2024年のゴルフウエアトレンドを総復習! スタイリストと共に振り返る6つのキーワード
&GP / 2024年12月29日 21時0分
2024年のゴルフウエアトレンドを総復習! スタイリストと共に振り返る6つのキーワード
【2024年人気アイテム総まとめ】
ゴルフに向けられる興味、関心はまだまだ右肩上がりであることを実感した2024年。それは、各ブランドからリリースされたアパレルの充実ぶりからも伝わってきます。そこで、業界で活躍するスタイリストの意見をもとに、今年のゴルフアパレルのトレンドをプレイバック!
■ゴルフ場と街との境界線がなくなりつつあることを実感した2024年のゴルフウエア
これまで、ターフ(ゴルフコースのフェアウェーやグリーンの芝)から発信されたアイテムがシティに取り入れられたケースは少なからずありました。ライル&スコットのポロシャツやバラクーダのスウィングトップが良い例です。とはいえ、まだまだ両シーンに距離があることは否めません。
「ただ、2024年は快適にプレーするための確かな機能と、鮮烈な色や個性的な柄をあしらったアイテムがいわばゴルフウエアにおけるスタンダードでした」とはスタイリストの中村祐三さん。ターフとシティ、2つの境界線が急激に薄まってきたのが今の流れと語ります。
スタイリスト 中村祐三さん
スタイリスト・永尾将宗氏に師事し2008年に独立。ファッション雑誌やブランドカタログに加え、インテリアの分野においても優れたセンスを発揮。また、ゴルフ系メディアからの信頼も厚く、ブランドのイメージビジュアルの制作にも参画。ちなみに、ゴルフのベストスコアは88。
中村さん曰く、これまでのゴルフウエアの常識にとらわれないアイテムが増えているのだとか。
「ファッションシーンではここ数年、90sカルチャーやクラシック回帰がトレンドを牽引してきました。その動きがゴルフウエアにも見られるようになっています」
時代は変われど、ゴルフは紳士のスポーツとの認識はいまだ健在。とはいえ、ライト層はセレクトが柔軟で、むしろ街着目線で手に取るケースが多いようです。それもあり、各社がその目線に見合ったアイテムを発表するようになったのが2024年のゴルフウエアトレンドだったと中村さんは振り返ります。
■2024年のゴルフウエアのハイライトを、キーワード別に総ざらい!
ターフとシティを分ける壁が低くなってきたという昨今のゴルフウエアトレンド。そこで、2024年を読み解くうえで重要なキーワードを中村さんに挙げてもらいました。ここでは、そのキーワードに関連するアイテムと共に紹介します。
1. 一年を通して引きの強かった“スモーキーブルー”
一般的なゴルフウエアでは、春夏シーズンを中心に鮮やかな色のアイテムが多く見られます。それは2024年も例外ではありません。中でも中軸を担ったのがブルー。ただそのブルーも、いつもの華やかな色味よりどこか落ち着いたくすみのあるトーンが注目されました。
1枚でもサマになるしっとりブルーが大人の風情
アンドゴルフ
「フレキシブライト ハーフスリーブニットモックネックシャツ」(2万3100円)
ゴルフウエアでカラフルといえばパキッとした色、例えばネオンカラーやビタミンカラーをイメージする人は多いと思います。ただ、新ブランドの台頭もあった2024年は、その新興勢力がモノトーン系を打ち出しました。その影響もあってか、各社、原色系でもトーンを抑えた色を取り入れていた印象です。定番のポロシャツだけでなく、このようなモックネックシャツでもその流れは顕著でしたね
素材に使用したのはアンダイド・フレキシブライト・ニット。吸汗速乾、伸縮性、抗菌防臭に加え、水に浮くほどの軽さを誇るハイテク素材です。加えて、ソフトタッチでしなやかなうえ、ゴルフのスウィングモーションを視野に考え抜かれた編地の切り替えや、無縫製の立体成形製法により仕上げられているためストレスなく着用できる優れモノ。
>> アンパスィ
2. ゴルフシーンでも顕著になってきた“スウェット”への信頼
スポーツシーンには欠かせないスウェットシャツですが、ことゴルフに関してはマナーの観点やプレーのしやすさから馴染みがありませんでした。そんな中、ブランドのコレクションに当たり前のように並ぶ姿は、まさに転換期にある今を象徴するアイテムと言えるでしょう。
ファッションとゴルフの双方に精通するスタイリストのキモ入り
タングラム
「ロングスリーブスウェットシャツ」(1万9800円)
スポーツフィールドではお馴染みのスウェットシャツも、ことゴルフとなると脇下や身幅のゆとりが人によってはスウィングの足枷となり、汗の吸収が重たさを助長することにも繋がります。ゆえに、店頭に並ぶのは稀でしたが、昨今は取り入れるブランドも増えている印象です。やはり、FUNゴルフに勤しむ人が増え、スコアよりもスタイル重視という価値観に応えての変化なのかもしれません
タングラムは、ファッションの最前線で活躍する傍らサーフィンとゴルフも嗜むスタイリスト、熊谷隆志氏の鋭い感性が落とし込まれたブランド。10オンスの程良い肉厚ボディへ、ランダムに落とし込まれた多様なロゴからもその一端が垣間見えます。そのうえパイルの裏地はすこぶる快適。毛玉が出来にくい素材ゆえケアがイージーなのも好印象です。
>> タングラム
3. プレーもスタイルもフォローするオキテ破りの“ノーカラー”
マナーを重視するのであれば襟付きのウエアが必須です。ゆえに、襟型へメスを入れたアイテムは限られていました。ただ、着こなしの緩和化によりついにノーカラーのアイテムが台頭。襟付きとの併用が着こなしの幅を生むという好循環も、人気の後押しとなりました。
寒さへの対応策としても着こなしのアクセントとしても優秀
ユナイテッドアローズ ゴルフ
「キルトウォームダウンベスト」(3万6300円)
確かに名門コースともなれば、襟付きやジャケットの着用といったマナーは守るべきでしょう。とはいえ、Tシャツ、デニム、ビーサンOKという9ホールのショートコースもあるように、気負うことなくゴルフを楽しんで欲しいというゴルフ場も出てきました。ノーカラーウエアはその影響もあるかもしれませんね。それに、秋冬のゴルフは寒さとの戦いでもありますから、こんなベストがあったら心強いはずです
こちらは、ダウンの偏りを回避すべく小さなダウンパックを採用しているため防寒対策としても重宝します。スムーズなスウィングを促すべく負荷のかかる部分にストレッチ性を加え、さらにオリジナルのキルトワークも機動性を考慮してのもの。とはいえ、ノーカラーや左胸下に刺繍を施すなどさりげないデザイン性も光ります。
4. “コーチジャケット”はゴルフシーンにおける次世代軽アウター
街では90年代ファッションを背景としたアイテムが猛威を振るってきました。スニーカー人気の再燃や、スケートボードカルチャーを背景としたアイテムの登場はその証左と言えるでしょう。コーチジャケットは、そのムーブメントの余波がゴルフシーンにも訪れたことを端的に表しています。
クラシックスポーツウエアを想起させる味わい深い佇まい
ニューヴィンテージゴルフ
「ストレッチコーチジャケット」(3万800円)
ファッションシーンでは、トレンドのひとつに90sカルチャーリバイバルがありました。その動きはゴルフシーンへも波及しているようです。当時を経験してきた世代がゴルフをするようになり、その感性をアイテムに落とし込む例がよく見られます。ゴルフでの軽アウターとくればスウィングトップが定番でしたけど、コーチジャケットが新たな選択肢として生まれたのが2024年なのではないでしょうか
ストリートの定番だったコーチジャケットですが、フロントの胸元に入れたブランドイニシャル、そして背後にあしらったブランドネームのフォントからうっすらスタジャンっぽさも香ります。また、ストレッチ入りのため動きやすく、裏地にメッシュを採用したことで通気性も確保。ラウンド時のお供としても効果的な1着です。
>> ニューヴィンテージゴルフ
5. ストリートの流れを再認識させられる“サイドライン”のスポーティな横顔
ファッションの脈略では今年、スポーツテイストを取り入れた着こなしが盛り上がりました。その火付け役は、おそらく海外からの評価も高い某国内ファッションブランドの1本でしょう。その勢いがゴルフシーンへも飛び火。あらゆるシーンでサイドラインパンツが幅を利かせるようになっています。
快適さ、動きやすさを担保しながらサイドに個性を覗かせる
V12
「WLパンツ」(2万7500円)
若い人がゴルフへの関心が高まっていることを改めて認識した2024年。それは、アイテムのラインナップの変化にも現れている気がします。街で人気だったアイテムの特徴を落とし込んだサイドラインパンツは良い例。スウェットパンツのような快適さをキープしつつ、腰周りはこれまでのゴルフパンツのようなデザインといったこちらの1本のように、プレーファーストのアイテムが多かったですね
あらゆる動きに柔軟に対応する高い伸縮性は機動力の確保に繋がり、滑らかな肌触りが抜群の穿き心地を確約。それもこれも素材に採用したダンボールニットのおかげです。そのサイドにあしらったホワイトラインは、個性的な見た目を演出するだけでなく、スマートな脚のラインも描き出してくれます。
>> V12
6. ファッション業界を牽引するセレクトショップ発信のゴルフブランドが存在感を発揮
ここ数年、セレクトショップから誕生したゴルフブランドが注目されています。ゴルフシーンの常識を覆し、ラインナップの幅を広げたのはやはりファッションの分野において絶大な存在感を放ってきた彼らの貢献が大きいと言えるでしょう。
セレクトショップが発信するゴルフブランドのパイオニア
ビームス ゴルフ
「スタンドキャディバッグ」(7万9200円)
ビームス ゴルフは2011年春に誕生しましたが、当時はアパレルセレクトショップのゴルフシーンへの本格参入は珍しかったですよね。若い世代へ向けたオレンジレーベルと大人たちへ向けたパープルレーベルの2軸で展開し、ビームスらしいアメカジ風味のアプローチがシーンへの良い刺激になったと記憶しています。ここ数年は、ウエアを提供するプロゴルファーの渋野日向子選手の活躍もあり、さらに存在感が増した印象です
収納した際のクラブ同士の接触による傷や音の発生を防ぐ独自システムを採用したこちら。トラベルバッグなどからインスピレーションを得て生み出した、体に沿うカービングが特徴のショルダーストラップが肩への負担を軽減。素材に廃棄魚網由来の再生原料の一部を利用したナイロンオックスを使うなど、環境への配慮も見逃せません。
>> ビームス ゴルフ
ファッショントレンドのエッセンスとハイパフォーマンスの融合
ユナイテッドアローズ ゴルフ
「360度スリムパンツ」(1万8150円)
コンセプトは “GOOD MANNER, GOOD SENSE, GOOD PERFORMANCE”。ユナイテッドアローズらしい、上質感や優雅さをこだわりの素材やシルエットで表現したアイテム群は、大人の社交場と呼ばれマナーを重視するゴルフの場にふさわしいものばかりです。また、世界のトッププロゴルファーも契約するアメリカ屈指のゴルフ用品メーカー、テーラーメイドとのコラボレーションラインも注目したいですね
撥水性、ストレッチ性において最高クラスのパフォーマンスを発揮するファブリック360度Masterを使用。ゆとりのあるシルエットながら、テーパードを入れることで動きやすさと美しい佇まいの両立を可能にしています。また、ギャザーやドローコードといったウエストの仕様、コンシールジップポケットなど使いやすさへの追求は細部にも至ります。
機能性に加えフレンチマインドによるファッション目線からの提案も
エディフィスゴルフ×クラブハウス“ダイナミックレンジ”
「ウォームアップパンツ」(2万4200円)
エディフィスらしい、フレンチカジュアルのフィルターを通して生み出されるアイテムが他とは一線を画しますね。とはいえ、ただゴルフテイストの洋服をラインナップさせているのではなく、ゴルフシーンを長年見続け、時代に則ったゴルフライフの提案をしてきた大阪のゴルフセレクトショップ「クラブハウス」とタッグを組んでいることもあり、幅広いゴルファーに寄り添った提案ができています
レギュラーストレートに近いシルエットにうっすらテーパードを加えた1本は、動きやすいうえにあらゆるトップスと組み合わせてもしっかりキマる洗練さを持ち合わせています。しかも、練習場での使用をイメージしているため柔軟性、通気性、吸水速乾などに優れた素材を採用。幅広いレンジでオールマイティに使用できます。
>> エディフィスゴルフ
<文/菊地 亮>
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