ボディカラーどうしよう?少々悩んでイエローに決定!【達人のプラモ術<ポルシェ911 GT3 RS(992)】
&GP / 2024年11月30日 7時0分
ボディカラーどうしよう?少々悩んでイエローに決定!【達人のプラモ術<ポルシェ911 GT3 RS(992)】
【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 ポルシェ911 GT3 RS(992)」
02/06
さて発売間近(12月7日発売予定)の「ポルシェ911 GT3 RS(992)」製作第2回! 前回はキットの詳細を紹介しましたが、いよいよ製作スタートです! まずはボディの塗装。今回も缶スプレーを使ったボディ塗装のコツを紹介していきます。(全6回の2回目/1回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■まずはボディの塗装から
ふと思い出してみると、当連載「達人のプラモ術」では以前、「1/20 ポルシェ935マルティーニ」も製作しているんですよね。タミヤはポルシェのキットが充実していることもありますが、達人がポルシェ好きというのも今回のチョイスの理由です。先ごろ開催されたタミヤフェアでは実車も展示されたこともあり、大いに注目を集めていました。
さて、タミヤ最新のカーモデルとなる「ポルシェ911 GT3 RS(992)」(※以下911GT3 RS)は、塗り分けが必要なパーツをすべて別パーツ化したことで、ボディ塗装の際のマスキング作業を大幅に軽減しています。
今回も、製作はまずボディの塗装からスタート。
以前にも説明していますが、ボディは塗装後の乾燥に時間がかかります。なので初めにボディを塗装して、乾燥させている間にシャシーや足回り、インテリアといった部分製作していきます(今回は缶スプレーを使ってボディを塗装しているので最低でも24時間以上は乾燥に時間をおく必要があります)。
先にボディの塗装を済ませることで、後々の工程で塗装の乾燥待ちをなくして、製作の効率化が図れるというワケです。もちろんインストの通りに製作を進めてキットの魅力を堪能するのもアリです。
▲タミヤフェア会場に展示されてた911GT3 RSの実車。ちなみに実車でのホワイトボディはスペシャルカラー(他にシルバーとグレーがある)で、赤と黒がスタンダードカラーとなる
▲タミヤフェアで展示されていた無塗装で組まれたボディ。黒い部分とクリアパーツはすべて別パーツ化されている
■ボディカラーに悩む
ボックスアートはホワイトの911GT3 RSが描かれており、タミヤフェアで展示されていた実車もホワイトでした。
キットではスペシャルカラーのホワイトに加えて、スタンダードカラーのレッド、ブラックを選ぶことができます。
イメージ的にはやはりホワイトという印象が強いのですが、911系のポルシェといったらやっぱり赤なのか?(オジサン世代にはわかる山口百恵『プレイバック part 2』)と悩みつつ、シルバーも捨てがたくあるけれど、模型なんだからここは自由なカラーで塗りたい。ということで、ボディカラーはイエローに決定しました。
ちなみにポルシェジャパンのWebサイトを見たら『スポーツカーが纏う色には、然るべき意味がある。どの色ひとつとっても、車の性格を強調する固有の役目があるからだ』と説得力ありまくりの解説されており、例えば911タルガのイエローは『太陽と光を表現する黄色。黄色は楽観主義、人生の喜びを表す暖かい色だ』なのだそうです。
▲完成サンプルのボディはタミヤ缶スプレー「LP43パールホワイト」が指定色となっている
▲ボディカラー赤は「LP-46ピュアーメタリックレッド」が指定色となる
■イエロー塗装は下地塗装がキモ!
今回塗装に使用したのはタミヤカラースプレー 「TS-47クロームイエロー」です。イメージ的には赤みの少ない明るい色で、あくまでも個人的意見ではありますが、イエローはカーモデルのボディ塗装の中でも難易度が高い色だと思います。その理由は、色自体の隠ぺい力(下地を隠す力)が弱く、下地に白など明るい色が均一に塗装されていないと、ムラが生じたり発色が悪くなります。
また隠ぺい力が弱いということは、赤や青などに比べて塗り重ねる回数が多くなりがちになり、塗膜が厚くなりやすいといった一面があります。
▲タミヤカラースプレーのイエロー各種。実車ではイエローの設定はないので、好みのイエローで塗れば良いと思う。今回使用したのは「TS-47クロームイエロー」
▲タミヤスプレー「TS-47 クロームイエロー」(770円)
■下地で変わるイエロー塗装
グレー、ホワイト、ピンク、ブラックそれぞれのサーフェイサーで下地を塗装。そこにクロームイエローを塗り重ね(塗装→塗装を3回塗り重ね)て、発色を検証してみました。
結果はやはりホワイトサーフェイサーを使った下地塗装が最適解でした。
▲ホワイトサーフェイサー。問題なくクロームイエローの鮮やかな色調が活かせる。ただし塗り重ねる回数が3回以下だと乾燥後にムラが生じやすいようだ(エッジなどで塗膜が薄くなるため)
▲グレーサーフェイサー。使用頻度の高いグレーサーフェイサーだと、発色自体はさほど悪くないが、わずかに色が濁るようで、クロームイエロー自体の明るさがスポイルされてしまった
▲ピンクサーフェイサー。彩度と明度に問題はないが、やや赤みが強くなり、キャメルイエローに近い発色となった
▲ブラックサーフェイサー。やはりクロームイエローの鮮やかさを活かせず、クロームイエローを3回塗り重ねても明度彩度ともに落ちて、濁った暗いイエローになってしまった。ちなみに5回塗り重ねても結果は変わらなかった
■缶スプレーのメリット
さて最近は塗装というとエアブラシとなりますが、カーモデルの光沢仕上げなどのボディ塗装は缶スプレーの方がキレイに仕がるとも言えます。
缶スプレーは最適な状態に希釈されているので、特別な道具などを用意しなくてもすぐに塗装することができ、カーモデルのボディではキレイな光沢面が作りやすいといったメリットがあります。
その半面、吹き付けのコツを掴んでいないと失敗しやすい(塗料が垂れる等)ので練習が必要です。
▲「TS-47 クロームイエロー」による塗装が完了(4回塗り重ね)
■缶スプレー塗装で失敗しないコツ
缶スプレーは一気に塗るのではなく、吹き付け→乾燥→吹き付けといった具合に、数回に分けて塗り重ねていく(色によって塗り重ねる回数は変わる)のが失敗しないコツです。一気に色を乗せると塗料が垂れる、塗装面が泡を吹くといったトラブルの原因にもなります。
また、缶スプレーは有機溶剤を含むラッカー系塗料なので、塗装の際には必ずマスクを着用して換気に気を使ってください。また缶スプレー(ラッカー系塗料)を使った光沢塗装は湿度が高いとカブる(塗装が曇る)ことがあるので、塗装はなるべく湿度の低い晴れた日に行うのがベストです。
▲まずは荒吹きで30cmくらい離して、ボディ全体に色を乗せる。10分程乾燥させたら2回目を塗装。1回目と同じく30cmほどボディから離して塗装するのがコツ。目安として1秒で20cmくらいのスピードで缶を動かしてボディ全体に色を乗せていく
▲3回目が光沢を出すための本塗装。缶を15~20cm程度までボディに近づけて、1回目、2回目より手早く(1秒で30cm程度)缶を動かして塗料を吹き付けていく。ボデイと同色となるパーツの塗装も同時におこなう
▲塗装が完了したボディ
※以前製作のタミヤ「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」でも缶スプレー塗装のコツを紹介しているのでそちらも参照してみてください。
■アクシデント!
缶スプレーによるイエロー塗装を済ませた乾燥前のボディを、あろうことか床に落としてしまい、せっかくキレイに塗れた塗装が台無しになってしまうというアクシデント…。やっちまいました。
仕方ないので、ボディをビニール袋に入れたラッカー薄め液につけて袋ごとシェイク。塗料をすべて洗い落して塗装をリセット。
この溶剤洗いでの塗料落としはボディに浸透する溶剤のせいでのプラが脆くなるリスクがあるので、慣れていない場合オススメはしません。あくまでも緊急回避です。
さらに、塗装済みのフロントパーツをうっかり触ってしまい、指紋を付けてしまうというミスをやらかしました。こちらも塗装を落としてやり直しとなりました…。いやはやお恥ずかしい限りです。
▲ボディ全体の塗料の拭き取りは困難なので、落とす場合はビニール袋(二重にすること)にラッカー薄め液を入れて、その中にボディを入れてシェイクすることで塗装を細部まで落とせる。ただしプラが脆くなるなどの弊害もあるのでできれば避けたい
▲塗装が乾燥していないフロントパーツに触ってしまい、指紋を付けてしまった。こちらも下地から塗装をやり直し
▲ボディ塗装を乾燥させている間にインストの1番に戻り、アンダーパネルの塗装を進めた
■次回ボデイの組み立てと足回りの製作
今回、最後にボディを床に落としての塗装を台無しにする失態をやらかしました(フロントパーツに指紋付けちゃうし…)。そのリカバリーで半日ロスしました。でもプラモ作り(特に塗装シーン)では焦りは禁物。次回はノーミスを目指して頑張ります!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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