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張り線を仕上げて次はお楽しみのデカール貼り…のはずが問題発生!【達人のプラモ術<ブリストル・ブルドッグMkⅡ>】

&GP / 2024年9月7日 7時0分

張り線を仕上げて次はお楽しみのデカール貼り…のはずが問題発生!【達人のプラモ術<ブリストル・ブルドッグMkⅡ>】

張り線を仕上げて次はお楽しみのデカール貼り…のはずが問題発生!【達人のプラモ術<ブリストル・ブルドッグMkⅡ>】

【達人のプラモ術】
エアフィックス
「1/48 ブリストル・ブルドッグMk.Ⅱ」

05/06

複葉機のキモである張り線を機体に取り付けたことで、ぐっと密度感がアップして、いい感じに完成が近づいてきたブリストル・ブルドッグ。しかしここにきていろいろとトラブル発生しました。いや一筋縄では完成させてはくれないようです。(全6回の5回目/1回目2回目3回目4回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■ピアノ線を使った張り線 その2

前回、ブルドッグの張り線は、極細0.2mmのピアノ線を使用して、張るのではなく部位に応じて必要な長さにカットしてはめ込んでいると書きました。これに関して「それぞれカットするピアノ線の長さはどうやって決めているのか?」といったご質問を頂きました。

金属線をカットしてはめ込みタイプの張り線の場合、デバイダーで翼間や支柱間の長さを確認して必要な長さにカットすると言われてもいますが、今回のブルドッグでは、長めにカットしたピアノ線を使用する部位に合わせて最適なサイズになるように、言うとこの現物合わせで都度長さを調整しながらカットしています。

さらに言えば、キット張り線の取り付け位置にはガイドの凹みがあるので、それをさらにピンバイスで穴を深くしており、そこにカットしたピアノ線をたわませて穴にはめ込んでいるため、実際の長さより0.3~0.5mm程度長くカットしています。

▲前回は主翼の前縁側の張り線を仕上げたので、続けて主翼の後縁側も同様にカットしたピアノ線をはめ込んでいく。同じ部位でも左右で微妙に必要な張り線の長さが異なる場合もあるので、確認しながら1本ずつ取り付けていく

▲翼間支柱上部から主翼付け根の張り線は、前縁側同様に2本のワイヤーが狭い間隔で並行して張られているので、見た目がちゃんと平行になるように注意して取り付ける

▲主翼の張り線が完了! 主翼左右合わせて12本、これに上翼と胴体中央部を繋ぐ支柱に短い張り線が4本あるので計18本。さらに脚柱間に2本で、合計20本取り付けている

 

■張り線にベストな素材とは?

また別の方からは、今回のような金属線をはめ込む張り線と、テグスやリギングを使った張り線はどちらがやりやすいのか? といったご質問を頂きました。

これは機体やスケールによってもやり方や使用素材も変わるので、一概に今回のピアノ線はめ込みがベストですよとは言えません。あくまでも個人的な経験値から、今回の1/48ブリストル・ブルドッグは極細ピアノ線をはめ込むやり方ベストではないかとオススメしている次第です。

テグス(釣り糸)を使った張り線は丸まりグセが強いので、ビギナーには扱いづらいかもしれません。少々高価なのが辛いのですが、メタルリギングやストレッチリギングは扱いやすいので愛用しているモデラーが多いのも事実です。

大事なことは、ひとつのやり方に固執するのではなく、いろいろな素材ややり方を試して、製作者が使いやすいアイテムを選べば良いのだと思います。

▲達人的には、扱い慣れているということもあるが、今回の1/48ブリストル・ブルドッグの張り線は極細0.2mmのピアノ線をはめ込むやり方がベストだと考えている

 

■さぁお楽しみのデカール貼り…のはずが問題発生!?

複葉機の難所(さっきはキモと言っていたような…)も無事完了したので、次の工程はといえば、みんな大好きデカール貼りです。

ブリストル・ブルドッグは大戦間の機体という事もあるんでしょう。RAF(イギリス空軍)の機体は模型映えする派手なマーキングが多いのが素敵です。

キットには3種類のマーキングのデカールが付属しています。今回の作例は、主翼上面と胴体側面に特徴的なギザギザが描かれたイギリス空軍第17航空隊をチョイスしました。

私の知る限りこんなギザギザを描いた機体はブリストル・ブルドッグだけなんですよね。何の意味があるかは不明です(理由をご存知の方いたらご一報ください)。このギザギザとスピンナーと主脚のホイルカバーの黄色が銀色の機体に映えてオシャレです。

▲キット付属のデカールは質、発色ともに良好。ただし薄いので切れやすいため扱いには気を使いたい

▲特徴的なギザギザマークが主翼と胴体に描かれているイギリス空軍第17航空隊所属のブリストル・ブルドッグ。イエローのスピンナーとホイルカバーは塗装で再現

 

■張り線が邪魔してデカールが貼れません!?

デカール貼りは、主翼上面の大判のラウンデル(国籍マーク)からスタート。ラウンデルはエルロン(動翼)部分にもかかっているので、切れ込みを入れてマークセッターで動翼の凹部分に馴染ませていきます。

そして胴体のラウンデルと例のギザギザを貼り込んで…いやなんか貼りにくい。主翼と胴体の間に張られた張り線が邪魔で指定の位置にデカールが非常に貼りにくいのです。

この時点で気付きました。張り線を張る前にデカールは貼っておくべきだったんじゃないかと…。胴体上面のアンチグレア塗装(ダークグリーンの部分)は上翼を取り付けたら塗れなくなるのを確認して先塗り。その時点で気づくべきでした。

それでも胴体側面のギザギザ模様はピンセットを駆使して何とか貼れたのですが、機体下面のコードレター(機体番号)のデカールを貼る位置を見て「あっこりゃイカンわ」と思わず口走っちゃいました。そう、機体番号が書かれた部分から主脚柱張り線が張られているんですね…。

というわけで、ここで訂正します。機体の塗装が完了したら張り線を張る前にデカールを貼ってください。

さてくだんの機体下面のコードレターですが、当初は主脚柱の張り線をいったん外して貼ることを考えたのですが、せっかくビシッと取り付け出来た張り線を外すのは忍びなく…。張り線の位置に合わせてデカールに切れ込みを入れて、指定の位置にじわじわすべり込ませるという、面倒な方法で何とか貼ることができました。

後から考えると張り線を外した方が間違いなく手間がなかったと思います(泣)。

 

■大判デカールを馴染ませるテクニック

大判のラウンデル(国籍マーク)は、貼る際に内側に空気が入ると気泡になってしまうので要注意。気泡は、濡らした綿棒を使いデカールの内側から外側に追い出していくと良いです。破けやすいので位置修正は水をたっぷりとつけて行いましょう。

また垂直尾翼の方向舵は別パーツ化され、英国旗の3色での塗り分けが全面デカールで再現されています。方向舵はリブの凹凸がモールドされているので、ここはマークセッターを使いしっかりとデカールをしっかりと密着させます。

▲動翼の凹部分(ピンセットが指し示している部分は、そのままでは乾燥後もデカールが浮いてしまい、不自然に見た目になってしまう)

▲アートナイフで動翼の凹に沿ってデカールに切れ込みを入れる。その際、アートナイフの刃は必ず新品を使用すること。切れ味の悪い刃だと、引っかかってデカールが破ける恐れがある

▲切れ込みを入れた部分はマークセッターを塗布して馴染ませる。マークセッターを使うとデカールが破けやすくなるので要注意。ドライヤーの温風の力で密着させると良い

▲特徴的なギザギザ模様は、長いこともあって思いのほか貼りにくい。台紙ごと貼る位置に持っていき、台紙からデカールをスライドさせて主翼上面にもっていくとスムーズに貼れる

▲別パーツ化されている垂直尾翼のラダー(方向舵)両面にに英国旗カラーと機体番号が記載されたデカールを貼る。マークセッターを使うことでリブの凹凸にもぴったりと密着させられる

▲ラダーにデカールを貼り込んでマークセッターで馴染ませた状態。デカールが柔らかくなっているので乾燥するまで触らないこと

▲デカールが乾燥後、ラダーを機体に接着。コーションマーク(注意書き)は小さいので、機体に取り付けた後に貼った方が良い

▲GSIクレオス「Mr.マークセッター模型用デカール軟化剤」(308円) デカールの表面に塗布することでベースフィルムを柔らかくし、パーツの凹凸や曲面にり密着させることができる軟化剤。粗い表面や曲面にも硬いデカールを馴染ませられる。水溶性なので、適宜水を加えることでも軟化の度合いを調節もできる

 

■張り線とデカールが干渉!

胴体側面のギザギザマークは張り線の内側になるため、非常に貼りにくくなってしまいました。はめ込み式の張り線はガイド穴にはめ込んで瞬間接着剤で固定していますが、それほど強度があるわけではないので、力を入れると外れてしまいます。そのため、極力張り線に触れないようにデカールを貼るハメに…。

▲胴体のギザギザデカールをなんとか貼って、さて次はと機体下面のコードレターを見てさらに弱る。デカールの番号40番のコードレターの一部(数字の8)を貼る位置が張り線の下になっているのだ

▲付属のデカールも、貼りやすさを考慮してか、コードレターの末尾の8が別となっている。そこで張り線と干渉する位置に切れ込みを入れて、デカールを張り線の間に滑り込ませするように貼り込んだ。破れやすいデカールなので、気を使いながらの作業となり、1枚貼るのに10分近くかかったが、何とか張り線の上からの貼り込みに成功

▲仕上がりはご覧のとおり。結果的にな張り線を一度外して貼り込んだ方が作業効率は良かったようだ

 

■デカールを乾燥させている間にプロペラを塗る!

さて苦労した甲斐もあってデカール貼りも何とか完了しました。

まぁ直後に機体を落として、垂直尾翼が外れ、主翼の張り線も3本外れてしまい、泣く泣く直すハメになったのはさておき、機体のデカールが乾燥するまで間にプロペラを塗装します。

ブリストル・ブルドッグのプロペラは木製で金属製のスピンナーが取り付けられています。インスト指定ではプロペラはダークアース(茶色)に塗装せよとなっており、実機の写真を見ても博物館の機体は確かにダークアース系のカラーで塗られているようです。しかしせっかくなので、模型映えするように、作例はWW-1大戦機の木製プロペラによく見られた木目が見えるものに仕上げました。

▲まずは指定どおりダークアース(Mr.カラー22番)で塗装。その後、ブレードにリアルタッチマーカーのブラウンを使いそれらしく木目を描きこんでいく。マーカーは水性なので、描きこみが不自然になってもやり直しできる

▲木目を描きこんだプロペラに薄めたクリアーオレンジ(Mr.カラー48番)を3~4回塗り重ねていく。これで磨きこまれた木製プロペラの雰囲気が再現できる。クリアーオレンジは重ねる回数が多いほど濃くなるので要注意

▲スピンナーは黄色(先端は無塗装のシルバー)なので、木目塗装をしたプロペラをマスキングして白で下地を塗装したのちイエローで仕上げている

▲塗装したプロペラを機体に取り付け。機体が明るい銀色なので木目調プロペラとスピンナーの黄色が良く映える

 

■残るは機体の艤装のみ! 次回完成ブリストル・ブルドッグ

いやー今回は、いろいろあって思いのほか製作に手こずりました(ちゃんと製作手順を組まない結果なので深く反省)。しかし張り線もバッチリ決まり、デカールによるマーキングも完了。木目仕上げにしたプロペラも気に入っています。

機体はほとんど完成したように見えますが、主翼上面の機銃や、排気管などがまだ取り付けられていません。しかしここまで組みあがるとぐっとモチベーションもアップしますよね。次回完成を目指します! 乞うご期待!

▲デカールを貼っている最中に機体を床に落として垂直尾翼が外れ、主翼の張り線が3本吹っ飛びました。3歩進んで2歩下がる(泣)

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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