船体の大まかな塗装が完了!海面はまだまだこれから【達人のプラモ術<ハーバータグボート>】
&GP / 2024年10月12日 7時0分
船体の大まかな塗装が完了!海面はまだまだこれから【達人のプラモ術<ハーバータグボート>】
【達人のプラモ術】
ドイツレベル
「1/108 ハーバータグボート」
03/06
唐突に秋がやってきましたよと言わんばかりに肌寒くなった今週はといえば、10月12日・13日の2日間「第62回 全日本模型ホビーショー 」が東京ビッグサイトで開催されます。会場では各メーカーからの話題の新製品の発表もあって“ホビーの秋全開!”といった感じです。
ホビーショーレポートはまたあらためてお送りさせていただくとして、第3回となるハーバータグボートの製作も、テンションMAXでイキますよ! 今回はタグボート本体の塗装と海面の製作を進めます。(全6回の3回目/1回目、2回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■スタイロフォームでベースを製作
ワンサイズ大きく変更した木箱(アンティークボックス)が届いたので、海面ベースの製作をスタートします。
変更後のサイズは幅24cm×長さ32cmとなり、タグボートと海面サイズのバランスが良くなりました。
このサイズに合わせて今回も、以前製作したUボート同様にスタイロフォームでベースを製作し、モデリングペーストを使って海面を作っていきます。スタイロフォームは切る、削る、接着といった加工がしやすいので、ジオラマの製作では定番の素材です。
アンティークボックスは内部の厚みが10cm近くあるので、30mm厚のスタイロフォームを3枚重ねることで海面の高さを調整しています。
▲新たに購入したひとまわり大きい木箱(アンティークボックス)。左が当初用意していた16cm×30cmサイズ
▲30mm厚のスタイロフォームを木箱の内寸に合わせてカットして使用。3枚重ねることで高さを調整。タグボートのキットはウォーターラインモデルではないため、船の位置を決めて船体をはめ込む位置を切り抜いておく必要がある。そのため、舵とスクリューのパーツは取り付けていない
▲3枚重ねのスタイロフォームの下2枚には、LED配線を通すための穴を開けおく
■LED配線を通す穴を忘れずに開けておく
今回、タグボートはLEDを使い船内の明かりを光らせています。電源は単3電池2本。電源として市販のスイッチ付き電池ボックスを木箱背面に取り付けています。また木箱とスタイロフォームには、配線を通すための穴を事前に開けておきます。
今回は完成後にスタイロフォームを外すことができないため、電源とLEDを繋ぐために延長した配線は、結線部分をハンダで補強して断線を防いでいます。
▲木箱の裏面に取り付けた電池ボックス(単3電池2本)。木箱に開ける配線を通す穴は直径10mmもあればOK
▲LEDの電源ケーブルは延長する必要がある。結線部分はハンダで補強して断線を防止
▲スタイロフォームを使った海面のベースができあがった状態でタグボートを仮置きしてみる。荒れた海で波を蹴立てて進むタグボートという想定なので、船首を持ち上げ、船尾が下がった状態になるように位置を調整している
■ケーキのデコレーションのごとく…
ジオラマの下地となる部分が完成したので、いよいよモデリングペーストを使い海の質感を再現していきます。
モデリングペーストは本来、アクリル絵の具の下地材として使用されるものです。ペースト状のメディウムは薄く延ばすこともできるし、今回のように厚く盛り上げて立体感のある表現にも使用できます。乾燥後はほとんど肉痩せがなく、ナイフや彫刻刀で削って形を変えることもできます。
今回使用しているのはホルベイン社の「モデリングペースト ライト」です。通常のものに比べてセラミックパウダーを多く含んでいるので、乾燥後の重さが約1/4と軽く仕上げられます。ジオラマの製作ではモデリングペーストをかなり大量に使用するので、詰め替え用(ちょっとお得)の900mlを購入しています。
このモデリングペーストをスタイロフォームの表面にペインティングナイフを使い塗り広げていきます。感覚的にはスポンジケーキに生クリームを塗っていく感じです。
またモデリングペーストは、一度厚塗りすると乾燥に時間がかかってしまうので、薄く何層も重ねていくのがコツ。塗り重ねることで海の波を表現していきます、今回はまず2層重ねて波の下地を作りました。
▲スタイロフォームの表面にチューブから歯磨き粉よろしくモデリングペーストを押し出した状態
▲盛り付けにペインティングナイフを使用すると、薄く塗り広げたり表面に凹凸をつけたりする際に重宝する。ステンレス製で先端の形状が違うものが各種あり、画材店で扱っている。価格は1000~1500円前後
▲モデリングペーストをペインティングナイフで塗り広げていく。この際、均一に塗り広げるのではなく、意識的に凹凸(波のイメージ)を付けていくのがコツ。ただし一度に盛り上げてもペースト自体が柔らかいためにすぐに崩れてしまう。塗布→乾燥→塗布を繰り返して盛り上げていく
▲船首側は波の流れを、船尾側はスクリューでかき回された海面の泡立ちを意識して、ペインティングナイフでモデリングペーストに凹凸を描いていく。この状態で半日ほど乾燥させる
▲今回のようなジオラマの制作ではモデリングペーストをかなり大量に使用するので詰め替え用の900mlを購入。ホルベイン「アクリリックメディウム モデリングペースト ライト 900ml」(3300円)
■船体の塗装
ジオラマの海面製作と並行して、船体の塗装も進めていきます。
本キットは発売時期で船体の塗装と船名が変わっており、現在購入できるキットは赤い船体で船名は「LUCKY XI」となっています。
作例の塗装はインストの指示通りに赤い船体で進めていますが、船室と操舵室は白に変えるなど一部アレンジしています。プラモデルなので船体の塗装は自由な発想で楽しみたいです。
船体の塗装は船底の赤から。今回は通常の赤に僅かに黒を加えた暗めの赤(軍艦の艦底色ほど暗くない赤)で塗装しています。
赤部分が乾燥した後、マスキングをして乾舷(喫水線から上甲板までの部分)の黒を塗装します。塗り分けラインは細い凸でモールドされていますが、船体を研磨サフ吹きしたことでモールドが消えてしまい、左右を均一に仕上げるのに苦労させられました。
そして船体の白いラインはマスキングして塗装してもいいのですが、シャープに仕上げたかったので、白のフィニッシュシートをカットしたものを貼ることで再現しています。
▲船底部分は調色した“やや暗めの赤”で塗装。船底中央の穴はLED配線を通すためのもの
▲赤で塗装した部分をマスキングし、船体の黒塗装。塗装は明るい色から暗い色の順番で重ねていくのが基本
▲船体の赤と黒の塗り分けが完了
▲船体の白ラインはシャープに仕上げたかったので、ハセガワ製フィニッシュシート白を3mm幅にカットして貼ることで再現。厚みも薄く曲面にもよく馴染む
▲メーカーの完成見本。箱絵とはだいぶ違うが、これはこれでアンティーク調の塗装に雰囲気があって良い感じ
■甲板は木の質感を強調
キットの塗装指示では甲板はグレーになっているのですが、木製甲板らしくモールドも追加しているので、ここは木の質感を意識して木製甲板色で塗装し、ブラウン系のスミ入れ塗料でウエザリング(汚し)を入れます。
また船室や操舵室も指定の赤ではなく、横須賀で見たタグボートを参考に白で塗装しています。煙突は指定の黒に赤ラインを入れる予定です。
塗装の際に苦労させられたのが甲板に取り付けるパーツで、形状的に甲板の塗装後に取り付けたのですが、これがまた全然合わない上に左右の合わせ目に盛大な段差が生じます。ここは、瞬間接着剤で甲板のラインに合わせて接着し、継ぎ目と段差を修正後に再度塗り直しをするハメになりました。
船室部分の手すりや配管、浮き輪などはほとんどモールド再現なので丁重に塗り分けておきます。塗装後に船体同様にブラウン系のスミ入れ塗料で軽くウエザリングを入れています。
▲甲板は木製甲板色で塗装。スミ入れ塗料でウエザリングを施すことで使い込んだ雰囲気を表現
▲今回いちばん苦労させられたのが甲板上に取り付けるこのパーツ。塗装して船体に接着後、合わせ目の修正をすることになり、二度塗りの手間がかかってしまった。古いキットなので文句は言えない
▲船体、船室と操舵室などの基本パーツの塗装が完了。甲板の通気筒なども取り付けていく
▲あえて白で塗装した操舵室と船体の色のバランスをみる。悪くはないが、色の配置を変えることも考慮中
▲モデリングペーストで製作中の海面に塗装した船体を仮置き。ここから船体に合わせて波を作っていく
ということで今回はここまで。次回も船体の製作とモデリングペーストを使った海面の製作を続けます。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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