自動変速から世界一売れたバイクまで!2024年に注目を集めたバイク5台
&GP / 2024年12月31日 19時0分
自動変速から世界一売れたバイクまで!2024年に注目を集めたバイク5台
【2024年人気アイテム総まとめ】
2020年頃から盛り上がっているバイクブームですが、その流れは2024年も継続。一時期のような新車生産の滞りや、それに伴う中古車の高騰なども落ち着き、購入しやすい状況となっています。そんな今年のバイク業界を振り返り、注目されたモデルをピックアップしてみました。
■トレンドとなった自動変速技術
2024年の新型車を振り返ると、クラッチや変速の操作を自動化したマシンが目立ちました。ホンダは「Eクラッチ」という発進から走行中までライダーがクラッチレバーを握らないで済む技術を投入。ヤマハも変速を完全に自動化した「Y-AMT」を導入しました。輸入ブランドでもBMWが「オートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)」と呼ぶ自動変速機構を採用。KTMも「KTM AMT」を発表し、今後同社のアドベンチャーマシンに搭載するとしています。
各社ともタイミングを合わせたかのように2024年に自動クラッチ・変速技術を導入していますが、技術にはそれぞれ特徴があります。まずホンダですが、「Eクラッチ」はあくまでもクラッチの自動化技術なので変速操作はライダーが行う必要があります。同社には既に「DCT」という自動変速機構があり市民権も得ていますが、「Eクラッチ」はどちらかというと「DCT」よりもクイックシフターに近い技術といえるでしょう。
ヤマハの「Y-AMT」はクラッチレバーもシフトレバーもなくなり、完全に変速をマシンに任せられるシステム。ライダーの好きなタイミングで変速することもできますが、変速操作は左手側に設けられたボタンで行います。
BMWの「ASA」も変速を任せられるシステムですが、左足のシフトレバーは残されていて、ライダーが任意のタイミングでシフト操作できます。「KTM AMT」も同様に左側のシフトレバーは残していて、プロトタイプではボッシュの開発した「ACCストップ&ゴー」と組み合わせていました。
続いては、各社の搭載モデルやその操作感、それ以外の注目モデルを紹介します。
1. “Eクラッチ”を搭載した「CBR650R」「CB650R」
▲「CBR650R」
初の“Eクラッチ”搭載車となったのが6月発売の「CBR650R」と「CB650R」です。どちらもエンジンはホンダらしい4気筒を搭載したモデルで、2024年モデルではフロントまわりを中心に外観がブラッシュアップされるとともに、“Eクラッチ”搭載モデルも選べるようになりました。ちなみに前述のように左手側にはクラッチレバーを装備していて、大型AT免許で運転することはできません。
▲「CB650R」
実際に乗ってみると、発進や停止時にクラッチを握らなくていいのはかなり快適。クイックシフター付きのマシンに乗っていると、走行時にはクラッチを握らない分、停止時にクラッチを握るのが面倒に感じることがありますが、そのストレスが取り除かれている感じです。それでいて、走行中のシフト操作は完全にクイックシフターと同じなので、操作する楽しさは味わえます。
2. スポーツライディングに集中できる「MT-09 Y-AMT」
▲「MT-09」
“Y-AMT”が最初に搭載されたのはヤマハのスポーツネイキッド「MT-09」。3気筒エンジンが生み出す爆発的なダッシュ力が持ち味のモデルです。ツーリングモデルではなく、スポーティなモデルから採用されたところからも、この機構が“楽をする”ためではなくライディングにより集中するためのものだということを表しています。
“Y-AMT”には2つのモードがあり、ATモードを選べば変速は自動化されるのでライダーはアクセルやブレーキ、荷重移動などの操作に集中できます。MTモードを選んだ場合は、変速したいタイミングに合わせて左手側のボタンで変速操作をすることに。筆者は試乗した際に、クラッチレバーがなくなった左手側にリアブレーキを持ってきてほしいと感じましたが、そうしなかったのは左手での操作を増やしたくないという理由があるようです。
▲「MT-07」
兄弟モデルである2気筒の「MT-07」にも“Y-AMT”搭載モデルが追加されることがアナウンスされていて、ツーリングモデルの「トレーサー9 GT+」にも採用されることが発表されました。
3. アドベンチャーの王者「R 1300 GS Adventure」も自動変速に
BMWの“ASA”を初搭載したのが「R 1300 GS Adventure」。世界的に人気の高いアドベンチャーマシンの中でも王者と称されるバイクです。エンジンはBMWの代名詞ともいえる水平対向の2気筒。オフロード走行も可能で、タンクは30Lの大容量と、大陸を横断するような長距離ライドに出かけるならこのマシンといえるような1台です。
“ASA”は自動で変速されるDモードと、ライダーが変速操作をするMモードが選べて、変速操作は従来のバイクと同じように左足側のレバーで行います。“ASA”モデルにはクラッチレバーは存在しないので、AT限定の大型二輪免許でも運転可能。変速レバーは実は電気的なスイッチなのですが、従来のシフトレバーのような操作感になっている点も好感が持てます。
4. レーサーレプリカ世代垂涎のヤマハ「XSR900 GP」
自動変速とは別に、今年前半に話題となったのがヤマハ「XSR900 GP」です。80年代の世界GPで活躍したレーシングマシンをオマージュしたスタイルが特徴で、その頃のレーサーレプリカに熱くなっていた世代を中心に人気を集め、年間計画台数をわずか1ヶ月で超えるというヒットモデルとなりました。
搭載されるエンジンは前出の「MT-09」と同じ3気筒で、運動性能の高さもポイント。前傾姿勢で車体との一体感も高く、ワインディングを走るのが楽しいマシンになっています。カウルのステーやスクリーンなど、ライダーの視界に入るパーツもレーサーの雰囲気を持っているので、走りながらも気分が高まります。
5. 66年の歴史に幕を下ろした「スーパーカブ 50」
▲「スーパーカブ 50」
最後に紹介しておきたいのがホンダ「スーパーカブ 50」。1958年に初代モデルが登場して以来、シリーズ累計1億台以上を販売した文字通りの“世界一売れたバイク”ですが、50ccモデルは今年発売のファイナルエディションを持って生産を終了することになりました。
▲「スーパーカブ C125」
このファイナルエディションは販売計画台数2000台に対して、1万2000台を超える受注が集まったのだとか。それだけ多くの支持を集めていたことが伝わってきます。といっても、同シリーズの110や125ccモデルは今後も販売されるので、スーパーカブの歴史はまだまだ続くので心配ありません。
* * *
注目の新技術を搭載したモデルなどが登場する一方で、長い歴史に幕を下ろすモデルもあった2024年。来年もバイク好きがワクワクするモデルが登場することを願ってやみません。
<文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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