーパーSD クラブマン用の2リッター4気筒(190馬力/40.8kg-m)のヤンチャ系です。
同じクーパーSDでも、3ドア/5ドアよりクラブマンの方がエンジンがさらに強力で、トランスミッションも3ドア/5ドアの6速ATに対し、クラブマンは8速ATがおごられます。これらは、クラブマンの方がボディがひと回り大きく、重量級であることを考慮しての差別化でしょう。事実、今回乗り比べた3ドアとクラブマンの間には、ちょうど200kgの重量差が存在します。
最初にドライブしたのは、クーパーSD 3ドア。アクセルペダルをグイッと踏み込むと「ドーン!」と力強く加速します。いやー、ビックリするほど速い…。
それもそのはず、2リッターのガソリン直噴ターボを積み、動力性能には定評のあるクーパーSが、静止状態から100km/hまで6.7秒で達するのに対し、クーパーSDは同7.2秒。またトップスピードも、クーパーSの233km/hに対し、同225km/hと、ほぼ互角なのです。
しかも、ガソリンターボより低い回転域から厚いトルクを発生するディーゼルターボの特性により、体感的な速さや加速の力強さは、クーパーS以上。それでいて、高回転域まで振動なく滑らかに吹け上がるので、かつてのディーゼルエンジンに付きものだった“回転の重さ”みたいなものは感じません。いやぁ、このエンジン、ホント感動モノです!
また、MINIといえば“ゴーカートフィーリング”と称される軽快なフットワークが特徴のひとつ。その点、2495mmという短いホイールベースと、オプションの“ジョン・クーパー・ワークス パッケージ”(29万5000円)に含まれる強化サスペンションの相乗効果で、クーパーSD 3ドアのフットワークは軽快そのもの。スペックから抱く期待を決して裏切りません。
ちなみに“ジョン・クーパー・ワークス パッケージ”を装着すると、ランフラット仕様ではないフツーのタイヤが装着されます。その効果か、今回の試乗車は「乗り心地が硬すぎる」と困ることはありませんでした。スポーティカーとはいえ、乗り心地が悪すぎるのは、ちょっと興ざめですからね。
そんな、ヤンチャな印象が強いクーパーSD 3ドアから乗り換えると、クーパーSD クラブマンは“大人のためのスポーティワゴン”といった感じ。
インテリアの仕立ては高級感あふれるもので、バーガンディ色のレザーシートは、MINIとは思えない落ち着いた雰囲気を醸し出しています。2015年のフルモデルチェンジで誕生した現行モデルは、リアシートやラゲッジスペースが従来より拡大されたこともあって、日常の使い勝手も上々です。
気になる走りも、クーパーSD 3ドアと比べると格段に大人っぽいですね。確かに、3ドア比プラス200kgという車重が20馬力分の余裕を相殺し、軽快感は希薄です。でも逆に、3ドアと比べて全幅が75mm広く、ホイールベースが175mm長いことから、フットワークは3ドアと比べると格段に安定志向。コーナーリングが楽しい3ドアに対し、高速道路をハイペースでクルージングするのが得意といった印象です。
もちろん、エンジンはやっぱり強力。ドーンと背中を蹴飛ばされるかのような加速は、一度味わうと病みつきになるほど。かつてのディーゼルエンジンの“悪癖”のひとつであった「ガラガラ」というノイズがちょっとだけ耳に届きますが、総じて見れば、ディーゼルエンジンの印象を一変させてくれる出来栄えです。
エンジンやサスペンションの設定を3段階に切り替えられる“MINIドライビングモード”で、快適な「MID」や「GREEN」を選んでも乗り心地はまだ幾分硬めですが、そこは「クーパーSDだから」と割り切って、思う存分、ドライブを満喫したいものです。
で、結論。MINIが搭載する最先端のハイパワー・クリーンディーゼルは、スポーティエンジンとして十分合格! ディーゼル車の普及が進む日本のマーケットでも、今後、経済的かつスポーティなパワーユニットとして人気を集めそうです。
<SPECIFICATIONS>
☆クーパーSD 3ドア
ボディサイズ:L3860×W1725×H1430mm
車重:1290kg
駆動方式:FF
エンジン:1995cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:170馬力/4000回転
最大トルク:36.7kg-m/1500〜2750回転
価格:364万円
<SPECIFICATIONS>
☆クーパーSD クラブマン
ボディサイズ:L4270×W1800×H1470mm
車重:1490kg
駆動方式:FF
エンジン:1995cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:190馬力/4000回転
最大トルク:40.8kg-m/1750〜2500回転
価格:404万円
(文・写真/&GP編集部)
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