【アテンザ試乗】マツダの新技術を“全部盛り”!進化を止めない旗艦モデル
&GP / 2016年10月21日 21時0分
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【アテンザ試乗】マツダの新技術を“全部盛り”!進化を止めない旗艦モデル
すでにオーナーになられている方には申し訳ない気もするのですが、マツダ「アテンザ」が新たな商品改良を受け、グッとよくなりました。
スポーティな出で立ちはそのままに、一方で、高級車然としたドライブフィールを手に入れたのです!
アテンザのラインナップをザッと復習すると、セダン、ワゴンともに2リッター(155馬力/20.0kg-m)と2.5リッター(188馬力/25.5kg-m)のガソリンエンジン、それに、2.2リッターの直4ディーゼルターボ(175馬力/42.8kg-m)が用意されます。
販売の主力は「XD」ことディーゼルエンジン搭載モデルで、トランスミッションは6ATと6MT(!)、駆動方式はFFと4WDから選択可能です(ガソリン車はFFのATモデルのみ)。
■静粛性の向上で高級感が一段とアップ!
最初に試乗したのは、やや脇役になった感のある「25S Lパッケージ」(336万4200円)。2.5リッターの4気筒ガソリンエンジンを搭載し、シートにナパレザーをおごった豪華バージョンです。
外観は、マイナーチェンジ前とほとんど変わりません。新旧を明確に分ける違いは、サイドミラーのターンシグナルライト(ウインカー)が、ミラー縁の縦長から、横長になったくらい。無理に外観をイジらないのは、マツダがデザインの思想・哲学として掲げている“魂動(こどう)-SOUL of MOTION-”への自信の表れでしょうか。
試乗車はシンプルなブラック内装。以前は、黒と濃茶(チョコレート)を組み合わせた凝ったカラーリングにも挑戦していましたが、今回は一転“漆黒の黒”がテーマとなりました。けれん味のない、安心の色使いですね。
Lパッケージには、試乗車の黒内装のほか、ガソリン(25S)、ディーゼル(XD)を問わず、白内装も用意されます。試乗に先立ち該当車を確認したところ、ピュアホワイトのシート地に、グレー(チタニウムカラー)のパイピング(縁取り)が入った瀟洒なもの。クルマの性格を考えると「ちょっとクラシカル過ぎない?」とも思いましたが、アテンザに「ゆったりと乗りたい」と考える方にはピッタリかもしれません。ダッシュボードやドアの内張にもピュアホワイトが使われるので、車内はとても華やか。レフ板効果が期待できるので、女性にもオススメです!(本当)。
装備面で注目の改良は、速度情報などを投影する“ヘッドアップディスプレイ”(全車標準)に施されました。表示の色数が抑えられ、表示もシンプルに。これまでは“贅沢装備”としてちょっと肩に力が入っていました(!?)が、ようやく使い慣れて落ち着いて、本来の目的に沿った表示となったわけです。加えて、メーター、ダイヤル、スイッチ類の照明が、基本的に“白”に統一されたのも新しい点。夜間のドライブでは“品のいい”メーターまわりの環境を、ありがたく感じることでしょう。
こうした意匠の刷新を後押しして、クルマの高級感アップにひと役買っているのが、防音・吸音の向上です。ニューアテンザはフロントドアガラスがより厚くなり(Lパッケージは遮音ガラス)、天井の吸音材も強化されました。
走り始めてすぐに、その霊験あらたかに。新たに採用された「ロードスター」に準じる小径ステアリングホイールを握ってドライブしていると、うーん、静かです。新しいアテンザは、直接目に触れない部分にも、しっかり手が加えられているのです。
そしてもう1台、ドライブしたのは「ワゴン XD Lパッケージ」(400万1400円)。もちろん6ATも用意されますが、試乗車は3ペダル式の6速MT! 駆動方式は4WDですから、相当な“うるさ方”向けの仕様です。こんなマニアック(!?)なグレードをラインナップしているとは、マツダのトップ・オブ・ワゴン、恐るべし…。
クリーンディーゼルこと“SKYACTIV-D 2.2”エンジンには、すっかりお馴染み(!?)の機構が採用されました。耳障りなディーゼル音を低減する“ナチュラル・サウンド・スムーザー”、さらに細かいノイズを打ち消す“ナチュラル・サウンド・周波数コントロール”、そして、アクセル操作への反応を敏にする“DE精密過給制御”などです。中型モデル「アクセラ」の改良を、今回、アテンザが踏襲したカタチです。
踏襲といえば、ステアリング操作に応じてエンジン出力をコントロールする“Gベクタリング・コントロール(GVC)”も採用されました。こうした制御系の改良は、いわばソフトウェアの変更ですから、基礎を確立してしまえば、車種を問わず横展開できるのですね。
アクセラの回で詳解しましたが、GVCは、なかなかリポーター泣かせの新技術です。なぜなら、なかなか効果が分からないから。何しろステアリングを“切っている間”…ではなく、ステアリングを“操作している間”のみ、エンジンの出力をわずかに絞ってフロント荷重をかすかに増やし、応答性を向上させる仕組みですから。
つまり、カーブに入ってステアリングを切り始めると同時にGVCが作動し、操舵角が一定になるとGVCは切れてしまいます。ハンドルを回している時はハンドル操作に集中しますから、GVCの効果の有無は(ワタシの場合)判断しかねます。
でも、この種のハンドリングに介入する機能は「アッ! 今、利いた!!」と分かるようだと、結果的に、不自然に感じてしまうのでしょう。運転者に「なぜかは定かでないが、あまり疲れない」とか、助手席の人が「○○さんの運転はなんだか安心」と思わせたなら、大成功といえます。いや、実際には、それさえ気づかない人が多いことでしょう。今後“Gベクタリング・コントロール”が一般のユーザーの人からどのように評価され、発展していくのか。はたまたフェードアウトしてしまうのか。興味は尽きません。
試乗車のボディカラーは、たまたま2台とも不動の人気色となった“ソウルレッドプレミアムメタリック”でしたが、「CX-5」やアクセラに先んじて採用されたクールな“マシーングレープレミアムメタリック”を、アテンザでも選べるようになりました。リアルな金属感がジマンのペイントです。
“i-ACTIVSENSE”こと先進の安全技術を含め、マツダの誇る新技術が“全部盛り”となった新アテンザ。デビュー以来4年が経ちますが、いまだ魅力向上中のフラッグシップです!
<SPECIFICATIONS>
☆25S Lパッケージ
ボディサイズ:L4865×W1840×H1450mm
車重:1480kg
駆動方式:FF
エンジン:2488cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:6AT
最高出力:188馬力/5700回転
最大トルク:25.5kg-m/3250回転
価格:336万4200円
☆ワゴン XD Lパッケージ
ボディサイズ:L4805×W1840×H1480mm
車重:1630kg
駆動方式:4WD
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼルターボ
トランスミッション:6MT
最高出力:175馬力/4500回転
最大トルク:42.8kg-m/2000回転
価格:400万1400円
(文・写真/ダン・アオキ)
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